後悔しない住宅ローンの選び方がわかる! チェックポイントとステップを解説
執筆者: 白坂大介 (ジョインコントラスト株式会社 代表取締役)
住宅ローンを借りる際に多くの人が悩むポイントが、
ということではないでしょうか。
不動産会社に言われるまま指定された住宅ローンを借りると、返済中に後悔することも少なくありません。
実際に、住宅ローンを借りた約4割の人が「住宅ローン選びで後悔している」という調査結果もあります。
しっかり比較検討した上で、自分に合ったローンを選ぶことが大切なのです。
そこで本記事では、以下の項目について詳しく説明します。
この記事のポイント
- 後悔しない住宅ローンの選び方
- 借入先を決定するまでの流れ
- 住宅ローンの主な借入先と金利タイプ
- 住宅ローン選びにおけるチェックポイント
住宅ローンは、何十年もの期間をかけて返済するものです。長い付き合いとなるからこそ、住宅ローン選びは慎重に行いましょう。
この記事を執筆・監修している専門家
ナビナビ住宅ローン編集部
住宅ローンを組む時に抱える「どうやって住宅ローンを選べば良いかが分からない」「金利の違いがよく分からない」「一番お得に借りられるローンはどれなの?」といった疑問・不安を解決できるように解説していきます。
この記事の目次
- 住宅ローンの選び方と借入先決定までの流れ
- 自分がいくら借りられるのかを知る
- 金利タイプを選ぶ
- 借入先を選ぶ
- 住宅ローンの審査を受ける
- 借入先の決定
- 金利の種類は3タイプ
- 変動金利
- 当初固定金利
- 全期間固定金利
- どこから借りるかを検討する
- 民間ローン
- 公的ローン
- フラット35
- チェックしておきたい4つのポイント
- 団体信用生命保険の保障内容
- 金利だけでなく、総返済額もチェックする
- 住宅ローンの特典はあるか
- 金利上昇のリスクを考える
- 住宅ローン選びでよくある質問
- 不動産会社やメーカーの提携ローンを選ばなくてもいい?
- とにかく低い金利の住宅ローンを選べばいい?
- 住宅ローンの審査は1社だけに申し込んだ方がいい?
- まとめ
住宅ローンの選び方と借入先決定までの流れ
住宅ローンを借りるときは、一般的に以下の流れで借り入れを進めます。
まずは、どのような流れで住宅ローンを借りるのか知っておきましょう。
自分がいくら借りられるのかを知る
まず、自分が借りることのできる金額を把握しましょう。住宅ローンは、自分の希望する金額で借りられるとは限りません。
金融機関の審査で借入可能額が希望額に満たなかった場合、物件の予算を見直す必要性が生じます。そのため、先に買いたい物件を決めるのではなく
- 自分が借りられる額=借入可能額を把握する
- 借入可能額に照らして物件を探す
という流れにすると効率的でしょう。
借入可能額は、シミュレーションツールを使って調べることができます。
下記のシミュレーションツールでは、約1分で簡単に借入可能額を試算できますよ。





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借入可能額の上限で住宅ローンを借りると、家計に対する返済負担が大きく、予期せぬ出費や収入減に対応できなくなってしまうことがあります。
年間の返済額が手取り年収の20%以内となる借入可能額を目安のひとつにすれば、住宅ローン返済中でもゆとりのある生活を送れる可能性が高いでしょう。
金利タイプを選ぶ
借入可能額の目安を知ったら、次は住宅ローンの金利タイプを考えます。
金利とは
金利とは、借りたお金に対して支払う利子のこと。利子の支払い方法には複数のタイプが存在し、それぞれ特徴がある。
住宅ローンの金利タイプは、主に以下の3つです。
それぞれ適用金利や将来の金利上昇リスクは違うため、自分に合う金利タイプを見極めることが大切です。
金利タイプの詳細は後述しますので、まずは「金利タイプを選ぶ必要がある」ということを念頭に置いておきましょう。
借入先を選ぶ
自分に合う金利タイプを選んだら、住宅ローンを借りる借入先を検討します。
住宅ローンにおける主な借入先は、以下の3つです。
借入先ごとに取り扱っている住宅ローンはもちろん、融資条件や手数料も異なります。
住宅ローンでおすすめの借入先を知りたいという人は、ぜひ下記を参考にしてください。





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住宅ローンの審査を受ける
住宅ローンは誰でも借りられるわけではなく、審査に通る必要があります。
借入先が決まれば、借入先に審査を申し込みましょう。
住宅ローンの審査は「仮審査」と「本審査」に分かれます。
