「マイホームがほしい!」思いついてから住宅購入までに考えるステップ
執筆者: 大竹 麻佐子 (ファイナンシャルプランナー(CFP®))
そろそろマイホームが欲しい。漠然と思いついたAさん。
駅からの帰り道や週末子どもと出かけた公園近くの建築中マンションが気になります。妻に話すと、「一戸建てもいいわね。」とのこと。新しい家に住み、食卓を囲む家族の姿を思い浮かべる2人の会話は、はずみます。
「夢のマイホーム」を手に入れるためには、後悔しない物件選びと資金計画が大切です。住宅購入を思いついた方が、検討すべきポイントをステップごとに考えてみましょう。
この記事を執筆・監修している専門家
ナビナビ住宅ローン編集部
住宅ローンを組む時に抱える「どうやって住宅ローンを選べば良いかが分からない」「金利の違いがよく分からない」「一番お得に借りられるローンはどれなの?」といった疑問・不安を解決できるように解説していきます。
この記事の目次
「夢のマイホーム」、手に入れたいのは、そこに住む人が心地よいと感じる場所
人生において最も高い買い物と言われる「住宅」です。多くの方が、ローンを組むことになりますが、「何のために」を考えてみましょう。買うことがゴールではなく、始まりです。
毎月の住宅ローンに追われ、家族とはすれ違い、やりたいこと、買いたいものを我慢し続ける生活ではないはずです。長期的視野で無理のない返済計画を考えたいですね。
住宅購入を決めたら、情報収集やさまざまな観点から考え、準備を進めていきましょう。
まずは、イメージづくり
夢や希望、価値観は人それぞれです。すべて完璧なマイホームを見つけることは難しく、最終的には、妥協や調整することになりますが、アイデアを出し合い、共有してみることから始めてみてください。
試しに、物件を見に行ってみるのも一つです。営業担当者の誘導に早まることのないように注意しましょう。
個人信用情報を確認してみる
本来であれば、ローンの申込は、購入が決定し返済計画を考えた後ですが、ローン審査が通らず、購入を諦めるのは辛いことです。
過去にクレジットカード支払いに遅延がある場合などは、定期的な収入があっても審査に通らないことがあるので要注意。
また、携帯通信費やコンビニ払いなどの遅延が影響する場合もあるようです。
日頃から、期限を守ることを心掛けることが大切です。もし心配な場合には、CIC等の情報機関にご自身の信用情報を問い合わせてみましょう。
※CIC(割賦販売法・貸金業法(クレジット・ローン)における指定信用情報機関)
住宅購入時には、さまざまなお金がかかる
住宅購入時にかかる費用には、税金(登録免許税、不動産取得税、印紙税)、登記のための司法書士報酬、ローン保証料や事務手数料、団体信用生命保険料、火災(地震)保険料、仲介手数料などが挙げられます。物件や販売会社で異なる場合もありますが、目安として、新築の場合は、物件価格の3~7%くらい、中古の場合は、6~10%くらいを見積もっておきましょう。
「いくらの物件が買えるの?」~逆算で物件価格を検討する
現在の家計収支と今後のライフプランについて検討することで、「住まい」にかけることのできる金額が見えてきます。
①住まいにかかる費用を検討
賃貸の場合には、基本的に月ごとの家賃ですが、持ち家となると、購入後もさまざまなお金がかかります。
負担額は、現在の家賃と同程度であれば、これまで同様の生活を維持することができます。固定資産税や火災保険などの持ち家ならではの費用が発生します。マンションの場合には、管理費や修繕積立金、駐車場代などの支出、戸建ての場合には、増改築費や修理費用を準備しておく必要があります。
月負担額と同時に、年間で考えてみると、比較しやすくなります。
収入に対する住まいにかかる費用の割合(負担率)は、手取りの25%前後が無理のない比率と言われています。個人差はありますが、目安として検討してみてください。
- 住まいに係る費用÷収入=負担率
- 例) 120万円(月額10万円×12ヵ月)÷500万円=24%
②現在の家計収支を把握
住まいにかかる費用がアップするのであれば、別の費用を抑えるなど現在の支出について考える必要があります。これまでなんとなく家計のやりくりをしてきた場合も、現状把握や見直しをするよい機会になるでしょう。意外と多い「使途不明金」を分析するだけでも数万円捻出することができる場合もあります。
③これからのライフプランにかかるお金を見積もる
ローンの借入期間は長期にわたります。お子さまが成長するにつれ、食費や教育費アップにより日常生活における支出額も変化するでしょう。大学入学準備資金や老後資金で、いくらぐらい必要になるのか、どのように準備していくのかを考えます。退職金の有無についても確認しておきましょう。
具体的な物件の検討には、優先順位を考慮
どこに住むか、駅からの距離、南向き、〇階以上、新築にこだわる、築〇年以内などイメージをもとに物件探しとなります。
家族が長く住める家を目指して、資金的な面だけでなく、優先順位を考えながら、さまざまな観点で検討しましょう。
緊急予備資金は、残しておく
住宅ローンは、長期であり、また大きな金額であるため、「利息」を考慮する必要があります。頭金を入れることで借入額を減らし、結果として総支払額を減らすことは効果的です。
とはいえ、今回の新型コロナウィルスのような突発的な要因での収入減少や慶弔費等などに対応できる「緊急予備資金」は手元に残しておきましょう。
収入の6ヵ月分くらいを目安に、いつでも引き出せるお金があると安心です。
住宅ローン借入れのポイント「いくら借りるか。」
物件を見ているうちに、予算が上がってしまうこともありがちです。物件担当者から、「この物件なら買えますよ。」と勧められることもあります。数千万円という価格帯のなかで、誤差に思えてしまうものです。将来にわたって、無理なく返済できる計画をたてましょう。「借りられる額」ではなく、「返せる額」でローンを組むことが前提です。
住宅ローン借入れのポイント「いつまで」「金利は」
金融機関によって、また同じ金融機関でも、固定金利や変動金利、ミックス金利などさまざま商品があり、規定もさまざまです。
一般的に、固定金利は、返済満了まで金利が一定なため、資金計画がたてやすいのがメリットですが、変動金利と比較すると、高い金利設定です。
変動金利は、金利が低いものの、その時の経済情勢等により変動するため、金利上昇に伴う返済額アップの負担や資金計画がたてにくい心理的不安が伴います。
1円でも返済負担を減らしたい人と金利上昇不安を持ちたくない人とでは、選ぶ商品が異なりますので、それぞれにあった商品を選びたいですね。
借入期間によっては、退職後までローンが継続する場合もありますが、長期で申込み、繰り上げ返済での対応を視野に入れることをお勧めします。負担額を抑えることでライフプランの変化に対応することが可能です。
人生をトータルで考えること
住宅購入は度々あるものではありません。にもかかわらず、人生において、大きな影響を与える選択となります。タイミングを大切にしつつも、今後の家族の働き方や進路、また退職後の生活までも視野に入れたライフプランのなかのひとつとして考えましょう。
退職後のローン返済やリスクについても想定し対策をしておく、選択肢を用意しておくということ大切です。
インターネットでの情報も参考になりますが、それぞれの事情や価値観にあうのか疑問が残る場合もあります。ファイナンシャルプランナーへの相談もひとつです。