マンション購入は新築・中古どちらがおすすめ?
執筆者: 小山 英斗 (ファイナンシャルプランナー)
人生で大きな買い物のひとつである住宅購入。住まいを手に入れることは、楽しさもあることながら、いろいろ迷うことも多いかと思います。
マンションの購入では新築か中古にするかで迷われる人も多いのではないでしょうか?
新築と中古でどちらを選ぶのがいいのか、それぞれのメリットやデメリットなどを見ていきながら考えてみたいと思います。
この記事を執筆・監修している専門家
ナビナビ住宅ローン編集部
住宅ローンを組む時に抱える「どうやって住宅ローンを選べば良いかが分からない」「金利の違いがよく分からない」「一番お得に借りられるローンはどれなの?」といった疑問・不安を解決できるように解説していきます。
この記事の目次
新築と中古のマンション価格を比べてみましょう
最初に首都圏のマンション価格を確認してみます。2018年の新築マンションの平均価格は5980万円でした。一方で中古マンションは3333万円でした。㎡単価でみると同じような広さの物件を買う場合に4割ほど中古マンションの方が安いことがわかります。
|
新築 |
中古(平均築年数約21年) |
---|---|---|
平均価格 |
5980万円 |
3333万円 |
㎡単価 |
87.9万円 |
51.61万円 |
平均面積 |
68㎡ |
64.6㎡ |
出典)新築:国土交通省 首都圏マンション市場動向2018年
中古:公益財団法人東日本不動産流通機構 首都圏不動産流通市場の動向(2018年)
ただし上の表の中古マンションの平均価格は平均築年数が21年ですので、これより築浅の物件であれば価格も高くなる傾向になります。
築年数ごとの首都圏の中古マンションの平均価格は下の表の通りです。
新築マンションの価格と比較すると、中古価格は購入直後で1割程度安くなり、築年数が10年ごとに2割程度安くなっていく傾向にあるようです。
築年数 |
平均価格 |
面積 |
㎡単価 |
---|---|---|---|
築0~5年 |
5411万円 |
66.83㎡ |
80.96万円 |
築6~10年 |
4602万円 |
67.62㎡ |
68.06万円 |
築11~15年 |
4242万円 |
70.04㎡ |
60.56万円 |
築16~20年 |
3716万円 |
70.42㎡ |
52.77万円 |
築21~25年 |
2528万円 |
65.32㎡ |
38.70万円 |
築26~30年 |
1697万円 |
57.19㎡ |
29.68万円 |
築31~年 |
1815万円 |
57.25㎡ |
31.70万円 |
出典)公益財団法人東日本不動産流通機構 首都圏の不動産流通市場(2018年)
㎡単価などあくまで平均の数字ですので個々の条件によって違いが当然でてきますが、マンション購入にあたっては目安となる数字ですので把握しておくことが大切です。
新築マンションのメリット・デメリット
建物、お金、購入検討時、購入後の生活の視点から新築マンションのメリット・デメリットを見ていきます。
建物
メリットは外観も内装も綺麗で、セキュリティも含めた設備も比較的最新のものであることが多いことです。また耐震基準も現行の基準に沿って建てられていることや完成引き渡しから10年間の瑕疵保証制度があることなども安心感を得られます。
一方で、メンテナンスなどを施して建物の資産価値を維持するためにはしっかりした管理組合による管理が大切ですが、管理状態については未知数です。
お金
中古マンションのような仲介手数料がないため購入時の諸費用が5%程度に抑えられます。また、固定資産税の軽減措置(適用要件あり)があります。住宅ローンも金利や借入条件などが中古よりも有利なケースが多い傾向にあります。
一方で、購入価格が高く、購入後に価格が下落してしまう点はデメリットと言えます。また新築には消費税がかかります。
購入検討時
比較的駅近の立地条件の物件が多いことや、間取りや階数、設備オプションなどの選択肢が多いことはメリットと言えます。
しかしながら、購入前に実際の建物や部屋、眺望や日当たりなどが確認できないことが多いことはデメリットです。また望んだエリアに希望する物件があるとは限りません。
購入後の生活
コンシェルジュや24時間ゴミ出し可能などの新しいサービスが導入されている場合が多いので生活の利便性が向上します。また同時期に入居する人が多いことから馴染みやすいかと思います。また駐輪場・駐車場も確保しやすいと言えます。何と言っても新築へ入居する気持ち良さは心理面での大きなメリットです。
