ブラックリストでも住宅ローンを借りられる?審査に通過するための対処法
執筆者: 白坂大介 (ジョインコントラスト株式会社 代表取締役)
- ブラックリストになると住宅ローン審査はかなり厳しくなる
- ブラックリストは5年もしくは10年間で消える
- 不安な場合は個人信用情報機関に問い合わせる
「ブラックリストに入っているかも知れない……」
「住宅ローンの審査に通らないんじゃないか」
クレジットカードの支払いを何度も延滞した、カードローンへの支払いが遅れているなどの理由から、住宅ローン審査に不安を感じている方もいるでしょう。
ブラックリストは個人信用情報に事故情報が記載されている状態の通称ですが、事故情報は5年もしくは10年間で消えます。
また、フラット35などのように民間住宅ローンとは審査基準が異なる住宅ローンを利用することで、審査に通る可能性もあります。
そのためブラックリストに載っているからといって、必ずしも住宅ローンを組めないわけではありません。
今回の記事では、ブラックリストに載った場合はいつまで待てばよいのか、ブラックリストに載っている状態で住宅ローン審査に申し込む際の注意点を紹介します。
この記事を執筆・監修している専門家
ナビナビ住宅ローン編集部
住宅ローンを組む時に抱える「どうやって住宅ローンを選べば良いかが分からない」「金利の違いがよく分からない」「一番お得に借りられるローンはどれなの?」といった疑問・不安を解決できるように解説していきます。
この記事の目次
ブラックリストでも住宅ローン審査に落ちるとは限らない
前提として、金融機関が「ブラックリスト」というリストを持っているわけではありません。
金融機関は住宅ローンの審査をする際に、個人信用情報を照会します。
この個人信用情報に「事故情報」が記載されている状態のことが、一般的には「ブラックリストに載る」「ブラックになる」と呼ばれています。
個人信用情報とは
- クレジットカードの分割払いや、カードローンの借り入れ履歴などが記録されてる
- 3ヶ月以上の支払い遅延をしたり、1~2ヶ月でも何度も支払い遅延を繰り返したりしていると「異動」と記載される
個人信用情報に「異動」が記載されていると、住宅ローン審査に通るのはかなり厳しくなります。
まずは、ご自身がいわゆるブラックリストの状態になってしまっていないかを確認しましょう。
自分がブラックリストなのかを確認する方法
ご自身の個人信用情報に事故情報があるのかどうか、いわゆるブラックリストの状態になってしまっているかどうかは、個人信用情報機関に問い合わせることで確認できます。
主な信用情報機関と、それぞれの加盟会員は以下表の通りです。
信用情報機関 | 主な加盟会員 |
---|---|
CIC(シーアイシー) | クレジットカード会社・信販会社 |
JICC(日本信用情報機構) | 消費者金融 |
KSC(全国銀行個人信用情報センター) | 銀行 |
それぞれの信用情報機関によって主な加盟会員は異なりますが、CIC・JICC・KSCに登録されている個人信用情報はすべての機関で共有されています。
「クレジットカードの支払いが延滞していることは銀行にバレないから住宅ローン審査も問題ない」ということにはなりませんので、注意してください。
自分の個人信用情報を調べたいときは、加盟会員の傾向を踏まえて自身と取引のある会社・銀行が利用しているであろう信用情報機関に開示手続きを申し込みましょう。
CICへの開示手続き
主にクレジットカード会社・信販会社が加盟しているCICでは、スマートフォンから開示手続き可能です。
受付番号を取得してから1時間以内に個人情報を入力しなければならないため、まとまった時間が取れるときに開示手続きを行うようにしましょう。
受付時間と手数料
受付時間 | 8:00~21:45(年中無休) |
---|---|
利用手数料 | 1,000円(初回開示から96時間以内に再開示を行った場合は無料) |
支払方法 | クレジットカード決済(1回払い) |
開示手続きの流れ
CIC公式サイトへアクセス
CIC公式サイトから「スマートフォンで開示」を選択。
