失敗しない住宅ローンの組み方をFPが解説! 家賃と同額ローンが危険な理由
執筆者: 政所温也 (株式会社Choices 代表取締役)
住宅を購入するにあたって、ほとんどの人が検討する住宅ローン。
しかし住宅購入は多くの人にとって一生に一度の経験のため、どんな手順で何に気を付けてローンを組めばいいのか、わかりづらいですよね。
「いろんな種類や金融機関があるけど、どれを選べばいいのかわからない」
「どのタイミングで住宅ローンに申し込めば、スムーズに家を買えるの?」
「将来、もし返済できなくなったらどうしよう……」
この記事では、こうした疑問を感じている人のために、住宅ローンを選ぶポイントや住宅ローンを組む際の流れ、必要書類についてなど、住宅ローンの組み方をわかりやすく解説します。
はじめての住宅ローンでも、後悔せずにマイホームを手に入れられるよう、しっかり事前にチェックしてくださいね。
- 住宅ローンは、まず金利タイプを選んでから金融機関を検討するのがおすすめ
- わずかな金利差でも支払額が大きく変わるので注意
- 家賃と同額ローンは危険! 返済率は手取り収入の25%以下に抑える
- 申込みの流れと必要書類を事前にチェックしておくと安心
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この記事を執筆・監修している専門家
ナビナビ住宅ローン編集部
住宅ローンを組む時に抱える「どうやって住宅ローンを選べば良いかが分からない」「金利の違いがよく分からない」「一番お得に借りられるローンはどれなの?」といった疑問・不安を解決できるように解説していきます。
この記事の目次
住宅ローンのおすすめの組み方を解説!
住宅ローンを扱う金融機関は多く、商品も多様なため、どのように検討すればいいのか悩む人も多いでしょう。
住宅ローンのおすすめの組み方は、
STEP1 | 住宅ローンのプラン(金利タイプ)を決める |
---|---|
↓ | |
STEP2 | 融資を受ける金融機関を決める |
という手順で商品を絞り込んでいく方法です。
それぞれの手順ごとに、ポイントを解説していきましょう。
まずは住宅ローンのプラン(金利タイプ)を決める
住宅ローンを組むときは、最初に「どんなプラン(金利タイプ)で借り入れするか」を決めましょう。
住宅ローンには、大きく分けて以下の3つの金利タイプがあります。
住宅ローンの金利タイプ
- 全期間固定金利:借入の全期間にわたって金利を固定できるが、金利はやや高い傾向がある
- 変動金利:最も金利が低いが、将来的に金利が上昇するリスクがある
- 当初固定金利:一定期間の金利を固定できるが、期間終了後に金利が上昇するリスクがある
金融機関によって、どの金利タイプがお得に利用できるのかは異なります。
また、中には限られた金利プランしか扱っていない金融機関も。
そのため、まず金利プランを決めてから、そのプランでお得に借りられる金融機関を探すのがおすすめです。
「金利タイプの違いがわからない」という方は次の章を参考にして、ご自身にどの金利タイプが適しているかを考えてみましょう。
各金利タイプのメリット・デメリット
金利タイプ選びで悩んだら、上記の表を参考にしてみましょう。
一言でいえば、「変動金利」は最も低金利で借りられるけれど、将来的に金利が上がるリスクがある。
「全期間固定金利」は金利が最も高い傾向があるけれど、金利が借入時のまま変わらない。
その中間の「当初期間固定金利」は、借り入れ当初の一定期間だけ金利を固定できるという特徴があります。
それぞれが向いている方は、以下のようなイメージです。
金利タイプ | 向いている方 |
---|---|
変動金利 | 収入や貯蓄に余裕があり、万一の金利上昇に対処できる方 |
当初固定金利 | 固定期間中と固定期間終了後を詳細にシミュレーションして、計画的に返済できる方 |
全期間固定金利 | 借入金額が大きく、安定した返済を希望する方 |
将来の金利がどうなるのかは、誰にもわかりません。つまり最終的にどの金利タイプがお得なのかを、住宅ローン契約前に判断することは不可能です。
どの金利タイプにもメリットとデメリットがあるので、ご自身のライフスタイルに合ったものを選ぶようにしましょう。