一方で、コミュニティーはゼロから作るので、コミュニティー形成にはある程度時間がかかるかと思います。
中古マンションのメリット・デメリット
中古マンションも同じ視点からメリット・デメリットを見ていきます。
建物
新築に比べて同じ価格であれば、広い物件が手に入りやすいです。また同じ広さの物件であれば、中古マンションは安く済む分をリフォームやリノベーションに費用が充てられることが可能であることもメリットと言えます。
一方で、築年数や管理状態によっては躯体構造が劣化している可能性があります。またリフォームやリノベーション上の制約があったり、後付けすることができない設備もあったりします。瑕疵保証制度がなかったり、または保証期間が短かったりする場合もあります。セキュリティ面でもオートロックが無いなど新築に比べ劣る面があったりします。
お金
同じ広さの物件であれば、新築よりも安く購入できることが多いです。また購入直後の価格も新築に比べて価格下落幅が小さいくなることが多いようです。また売主が個人の場合は消費税がかかりません。
一方で、購入時に仲介手数料などがあるため、諸費用が7%程度と新築より2~3%程度多くなります。また新築住宅に対する固定資産税の軽減措置が受けられません。築年数と共に修繕積立金も高くなる傾向にあります。
購入検討時
購入前に実際の建物や部屋、眺望や日当たり、住民の雰囲気などの確認で、入居後のイメージが湧きやすいことはメリットです。事前に管理組合よるマンションの管理状態も確認できます。また希望するエリアや立地の選択肢が多いこともメリットと言えます。
しかしながら、希望通りの間取りや階数があるとは限りません。
購入後の生活
中古であってもリノベーションなどにより新築と同じような気分で入居できることもあります。すでにコミュニティーがあれば住民同士の助け合いも可能です。
半面、既存のコミュニティーに溶けこむまで時間がかかる場合もあることはデメリットと言えるかもしれません。
新築・中古マンションを購入するにあたっての最初のステップ
これまで見てきたように、新築・中古それぞれにメリット・デメリットがありますが、いずれにせよ住宅購入は人生の中での大きな買い物です。生活に与える影響も大きいものがあります。
新築か中古にするか検討する前に、まずは自分や家族の価値観を改めてよく話し合いながら明確にしていくことが大切です。そのためにもまずはライフプラン作りをすることをおすすめします。ライフプラン作りは自分や家族の将来について「どうしたいか・どうなりたいか」を、主に金銭面からの現実的な生活設計をしていくことを指します。
その目的は住宅購入はじめ、人生で起きるさまざまなこと(ライフイベント)を踏まえた上で将来にわたる収入と支出、貯蓄を「見える化」することです。
ライフプランを明確にすることによって生活費や教育費、趣味に充てたい費用なども含め、住宅購入に充てようとする資金も明確になると思います。住宅購入資金が明確にできれば、あとはその範囲内で新築・中古のどんなメリットに自分の価値観が合うかで物件を購入すればよいと思います。
例えば「新築へ入居する気持ち良さ」に自分の価値観(こだわり)があるなら、ライフプランで予定した住宅購入資金内で新築マンションを購入すればよいと思います。
ここでのポイントは「ライフプランで明確にした住宅購入費用の範囲内で物件を選択する」ということです。
ライフプラン作りが自身だけでは難しいと感じる場合には、専門家であるファイナンシャルプランナーの力も借りてみてください。
新築・中古ではなく資産価値でみるという選択
別の選択肢として、新築・中古とかではなく資産価値でみるという選択があります。
日本では少子高齢化により都市部や利便性の高い場所への人口集中が増えていきます。また建築技術やメンテナンス技術の向上でマンションの建物の寿命は年々伸びる傾向にあります。そして建物管理やコミュニティーの質向上にはしっかりした管理組合の存在がかかせません。
不動産を「負動産」ではなく「資産」としての価値をしっかり維持できる物件を選択するというもの大切になってくるかと思います。そのためのキーワードは「立地」「建物構造」「管理組合」です。それらが良い物件を選択するのであれば、新築・中古にはこだわらなくていいのかもしれません。
まとめ
これまでみてきたように、マンション購入において筆者が大切に考える検討事項は以下の2点です。
ライフプラン
資産価値(立地、建築構造、管理組合)
この2点がしっかりしていれば、あとは個々の価値観で、新築でも中古でもどちらでもかまわないのではないかと考えます。