手続き前の確認事項を確認
クレジットカード会社へ登録している電話番号を把握しておく。
またCICの支払いに対応しているクレジットカードを用意する。
受付番号の取得
電話をかけて受付番号を取得する。
個人情報の入力
スマートフォンから手続き画面に個人情報を入力する。
開示報告書の表示
パスワードを入れて開示報告書を表示する。
JICCへの開示手続き
JICCへ個人信用情報の開示を請求する場合は、専用のアプリをダウンロードする必要があります。
アプリのダウンロードリンク(外部サイト)
受付時間と手数料
受付時間 | 24時間365日(メンテナンス時間帯を除く) |
---|---|
利用手数料 | 1,000円(初回開示から96時間以内に再開示を行った場合は無料) |
支払方法 | クレジットカード決済・コンビニ支払い・銀行振込・オンラインバンキング ※クレジットカード決済以外は別途支払手数料が必要 |
開示手続きの流れ
専用アプリのインストール
JICCスマートフォン開示受付サービスをインストールしておく。
ダウンロードリンク→「Google Play」「App Store」
パスワードの発行
アプリにメールアドレスを送信してパスワードを入手する。
個人情報の入力
アプリ上で個人情報を入力する。
本人確認書類の提出
本人確認書類の撮影データを送信する。
支払方法の選択
開示手数料の支払方法を選択する。
開示結果の受け取り
郵送された開示結果を受け取る。
KSCへの開示手続き
KSCでは郵送による申し込みのみを受け付けています。
窓口やスマートフォンから個人信用情報の開示を請求することはできません。
本人が郵送で開示手続きを申し込む際は、下記の書類が必要です。
登録情報開示申込書 | KSCのサイトからダウンロード可能 |
---|---|
手数料 | ゆうちょ銀行が発行する1,000円の定額小為替証書 |
2種類の本人確認書類 (氏名・生年月日が確認できる資料と 現住所を確認できる資料) |
|
送付先
一般社団法人全国銀行協会 全国銀行個人信用情報センター
なお、本人以外の第三者がKSCに個人信用情報の開示手続きを申し込む場合は、必要となる書類が変わってきますので、公式サイトの情報を確認してください。
ブラックリストの住宅ローン審査対策
ブラックリストの状態になってしまっている間、住宅ローン審査がかなり厳しくなることは事実。
とはいえ、審査自体に申し込めない訳ではありません。
ここからは、ブラックリストに載っている状態で申し込む場合に行っておきたいことを紹介します。
注意点
ブラックリストに掲載された状態で、住宅ローンを借りることを推奨しているわけではありません。
過去に金融事故を落としてしまった方は、個人信用情報から「異動」の記載が消えてから申し込むことが理想です。
対策1:頭金の割合を多くする
物件価格に対して、頭金の割合を多くすることで住宅ローン審査に通る可能性を上げることができます。
頭金を用意すれば、シンプルに住宅ローンの借入金額が少なくなるだけでなく、金融機関に対して「計画的に貯蓄ができる人である」というアピールにもなり、担当者に良い印象を与えやすいのです。
もし、ご自身で頭金を用意することが難しいのなら、両親や祖父母から資金援助を受けるのも手段のひとつです。
一定の要件を満たしていれば、住宅購入のための資金援助には贈与税がかからないため、家族に相談してみると良いでしょう。
対策2:審査基準が違うフラット35を利用する
ブラックリストに載っているときは、一般的な銀行の住宅ローン審査に申し込んでも簡単には融資承認は出してくれません。
そのため、一般の住宅ローンとは審査基準が異なる「フラット35」の利用をおすすめします。
フラット35とは
- 「住宅金融支援機構」と「民間金融機関」が提携して扱う住宅ローン
- 全期間固定金利のみ
- 人物よりも物件を中心に審査が行われる
一般的な住宅ローンが年収・勤務先・勤続年数などを中心に審査を行っていることに対して、フラット35では「融資条件をクリアしているか」という点に重きが置かれています。