金利タイプに関しては、以下の記事で詳細に解説していますので、より詳しく違いを知りたいという人は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
融資を受ける金融機関を決める
住宅ローンの金利タイプを決めたら、次は融資を受ける金融機関を選びましょう。
住宅ローンの借入先は、大きく以下の3つに分けられます。
どこから借りるのか:借入先
- 銀行などの民間の金融機関から借りる「民間融資(民間ローン)」
- 自治体などの公的機関から借りる「公的融資」※取り扱いは5年固定金利型
- その中間に位置する「フラット35(協調融資)」※取り扱いは全期間固定金利
もっともイメージしやすいのが、「●●銀行 住宅ローン」のように、各銀行が提供している民間融資(民間ローン)でしょう。
しかしこの他にも、公的機関から借りる「公的融資」や、民間融資と公的融資の中間にあたる「フラット35(協調融資)」などの借入先があります。
それぞれ、扱っている金利タイプや申し込める条件が異なりますので、申し込む前にしっかりチェックしておいてくださいね。
金融機関選びのポイント
- 変動金利や当初固定金利なら、選択肢の多い「民間融資」がおすすめ
- 「全期間固定金利」なら、フラット35を検討する
- 勤務先に財形貯蓄制度があるなら、財形住宅融資を検討してもいい
以下の記事では、それぞれの金利タイプ別におすすめの住宅ローンをご紹介していますので、自分の借りたい金利タイプをお得に利用できる金融機関をチェックしてみてくださいね。
審査は3~4社に申し込むのがおすすめ
住宅ローンの事前審査や本審査は、どちらも審査通過後に別の住宅ローンを選んでも問題ありません。
そのため、希望する金利タイプでお得な金融機関をピックアップし、3~4社の審査に申し込んでおくのがおすすめです。
ただし、5社を超える多数の金融機関への一斉申し込みは避けてください。
審査申し込みの注意点
- 審査に落ちる可能性もあるので、複数の金融機関で審査に申し込むのがおすすめ
- ただし、同時に5社を超える金融機関への審査申し込みをするのはNG
5社以上の審査申し込みがおすすめできないのは、金融機関が審査で個人信用情報を照会する際、照会された履歴が残ってしまうからです。
履歴が多すぎると、「この人は色んなところで申し込んでいるけど何回も審査に落ちているのかな」という印象を持たれる可能性があります。
このような印象を持たれてしまった場合、審査に落ちてしまいやすくなるので、注意が必要です。
住宅ローン選びで失敗しないための注意点
住宅ローン選びでの失敗を防ぐためには、以下の3つの注意点を理解しておくことが大切です。
住宅ローン選びの注意点
いずれも重要なポイントですので、それぞれわかりやすく解説していきますね。
少しの金利差でも、支払額が数百万円変わることがある
実は住宅ローンの適用金利が年0.5%だけでも違うと、支払額が数百万円変わる可能性があります。
例として、借入金額3,000万円、返済期間35年という前提条件をもとにシミュレーションをしてみましょう。
■金利差0.5%の住宅ローンシミュレーション
適用金利 | 毎月の支払い額 | 住宅ローンの総支払額 |
---|---|---|
年1.0% | 8万4,685 円 | 3,556万7,804 円 |
年1.5% | 9万1,855 円 | 3,857万9,007 円 |
支払いの差額 | 7,170円 | 301万1,203円 |
※元利均等返済方式、ボーナス払いなし、全期間固定金利の場合
適用金利が年0.5%違うと、上記のように総支払い額が約301万円も変わることがわかりました。
もし借入金額が3,000万円より多ければ、支払い総額の差はさらに大きくなります。
住宅ローンを検討する際は、金利の差による支払総額の差も踏まえて各プランを比較してくださいね。
ただし、金利を比較する際には金利タイプごとのリスクを踏まえて、同じ金利タイプ同士で比較するようにしましょう。
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返済比率は手取りの25%以下に抑える