仮審査 | 住宅ローン契約者の返済能力を短期間で簡単にチェックする審査 |
---|---|
本審査 | 住宅ローン契約者に融資しても問題ないか最終的に判断する審査 |
仮審査と本審査は、それぞれ審査の目的が異なれば、申し込みに必要な書類も違います。
審査をスムーズに通したい人は、金融機関が重視する審査基準に応じて適切な対策を講じるとよいでしょう。
借入先の決定
審査に通って借入先が決まったら、住宅ローン契約を結びます。契約から返済までの流れは以下のようになっています。
- 住宅ローンの契約手続き
- マイホーム引き渡し日の決定
- 引き渡し日に住宅ローン融資実行・一括入金
- 工務店などへの費用支払い
- 返済スタート
金利の種類は3タイプ
住宅ローンの金利タイプは、主に3種類です。
以下の表に、それぞれの金利タイプの特徴をまとめています。
変動金利 | 市場の金利動向に合わせて金利が変動する |
---|---|
当初固定金利 | 一定期間の金利が固定される |
全期間固定金利 | 借り入れから完済まで金利が固定される |
ここからは、金利タイプの詳細を解説します。
金利タイプ別におすすめの住宅ローンを知りたい人は、下記の記事をチェックしてみてください。
変動金利
変動金利は、市場の金利動向の影響を受けて適用金利が変わる金利タイプです。
金利は一般的に半年ごとに見直されますが、毎月の返済額が改定されるのは5年ごとです。
市場金利が下がれば適用金利も下がりますが、市場金利が上昇すれば適用金利も上がります。
とはいえ、変動金利には「125%ルール」があり、金利上昇とともに返済額がいきなり大幅に上昇するわけではありません。
125%ルールとは
変動金利で5年ごとに返済額の見直しが行われる際、金利が大幅に上昇していたとしても、返済額の見直しの上限幅が125%を超えないようにするルール。
変動金利の主なメリットとデメリットはこのようになっています。
メリット
- ほかの金利タイプよりも金利が低い
- 金利が上昇しなければ、低金利で返済できる
デメリット
- 将来金利が上昇すると、返済額が増える恐れがある
- 総返済額を予想できず、資金計画を立てにくい
普段から金利動向をチェックする人、金利上昇に伴う返済額の増額にも対応できる人は、変動金利を検討してよいでしょう。
当初固定金利
当初固定金利は、2年・3年・5年・10年などあらかじめ設定した期間に限り、金利が固定となる金利タイプです。
固定期間中は市場金利の影響を受けず、毎月の返済額も変わりません。固定期間終了後は、変動金利または固定金利のどちらかを選び直します。
ただし、金利タイプを選び直す際に適用される金利は、その時点での金利であり、借り入れ当時の金利ではありません。
また、固定期間が満了したあとに変動金利を選んだときは、125%ルールは適用されない点に注意が必要です。
メリット
- 固定期間が短いほど適用金利は低くなる
- 当面の返済額が一定となることで、資金計画が立てやすくなる
デメリット
- 金利を選び直すときに、金利の変動リスクがある
- 将来も低金利が継続すると、総返済額は変動金利よりも多くなる
教育費など数年後に出費が増えると予想される人、10年程度で住宅ローンを完済できる見込みがある人は、当初固定金利を選択肢に入れるとよいでしょう。
全期間固定金利
全期間固定金利は、借入期間中の金利が一定となる金利タイプです。
基本的に全期間固定金利はほかの金利タイプよりも金利が高くなりますが、将来金利が上昇しても毎月の返済額が変わることはありません。
メリット
- 毎月の返済額が一定となるため、家計の収支計画が立てやすい
- 将来の金利上昇を気にする必要がない
デメリット
- ほかの金利タイプよりも金利は高い
- 市場金利が横ばいもしくは下がれば、ほかの金利タイプよりも総返済額は多くなる
今後世帯の収入が減ると予想される人、これから貯金する必要性がある人は、全期間固定金利を視野に入れましょう。
どこから借りるかを検討する
住宅ローンを借りる際は、借入先もよく検討する必要があります。
以下の表に、それぞれの借入先の概要をまとめています。
民間ローン | メガバンクや地方銀行、信用金庫など |
---|---|
公的ローン | 自治体による融資や財形住宅融資など |
フラット35 | 住宅金融支援機構と民間の金融機関が提携して提供する住宅ローン |
ここからは、借入先の詳細を解説します。
民間ローン
民間ローンとは、メガバンク・地方銀行・信用金庫・農協・生命保険会社など、さまざまな民間の金融機関が提供する住宅ローンのことです。
各金融機関では独自の住宅ローンを取り扱っており、金利引き下げキャンペーンなどを行っていることもあります。ただし、借入条件や諸費用などは金融機関によってさまざまです。
