• 2021.01.12

住宅ローンの一括返済をする前に読もう!全額繰り上げ返済の3つの注意点

執筆者: 白坂大介 (ジョインコントラスト株式会社 代表取締役)
家の模型を前に電卓を持つスーツ姿の男性

貯蓄にある程度の余裕ができてくると、「住宅ローンの一括返済をしたほうが良いのかな」という疑問が浮かびますよね。

住宅ローンの一括返済をすると、本来支払うべきだった利息がなくなるため、金銭的に大きなメリットを得られます

しかし、住宅ローンの適用金利や借入条件によっては、一括返済をしないままのほうがお得になる場合や、借り換えたほうがお得になる場合もあるため注意しましょう

当ページでは、住宅ローンを一括返済することによるメリットや注意点、一括返済以外で利息負担を少なくする方法について紹介していきます。

この記事を執筆・監修している専門家

執筆者

白坂大介

ジョインコントラスト株式会社 代表取締役

保有資格・検定

2級ファイナンシャル・プランニング(FP)技能士、宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー、証券外務員1種

お客様と一生涯のお付き合いができる仕事に憧れ、大学卒業と同時にハウスメーカーに就職。 2008年にファイナンシャルプランナーの資格を取得。 2013年にはジョインコントラスト株式会社を設立し、webサイト「家計教師.com」を運営。 主にマイホーム購入や住宅ローン、生命保険、資産運用など、一般家庭向けのコンサルティングや講演会を行なっている。

編集者

ナビナビ住宅ローン編集部

住宅ローンを組む時に抱える「どうやって住宅ローンを選べば良いかが分からない」「金利の違いがよく分からない」「一番お得に借りられるローンはどれなの?」といった疑問・不安を解決できるように解説していきます。

住宅ローンの一括返済ではどれくらいお得になるのか

住宅ローンの一括返済で気になるのは、「一括返済をすると金額的にはお得になるの?」ということですよね。
一括返済をすると、本来の返済期間で支払うはずだった利息がなくなるため、その利息の金額分がお得になります。 

以下は3,000万円の住宅ローンで返済開始から15年後に、一括返済を行った場合の例ですが、一括返済の有無によって利息額は約255万円もの差が生まれています

一括返済による支払い利息の差
  完済までの利息の合計
一括返済なし 735万6,564円
15年12ヶ月目に一括返済
(一括返済時の残高は1,878万8,417円)
479万8,337円
差額 ▲255万8,227円

※金利変動がなかった場合として算出。
※借り入れ金額3000万円/返済期間35年/固定金利1.3%元利均等返済の場合。
楽天銀行住宅ローンの住宅ローンシミュレーションを使用して算出。

上記の費用のほかに、一括返済を行うには数万円の手数料がかかるケースが一般的ですが、その金額を差し引いたとしても大きく利息を軽減できることが分かります。

保証料が戻ってくるケースもある

また、住宅ローンの新規借り入れの際に保証料を一括支払いしていると、一括返済時に保証料が戻ってくることがあります(『戻し保証料』といいます)。

戻し保証料は、一括返済を行った時点での残りの返済期間に応じて計算されます。

計算方法は保証会社によって異なるため、具体的な金額を知りたい場合は金融機関に問い合わせてみましょう。

住宅ローンを一括返済する際の注意点

金銭的なメリットの大きな住宅ローンの一括返済ですが、大きな金額が一気になくなるなど、気をつけておくべきことも存在します。

ここでは住宅ローンの一括返済に関する、3つの注意点を解説します。

住宅ローンを一括返済する際の注意点

  1. 手持ち資金に余裕をもたせておく
  2. 住宅ローン控除とどちらがお得か比べておく
  3. 一括返済には数万円の手数料がかかる

手持ち資金に余裕をもたせておく

住宅ローンの一括返済では、数百万~数千万円という大きな金額が必要になります。

住宅ローンの残高によって具体的な金額は異なりますが、手持ちの資金が大きく減ってしまうことは一括返済のもっとも大きなデメリットです

そのため、手持ちの預貯金を大きく減らしてまで、住宅ローンを一括返済することが必ずしも正しいとは限らないということを知っておきましょう

完済後に病気やケガなどの不測の事態によって、働けなくなってしまうケースも無いとは言い切れません。
このような不足の事態にも対応できるように、十分な資金を確保してから一括返済を行うことが重要です。

住宅ローン控除とどちらがお得か比べておく

住宅ローン控除では、住宅購入から10年または13年間にわたって「年末時点の住宅ローン残高×1%分」の減税を受けられます。

しかし、住宅ローン控除の適用期間中に一括返済をした場合、残りの期間は住宅ローン控除を受けられなくなってしまいます

適用されている金利によっては、一括返済で軽減される利息の金額よりも、住宅ローン控除の減税額のほうが大きくなる場合も珍しくないため注意が必要です。

そのため借り入れから10年以内に一括返済を考えている場合は、「一括返済をした場合の利息の軽減メリット」と「一括返済をしなかった場合の住宅ローン控除の減税額」を比べておきましょう

