• 2020.11.27

短期プライムレートとは何?住宅ローンの変動金利との関係を分かりやすく解説します

執筆者: 政所温也 (株式会社Choices 代表取締役)
家の模型を眺める小銭の上に座る人形

短期プライムレートとは銀行がもっとも信用力のある企業に対する貸出金利のことで、住宅ローンの変動金利に大きく影響を与えます

とはいえ、これから住宅ローンを利用しようと考えている方は、短期プライムレートの決まり方や詳細まで知っておく必要はありません

変動金利を利用する際に大切なことは、「金利が上がったとしても問題なく返済できるか」だからです

変動金利のリスク対策については、別記事「金利上昇リスクを抑える5つのポイント」で詳しく解説しているので、こちらをご覧ください。

当ページでは変動金利の仕組みについて詳しく知りたい方に向けて、以下の項目を分かりやすく解説していきます。

この記事を執筆・監修している専門家

執筆者

政所温也

株式会社Choices 代表取締役

保有資格・検定

2級ファイナンシャル・プランニング(FP)技能士、損害保険募集人、損保自動車専門試験合格

2010年にファイナンシャルプランナー(FP)として独立し活動中。過去に大手金融ニュースメディアや損保公式サイトでも執筆活動を行った実績があり、「読みやすく理解しやすいライティング」を得意としている。2020年9月現在で、1,700記事以上の執筆実績がある。

編集者

ナビナビ住宅ローン編集部

住宅ローンを組む時に抱える「どうやって住宅ローンを選べば良いかが分からない」「金利の違いがよく分からない」「一番お得に借りられるローンはどれなの?」といった疑問・不安を解決できるように解説していきます。

短期プライムレートとは

短期プライムレートとは、銀行が業績の良い最優良企業に対して資金を貸し出す際の最優遇金利のうち、1年未満の短期貸出金利のことを指します。

もっと噛み砕いた表現をすると、「銀行から見てもっとも信用力のある企業に対する貸出金利」と考えていただければ、イメージしやすいかと思います。

短期プライムレートは各金融期間のホームページや店頭で公表されているほか、日本銀行のホームページでも金融機関の「最頻値」「最高値」「最低値」を確認できます。

補足

以前は短期プライムレートは公定歩合に連動して変動してきましたが、現在は市場金利に連動して変動しています。

そのため、以前との違いを表すために「新短期プライムレート」や「新短プラ」と呼ばれることがあります。

短期プライムレートと長期プライムレートの違い

短期プライムレートと長期プライムレートの違い

短期プライムレートと似た言葉に、『長期プライムレート』があります。

2つの違いは「貸出期間の長さ」であり、短期プライムレートが1年未満の貸出金利に対して、長期プライムレートは1年以上の長期貸出金利のことを指しています

短期プライムレートと長期プライムレートの違い

  • 短期プライムレート
    銀行が優良企業にお金を貸すときの最優遇金利のうち「1年未満の短期貸し出し金利」
  • 長期プライムレート
    銀行が優良企業にお金を貸すときの最優遇金利のうち「1年以上の長期貸し出し金利」

ほとんどの金融機関では、短期プライムレートを基準に一定の利率を上乗せした数値が長期プライムレートとなっています。

そのため長期プライムレートは、短期プライムレートよりも金利が高めに設定されていることが一般的です。

短期プライムレートと住宅ローン金利の関係

短期プライムレートは住宅ローンの変動金利に対して、強い影響を与えています。

短期プライムレートが上がれば住宅ローンの変動金利の基準も上がり、反対に下がれば変動金利の基準は下がります

変動金利の詳しい仕組みを知りたい場合は、短期プライムレートの仕組みを知る必要がありますが、これから住宅ローンを組もうと考えている方が、短期プライムレートまで詳しく知っている必要はありません

冒頭でも触れたように、住宅ローンでは「変動金利が上昇した際でも、無理なく返済できるかどうか」が重要ですので、以下の記事で解説している金利上昇対策を参考になさってください。

