フラット35の借り換えは頭金不要!頭金ゼロのメリット・デメリットと注意点
執筆者: 政所温也 (株式会社Choices 代表取締役)
- フラット35を利用して借り換える場合は、頭金は不要
- ただし頭金がないと金利割引のあるプランは利用できない
- 借り換えを検討する場合はフラット35以外の民間住宅ローンも視野に入れよう
と疑問に思い、情報収集されている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
フラット35は、完済まで金利が同じという安心感が魅力の住宅ローンですが、新規借入れの際には頭金の有無で金利も変わります。
だからこそ、借り換えする際も頭金の取扱いが気になりますよね。
結論から言うと、一般的に普及しているフラット35(買取型)に借り換える場合は、頭金の有無に関わらず金利は一律です。
当記事では、フラット35に借り換える際の頭金の取扱いと、頭金ゼロのメリットやデメリットをお金のプロであるFPがわかりやすく解説していきます。
この記事を執筆・監修している専門家
ナビナビ住宅ローン編集部
住宅ローンを組む時に抱える「どうやって住宅ローンを選べば良いかが分からない」「金利の違いがよく分からない」「一番お得に借りられるローンはどれなの?」といった疑問・不安を解決できるように解説していきます。
この記事の目次
借り換えの場合、フラット35の頭金は不要
冒頭でも触れたように、現契約の住宅ローンからフラット35(買取型)に借り換えをする場合、頭金は不要です。
フラット35で新規借入れをする際は頭金が1割あるかないかで適用金利も大きく変わりますが、借り換えの場合は頭金で金利が変わることはありません。
参考までに、フラット35の新規借入れ時・借り換え時の金利を以下の表にまとめました。
返済期間 | フラット35 新規借入れ時の金利 | フラット35 借り換え時の金利 | |
---|---|---|---|
頭金1割以上 | 頭金1割以下 | 頭金による金利の違いはなし | |
15年~20年以下 | 1.260% 2021年03月適用金利 自己資金10%以上 借入期間15年~20年の場合 機構団信加入 |
1.520% 2021年03月適用金利 自己資金10%未満 借入期間15年~20年の場合 機構団信加入 |
1.260% 2021年03月適用金利 借入期間15年~20年の場合 一般団信加入 |
21年~35年以下 | 1.350% 2021年03月適用金利 自己資金10%以上 借入期間21年~35年の場合 機構団信加入 |
1.610% 2021年03月適用金利 自己資金10%未満 借入期間21年~35年の場合 機構団信加入 |
1.350% 2021年03月適用金利 借入期間21年~35年の場合 一般団信加入 |
上記表を見るとわかるように、新規借入れ時は頭金がないと金利が高くなっています。
対して借り換えのケースでは、頭金の有無にかかわらず金利は一律です。
借り換えの際は頭金の他にもさまざまな諸費用がかかりますので、頭金ゼロはありがたいですよね。
しかしながら、頭金ゼロの借り換えには当然デメリットもあります。
頭金ゼロでの借り換えを考えている方にとってメリット・デメリットは非常に重要なポイントですので、それぞれ詳しく解説していきますね。
頭金ゼロで借り換えるメリット
フラット35への借り換えで頭金をゼロにする場合のメリットは、
- 新規借入れで頭金を入れた場合と同様の金利が適用される
- 自己資金が少なくても借り換えできる
- 借り換えによる諸費用の負担を抑えられる
の3つです。
2021年現在は変動金利も固定金利もまだまだ低金利が続いていますが、この先いつどのタイミングで金利が上昇するかはわかりません。
だからこそ、低金利かつ少ない諸費用で借り換えできる点は大きなメリットですよね。
「固定期間選択型に加入していてもうすぐ固定期間が切れる」という人や、「変動金利で加入していて金利上昇が不安」という人にとって2021年現在は、フラット35への借り換えを検討しやすい時期だといえます。
頭金ゼロで借り換えるデメリット
頭金ゼロで借り換えるデメリットは以下の2つです。
- 頭金ゼロだと住宅ローンの審査が不利になる可能性がある
- フラット35の保証型など、お得な金利プランには借り換えできない
フラット35に限らず住宅ローンの審査では、頭金がないことで審査も不利になるケースが多々あります。
逆に言えば、頭金がしっかり用意できていることで、
- お金を貯められる能力がしっかりある
- 信用力が高い
とみなされる可能性が高いのです。
残念ながら、頭金がないとそのようなアピールはできませんから、結果的に審査面でも不利になりやすいです。
加えて、借り換えのローン審査は新規借入れ時より厳しくなる傾向があります。
したがって頭金がない状態で借り換える際は、審査で不利になることを理解したうえでローン審査を申し込む必要があるということですね。
「フラット35の保証型を利用できない」というデメリットについては、次項で詳しく触れていきます。
頭金ゼロの場合、フラット35保証型の低金利は利用できない
フラット35には「買取型」と「保証型」の2種類がありますが、頭金が無いと低金利な保証型を利用することはできません。
フラット35の保証型とは、金融機関がローンの借り手になることで、金利や団信を独自に設計できる商品のことです。
保証型の大きな特徴として、買取型より低い金利が適用されるという点があります。
保証型を新規で取扱う金融機関はまだ少ないものの、低金利に魅力を感じて申し込む方が着実に増えています。
保証型を取扱う住信SBIネット銀行やARUHIでは、頭金を1割~3割入れることを条件に、買取型より低い金利を提供しています。
ハッキリ言ってしまえば、金利面では圧倒的に保証型のほうがお得です。
フラット35買取型 (どの金融機関でも最低金利は同じ) |