一括返済には数万円の手数料がかかる

一般的に住宅ローンの一括返済を行う際には、数万円の手数料がかかります。

具体的な金額は金融機関によって異なりますが、3万3,000円(税込)で設定されていることが多くなっています。

また、変動金利の適用中であれば一括返済の手数料を0円に設定している金融機関もあるため、詳しくはご自身が利用されている金融機関のホームページで確認するか、担当者に聞いてみてくださいね。

住宅ローンを一括返済する手順

住宅ローンを一括返済する際は、店頭窓口での申込みが一般的です。

ここでは、店頭窓口で一括返済の手続きを行う際の流れを紹介しましょう。

※ネット銀行のマイページや電話で受け付けている場合もあります。詳しくは住宅ローンを借り入れている金融機関のホームページをご確認下さい。

STEP1

店頭窓口へ行く

以下を持参して住宅ローンを借り入れている金融機関の窓口へ行き、一括返済の手続きを申し込みます。

  • 返済用預金口座の届出印
  • 通帳またはキャッシュカード
  • 返済予定表
  • 口座番号のわかるもの
STEP2

依頼書を提出する

必要事項を記入した全額繰上返済依頼書を提出します。

STEP3

入金する

繰上返済日の前営業日までに、一括返済の資金を返済用預金口座に入金しましょう。

また、注意点でもお伝えしたように住宅ローンを一括返済する際には、手数料がかかることが一般的です。忘れずに準備しておきましょう。

一括返済以外で住宅ローンのストレスや負担を軽くする方法

住宅ローンの一括返済は、総返済額を減らすことができる魅力的な手段ですが、手元にまとまった資金が必要となるだけでなく、住宅ローン控除期間中など一括返済することが得策と言えない場合もあります。

とはいえ、「少しでも早く住宅ローンから解放されたい!」と思うのが本音ですよね。

そこで最後に、一括返済以外の方法で住宅ローン返済のストレスや、負担を軽減する方法をご紹介します。

一括返済以外で住宅ローンのストレスや負担を軽くする方法

一部繰り上げ返済で残高を減らす

一括返済以外で住宅ローンの返済負担を少しずつでも軽くしたいときは、「一部繰り上げ返済」を検討しましょう
一部繰り上げ返済は一括返済とは違い、借入金の一部だけを繰り上げ返済する方法のことをいいます。

一部繰り上げ返済には「期間短縮型」と「返済額軽減型」という2種類があり、それぞれ得られるメリットに違いがあります。

繰り上げ返済の「期間短縮型」と「返済額軽減型」の違い
繰り上げ返済の「期間短縮型」と「返済額軽減型」の違い

一部繰り上げ返済について詳しくは以下の記事で解説していますので、ぜひ参考になさってください。

金利の低い住宅ローンへ借り換える

住宅ローンの利息を少なくする方法のひとつに、『住宅ローンの借り換え』があります。

現在借り入れている住宅ローンと比べて、金利の低い住宅ローンに借り換えることで利息を軽減する効果が期待できます。

特に2016年のマイナス金利政策以降は住宅ローンの金利は大きく引き下げられているので、百万円以上も利息を減らせられることも珍しくありません

まずは一度借り換えシミュレーションを行って、どれくらいお得になるのかを試算してみると良いでしょう。1分もあれば借り換えのメリットを調べられますよ。

全期間固定金利へ借り換える

「変動金利の金利上昇リスクが不安」という理由で一括返済を検討している場合は、全期間固定金利への借り換えも検討してみましょう

全期間固定金利であれば住宅ローンの借入期間中に金利が変動することはないため、毎月の返済額は一定に保たれます。

ただし一般的には、全期間固定金利の利率はほかの金利タイプよりも高めに設定されています

借り換えで適用金利が上がったことで、金利が上昇した場合よりも返済額が大きくなってしまうケースも考えられるため、必ず「借り換え前後での返済負担の差」を確認しておきましょう

まとめ

住宅ローンの一括返済は、利子の支払いが減ることで総返済額も抑えられることがメリットです。

しかし、住宅ローンを一括返済する際は手元に十分な資金が残るようにしなければ、想定外の出費に対応できなくなってしまうことも。

住宅ローンの返済負担を軽くしたいときは、一括返済だけでなく、一部繰り上げ返済や借り換えも視野に入れましょう。
そのうえで、一括返済による利子の軽減額と住宅ローン控除の減税額を比較検討し、一括返済を行うのに最適なタイミングを見極めることが大切です。

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