短期プライムレートの決まり方

短期プライムレートは、各金融機関が「無担保コール翌日物」などの市場金利を参考に、独自で決定しています。

無担保コール翌日物とは

金融機関が資金不足を補うために、他の金融機関から1日満期で借り入れる超短期取引のことで、担保を預けずに行われます。

「無担保コールレート(オーバーナイト)」と呼ばれることもあります。

参考:SMBC日興証券「無担保コール翌日物」

ただし、実際に主要なメガバンクの短期プライムレートを確認すると、どの銀行でも金利は横並びです。

主要銀行3行の短期プライムレート*2020年11月時点
三菱UFJ銀行 年1.475%
三井住友銀行 年1.475%
みずほ銀行 年1.475%

短期プライムレートを決める元となる「無担保コール翌日物」などの市場金利が同じなので、それぞれの銀行による違いはほとんど見られません。

短期プライムレートの推移は10年間横ばい

2019年11月現在、主要銀行をはじめ、各銀行の短期プライムレート最頻値は年1.475%です。実はこの数値、2009年1月13日以降一切変わっていません。

現在までの短期プライムレートの推移と、今後の推移について解説します。 

現在までの短期プライムレートの推移

2020年現在までの短期プライムレート推移を見てみましょう。2020年からみて過去16年間の金利推移を次の表にまとめました。

表を見ると、2009年から2020年までの11年間、短期プライムレートは一切変わっていないことがわかります

短期プライムレート 過去15年間の金利推移
金利適用月 短期プライムレートの最頻値(年率)
2004年1月 1.375%
2005年1月 1.375%
2006年1月 1.375%
2007年1月 1.625%
2008年1月 1.875%
2009年1月13日
※1月1日-1月13日は最も個数の多いデータが 複数あるため不定
1.475%
2010年1月 1.475%
2011年1月 1.475%
2012年1月 1.475%
2013年1月 1.475%
2014年1月 1.475%
2015年1月 1.475%
2016年1月 1.475%
2017年1月 1.475%
2018年1月 1.475%
2019年1月 1.475%
2020年1月 1.475%

※出典:「長・短期プライムレート(主要行)の推移 2001年以降」(日本銀行ホームページ)

また、短期プライムレートが2009年1月から2020年11月現在まで変動していないため、短期プライムレートに連動する変動金利も、実はほとんど変動していません

短期プライムレートと変動金利はほとんど変動していない

次のグラフは昭和59年から平成29年までの民間金融機関の金利推移を表にしたものですが、変動金利の推移を占めるオレンジ色の折れ線は平成21年以降変動していません

平成21年=2009年なので、先ほどお伝えした短期プライムレートが変動していない期間と一致していますね。

民間金融機関の住宅ローン金利推移
民間金融機関の住宅ローン金利推移

出典:住宅金融支援機構HPより

変動金利という名前からは頻繁に金利が上下しているイメージを持つかも知れませんが、実際はこの10年間“定価”自体はまったく変わっていないのです

もしこの先も短期プライムレートが動かなければ、変動金利も据え置きのままでしょう。そうなれば、変動金利で住宅ローンを借りる方にとっては大きな利息軽減につながります。

住宅ローンの金利推移について詳しくは、以下の記事でも解説しています。

今後の短期プライムレートの予想

住宅ローンで変動金利型を検討している方にとっては、この先も低水準を維持して欲しいですよね。

実際のところ、今後の短期プライムレートはどうなるのでしょうか?

変動金利のもととなる短期プライムレートの予想をするために、短期プライムレートの決まり方について詳しくみてみましょう。

短期プライムレートの決まり方
各金利 概要 金利の決まり方
変動金利 住宅ローンの変動金利のことで、1年に2回金利の見直しが入る 短期プライムレートに影響を受けて決まる
短期プライムレート 銀行が最優良企業に資金を貸し出すときの最優遇金利で、期間が1年未満のもの 無担保コール翌日物などの市場金利に影響を受けて各銀行が決める
無担保コール翌日物などの市場金利 金融機関が1年以内の資金をやり取りするコール市場において、担保なしで資金を借りて翌日に返済する際の短期金利であり、日本の政策金利 日銀の金融政策によって決まる
日本銀行の金融政策 日本の中央銀行である日本銀行(日銀)が、物価の安定を目的として決定している政策。2016年のマイナス金利政策も、日銀の金融政策のひとつ 景気や経済の動向に合わせて決まる

住宅ローンの変動金利は短期プライムレートに影響を受け、短期プライムレートは無担保コール翌日物などの市場金利に影響を受けます。
さらに市場金利は、日銀の金融政策に影響を受けて決まっています。

つまり、短期プライムレートの決定に影響するのは、元をたどれば日銀の金融政策だということがわかりますね

金融政策決定会合では低金利水準を続ける想定

日銀の金融政策は「金融政策決定会合」にて決定されますが、2020年9月16日・17日の会合結果を見てみると、「物価上昇率が安定して2%を超えるまでは、現在の金利水準が続くだろう」ということが読み解けます。

日本銀行は、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続
するために必要な時点まで、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を継続する。
マネタリーベースについては、消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比上昇率の
実績値が安定的に2%を超えるまで、拡大方針を継続する。(中略)政策金利については、現在の長短金利の水準、または、それを下回る水準で推移することを想定している

日本銀行「金融政策決定会合 議事要旨」から引用

具体的な期間についての言及はありませんが、社会全体が景気の上昇を実感していない中で、各銀行も短期プライムレートを無理に引き上げることはできないのではないでしょうか。

そのため物価が上昇し、短期プライムレートに動きが出るまでには、まだまだ時間がかかると思われます

会合の動きは日本銀行のホームページで公開されているため、ご興味のある方はこちらもご覧ください。

日本銀行ホームページ

まとめ

短期プライムレートと住宅ローンの変動金利は連動していて、短期プライムレートが上がれば、変動金利の適用金利も上昇します。

短期プライムレートは日銀の金利政策なので、変動金利の予測をしたい場合は政策の動きをチェックすることが大切です。

とはいえ、住宅ローンを完済するまでの20年~35年という長い年月に対して、信ぴょう性のある予測をすることは現実的ではありません

そのため、変動金利の住宅ローンを検討している方は、以下の記事を参考に金利が上昇しても問題なく返済できる対策をとっておいてくださいね。

また当サイトでは、住宅ローンの金利予想を毎月更新しています。 金利政策や動向についても詳しく解説していますので、こちらも参考にしてくださいね。

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