1.350% 2021年03月適用金利 借入期間21年~35年の場合 自己資金10%以上 機構団信加入 |
---|---|
フラット35保証型 (金融機関により金利は違う) |
1.270% 2021年03月適用金利 自己資金10%以上 団信加入 |
上記のとおり、保証型は基本的に買取型よりも金利が低いのです。
しかし、フラット35の借り換えで保証型を利用するためには、頭金を1割以上入れなければ利用できない(※)ので、金利を低くしたい方は注意しましょう。
※フラット35の保証型は商品設計が自由なので、今後頭金なしでも借りられる商品が販売される可能性もあります。
フラット35Sも借り換えでは利用できない
借り換えする際の最重要ポイントは、やはり「金利の低さ」です。
したがって、フラット35への借り換えで情報収集していて「フラット35S」という商品を見つけた方も多いかもしれません。
「フラット35S」とは、フラット35の対象住宅基準よりさらに高い技術基準をクリアした物件にのみ適用され、借入当初5年~10年の間金利が引き下げられる金利優遇プランのことです。
このような特徴から、
と考えている人も多いのではないでしょうか。
しかし、フラット35よりも低金利なフラット35Sは、借り換えでは利用できません。
そもそもフラット35Sは、省エネルギー性や耐震性能が優れた質の高い住宅の取得を促す制度なので、新規借入れ時しか適用されないのです。
フラット35へ借り換えを考えている場合は、頭金の有無にかかわらずフラット35Sは利用できないと覚えておきましょう。
フラット35だけでなく民間の住宅ローンも検討しよう
フラット35へ借り換えする際の頭金が気になっている方は、フラット35以外の住宅ローンも選択肢に含めて検討しましょう。
なぜならば、長期固定金利に借り換えできる住宅ローンはフラット35だけではないからです。
実は民間金融機関も、長期固定金利で魅力的な住宅ローンを多数取り扱っています。
金融機関によってはフラット35よりも低い長期固定金利を案内していたり、団信保障が充実していたりします。
固定金利への借り換えにおすすめの住宅ローン
「フラット35だけでなく、民間金融機関の住宅ローンも検討したほうが良い」とお伝えしましたが、民間の住宅ローンは数が多く、ご自身の希望に合った商品を探すだけでも至難の技だといえます。
そこでお金のプロとして、お読みいただいている方におすすめできる優秀な住宅ローンを厳選してみました。
おすすめの住宅ローンは、
の3つです。
それぞれの特徴やおすすめするポイントをわかりやすくご説明していきますね。
①住信SBIネット銀行 フラット35(保証型)
おすすめポイント
- 住信SBIネット銀行のフラット35(保証型)は、頭金さえ支払えば、他のフラット35(買取型)よりも圧倒的低金利で借り換えできます
- 金利の低さだけでなく、先進医療などの特約が複数付いた団体信用生命保険に加入できる点も、大きな魅力です
1割の頭金が必要になる点には注意が必要ですが、「頭金を支払ってでも低金利な全期間固定金利へ借り換えたい」という方にとてもおすすめですよ。
すべての病気やケガをカバーする全疾病保障も無料で付いているため、借り換え後の長いローン期間中も安心して返済することができます。
②新生銀行(パワースマート住宅ローン 当初20年固定金利)
おすすめポイント
- 金利の低さと初期費用の安さがおすすめポイントです
固定期間が20年と短くなっている点には注意が必要ですが、「繰り上げ返済を活用して早めに完済したい」という方にピッタリな商品内容だといえます。
新生銀行で特筆すべき魅力は、やはり「初期費用」ですね。
頭金なしで申し込みできる点に加え、保証料無料、融資事務手数料は10万8000円と破格の安さになっています。
実は他の金融機関では、借り換え時の融資事務手数料だけでも50~60万円かかることもざらにあるのです。
新生銀行の住宅ローンであれば、頭金や初期費用が気になる方でも安心して借り換えすることができますよ。
③三井住友信託銀行(リレープランフレックス 固定プラン30年)
おすすめポイント
- 多彩な金利優遇プランに加え、疾病保障などのサービス充実度が突出しています
受けられるサービスは下記のとおりです。
- NISAなどの口座開設により金利を0.03%引き下げできる「家計応援プラン」
- 年0.15%~年0.3%の金利上乗せで全ての病気やケガをカバーできる
「全入院保障付八大疾病保障(充実プラン、ライトプラン)」 - 出産後1年間の金利が優遇される「子育てサポートサービス ベビさぽ」
さらに、先にご紹介した新生銀行と住信SBIネット銀行は店舗が関東・関西に集中していますが、三井住友信託銀行は全国的に店舗展開しています。
したがって、地方にお住まいの方でも比較的近くの店舗で借り換え相談することができますよ。
まとめ
フラット35に借り換えるときの頭金の取扱いやメリット・デメリット、おすすめの住宅ローンについてご紹介してきました。
改めて、重要なポイントを振り返りましょう。
フラット35への借り換え・頭金の取扱いで重要な4つのポイント
- フラット35は買取型なら頭金不要、保証型の場合は頭金が必要
- 頭金ゼロで借り換える場合は初期費用負担を抑えられるが、審査上不利になるなどのデメリットもある
- 民間金融機関にも長期固定金利の住宅ローンはあるので、借り換えの選択肢に入れておこう
- 借り換えにおすすめの長期固定金利住宅ローンは
・住信SBIネット銀行のフラット35保証型(全期間固定金利)
・新生銀行の20年固定金利
・三井住友信託銀行の30年固定金利
の3つ
フラット35の買取型なら、頭金がなくても借り換えをすることができます。
ただし頭金ゼロでの借り換えにはデメリットもあるので、注意が必要ですよ。
長期固定金利や頭金を重視して借り換え先を選ぶのであれば、フラット35にこだわらず、民間金融機関の住宅ローンも含めて選ぶことが大切です。