住宅ローンの返済比率は、手取り収入の25%以下に抑えることが大切です。
返済負担率とは、「年収に占める年間返済額の割合」を指します。
返済負担率が25%以下になる目安を年収別に一覧で見ると、以下のようになっています。
額面年収 | 手取り月収 | 返済負担率25%となる借入額 |
---|---|---|
400万円 | 約26万円 | 約2,190万円 |
500万円 | 約32.2万円 | 約2,720万円 |
600万円 | 約38.1万円 | 約3,210万円 |
700万円 | 約43.7万円 | 約3,680万円 |
※元利均等返済方式、ボーナス払いなし、全期間固定金利(金利1.3%)、返済期間35年の場合
例えば、年収500万円の場合、ボーナスなしの場合の手取り月収は約32.2万円となります。
そのため、理想的な返済額は
と考えられます。
この返済額で借りられる住宅ローン額の目安が、上記の表にある約2,720万円となるのです。
住宅ローンの一括比較シミュレーション
▼住宅ローン借り入れシミュレーション(新規)▼ ※「毎月の返済額から借入可能額を調べる」を利用してください。 |
家賃と同額の住宅ローンを組むのは危険
前章で、例として年収500万円の人の場合、理想的な住宅ローンの返済額は月額8.05万円程度とおつたえしました。
これを見て、「今、もっと高い家賃を払っているのだから、返済額を増やしても大丈夫なのでは?」と感じた方もいるでしょう。
しかし、賃貸の家賃と同額の住宅ローンを組むのは、非常に危険です。
なぜなら、住宅ローンを組むと、返済額以外にも修繕積立金や管理費などの「住宅ローン以外の住居関連費」が発生するからです。
住宅ローン以外の住居関連費の一例
-
戸建て:
固定資産税、火災&地震保険料、リフォームメンテナンス代など -
マンション:
固定資産税、火災&地震保険料、管理費、修繕積立金、駐車場代など
住宅の種類によって住居関連費は変動しますが、年間数十万円程度、月にすると毎月数万円かかるのが一般的です。
したがって住宅ローンの返済額を決めるときは、これらの住居関連費も考慮したうえで返済計画を立てなければなりません。
住宅ローン申し込みの流れ
住宅ローンには申し込み~融資実行まで、さまざまな手続きや書類が必要です。
申し込みの流れを簡単にまとめると、
STEP1 | 事前審査を申し込む |
---|---|
↓ | |
STEP2 | 本審査を申し込む |
↓ | |
STEP3 | 契約の締結、司法書士との面談 |
↓ | |
STEP4 | 融資実行 |
という4つのステップになっています。
手続きが遅れて融資実行日がズレると住宅ローンの適用金利にも影響するため、スムーズに進められるようにしっかり準備することが重要です。
ここでは住宅ローン申し込みの流れに併せて、用意すべき必要書類の例を下記表にまとめました。
これから住宅ローンを申し込みされる方は参考になさってくださいね。
■住宅ローン申込の流れと必要書類の一例
流れ | 必要書類 |
---|---|
①事前審査 ※1~2日程度 |
事前審査の時点では書類の提出は不要。 ただし収入や勤務先情報、ローン以外の借入がわかる書類を用意しておくと、入力不備を避けることができる。 |
②本審査 ※1~2週間程度 |
<住宅ローン関連書類>
|
③住宅ローン契約締結、司法書士との面談 |
|
④融資実行 | ― |
事前審査の申し込みから融資実行までの期間の目安としては、大体1ヶ月~1ヶ月半程度を想定しておく必要があります。
スムーズに手続きを進めるためには、必要書類の事前準備が重要なポイントとなります。
上記表の必要書類はあくまで一例で、金融機関や契約者の状況によって必要書類異なりますので、事前確認したうえで早めに準備しておくのがベストです。
まとめ
住宅ローンを組むときは、まず金利タイプを決めたうえで金融機関を選ぶようにしましょう。
住宅ローンを組む際には、以下の3つに注意して下さい。
住宅ローン選びの注意点
上記のポイントにさえ気をつけておけば、住宅ローンを組むのは難しいことではありません。
ご自身にとって最適な住宅ローンを組むためにも、当記事で触れたポイントや注意点をしっかり押さえておいてくださいね。