そのため、ブラックリストに載っている場合でもフラット35であれば審査に通る可能性があると言えるでしょう。
対策3:異動情報が消えるのを待つ
信用情報機関から開示された情報を確認した結果、自分の信用情報に「異動」という記載があれば、いわゆる「ブラックリストに載っている」ことになります。
しかし、個人信用情報に登録された事故情報は永遠に残るわけではありません。
登録された理由にもよりますが、5年から10年の登録期間が経過すると個人信用情報に登録された事故情報は消えます。
登録情報 | 登録期間 |
---|---|
【取引情報】 ローンやクレジットカードの契約内容・返済状況の履歴 |
契約期間中および契約終了日(完済されていない場合は完済日)から5年を超えない期間 |
【照会記録情報】 会員がセンターを利用した日、ローンやクレジットカードの申し込み・契約内容 |
当該利用日から、本人開示の対象は1年を超えない期間、会員への提供は6か月を超えない期間 |
【不渡情報】 手形交換所の第1回目不渡、取引停止処分 |
第1回目不渡は当該発生日から6か月を超えない期間、取引停止処分は当該処分日から5年を超えない期間 |
【官報情報】 官報に公告された破産・民事再生手続開始決定 |
当該決定日から10年を超えない期間 |
【本人申告情報】 本人確認資料の紛失・盗難、同姓同名別人と間違えられる恐れがあるなどの本人からの申告内容 |
登録日から5年を超えない期間 |
【貸付自粛情報】 本人の浪費癖やギャンブル依存症により本人や家族の生活に支障を生じる恐れがあることから、自らを自粛対象者とする本人からの申告内容 |
申告日から5年を超えない期間 |
個人信用情報から異動の記載が消えれば、住宅ローンの審査に通る確率はグッと高くなります。
そのため、住宅ローンを借りたいときはブラックリストから消えるまで待つほうことが理想です。
異動情報が消えるまでにしておくこと
ブラックリストから消えるまでの期間は、最低でも5年が必要です。
これから紹介する対策を講じておくことで、より住宅ローン審査に通る可能性を挙げられるでしょう。
異動情報が消えるまでにしておくこと
自己資金を貯めておく
ブラックリストから消えるまでの期間を活かして、自己資金を貯めておきましょう。
自己資金に余裕があれば頭金の割合を大きくすることが出来るため、住宅ローンの審査にも通りやすくなります。
また、住宅ローンの借入金額が減ると毎月のローン返済額も抑えられ、返済による家計の負担を軽くすることができます。
頭金の目安
- 理想とされる頭金の割合は「物件購入代金の約1割~2割」
- 物件価格が3,000万円の場合は「300万円~600万円」ほど
頭金を用意するのは決して簡単ではありませんが、だからこそ異動情報が消えるまでにコツコツを自己資金を貯めておくことをおすすめします。
他の借り入れを完済しておく
自動車ローンやカードローンなど、住宅ローン以外の借り入れがある場合は事前に完済しておきましょう。
他の借り入れがある状態では、ブラックリストから消えるまでの間に事故情報を増やしかねません。
個人信用情報にはクレジットカードの支払い遅れなども含まれるため、遅延なく毎月支払いを続けていきましょう。
他の借り入れがある場合の注意点
- 他の借り入れは住宅ローン審査に重要な「返済負担率」に影響します
- 住宅ローンと他の借り入れの両方の返済が重なることで、家計の負担になりやすい
せっかく買ったマイホームを手放さないためにも、ブラックリストから消えるまでの間にローンの返済を着実に進めることが大切です。
まとめ
個人信用情報に事故情報が登録される=ブラックリストに載ると、住宅ローン審査に通ることは基本的に難しくなります。
しかし、ブラックリストには登録期間があり、事故情報が永遠に残るわけではありません。
個人信用情報は5年もしくは10年で消えるため、その間に自己資金を貯めたり、他の借り入れを完済したりと、住宅ローン審査へ対策をしておきましょう。
また、どうしても早くマイホームを購入したい方は、フラット35の利用も検討してみてくださいね。