メリット
- さまざまな金利タイプの住宅ローン商品がある
- 充実した保障のある団体信用生命保険を付帯できる
デメリット
- 住宅ローン審査は厳しい傾向にある
- 金融機関によっては手数料などが割高になる
複数の金融機関の商品内容をしっかりと調べたうえで比較検討できる人は、まず民間ローンを検討しましょう。
公的ローン
公的ローンとは、自治体による融資や財形住宅融資など、公的機関が行っている融資のことです。
ただし、自治体による住宅ローンの制度は近年減少傾向にあり、すべての自治体が住宅ローンの融資を行っているわけではありません。
また、基本的に財形住宅融資は勤務先で財形貯蓄を1年以上行っている人が対象となり、すべての人が利用できる融資ではないことに注意が必要です。
メリット
- 保証料などの手数料が不要となる場合がある
デメリット
- 一定の条件を満たす必要がある
自分の住む自治体で住宅ローンの融資を行っているという人、財形貯蓄を行っている人は、公的ローンについてまず調べてみるとよいでしょう。
フラット35
フラット35は、住宅支援機構と民間の金融機関が提携・提供している、全期間固定金利の住宅ローンです。
大手銀行のほか、ネット銀行や住宅ローン専門会社でもフラット35を取り扱っており、それぞれの金融機関・専門会社で金利や手数料などが異なります。
メリット
- 返済期間中は金利が固定され、毎月の返済額が変わらない
- 民間の金融機関とは異なる審査基準となっている
デメリット
- 物件に関する性能条件を満たす必要がある
- 変動金利の住宅ローンよりも金利は高い
金利の低さよりも返済額が変わらない安心感を重視する人、民間ローンの審査では難しいと思われる人は、フラット35を前向きに考えるとよいでしょう。
チェックしておきたい4つのポイント
住宅ローンを選ぶ際のポイントは、以下の4つです。
金利の低さだけに注目すると、返済中に住宅ローン選びで後悔するかもしれません。
検討している住宅ローンが自分にとって本当に適切かどうか判断しましょう。
団体信用生命保険の保障内容
団体信用生命保険(団信)とは
住宅ローン契約者に万が一のことがあった場合に、住宅ローン残高を保険金で完済できる保険のこと。原則、住宅ローンを借りる際は団信への加入が必須となっている。
基本的に団体信用生命保険が保障するのは、住宅ローン契約者が死亡したときと、高度障害になったときです。
ただし、最近ではガンや三大疾病に対する保障、病気やケガによる就業不能状態に対する保障が付いた団信も登場しており、幅広いリスクに備えることができます。
しかし、保障内容を充実させるには保険料として上乗せ金利が必要となるケースが多く、総返済額が増えることになります。
住宅ローンの団体信用生命保険について詳しく知りたい場合は、基礎知識からまとめた下記の記事を参考にしてください。
金利だけでなく、総返済額もチェックする
住宅ローンの手続きの際には、さまざまな諸費用がかかります。
いくら金利が低くても、諸費用がかさむと結果的に総返済額が高くなってしまう可能性があるため注意が必要です。
諸費用の項目の金額の目安はこのようになっています。
住宅ローンの諸費用は金融機関によって異なり、諸費用だけで数十万円の差が生じることもあるため、諸費用もふくめた総返済額を比較・検討しましょう。
住宅ローンの諸費用については下記の記事で詳しく説明しているため、ぜひ一読しておきましょう。
住宅ローンの特典はあるか
住宅ローンに付帯する特典の有無を調べることも、お得な住宅ローンの借り入れにつながります。
住宅ローンを取り扱っている金融機関の中には、住宅ローンを借りた人にポイントサービスや割引・優待サービスを提供しているところもあります。
住宅ローンの返済は長期にわたるからこそ、借りた“あと”に受けられる特典についても把握することが重要です。
下記の記事では、各金融機関における住宅ローンの特典をわかりやすくまとめているため、ぜひ目を通しておきましょう。
金利上昇のリスクを考える
一見低金利で魅力的に思える変動金利・当初固定金利でも、将来的に金利が上昇する可能性があることを覚えておきましょう。
近年は過去に類を見ないほど低金利となっており、特に変動金利は0.5%以下の適用金利を掲げる金融機関があるほどです。
借り入れ当初は低金利だったとしても、返済期間中に金利が上昇することで、毎月の返済額が大幅に増える可能性はあります。
「変動金利や当初固定金利は低金利だからお得」だと決めつけず、将来の金利上昇リスクも考慮して、さまざまな金利タイプの住宅ローンを比較検討しましょう。
住宅ローン選びでよくある質問
最後に、住宅ローン選びでよくある質問をQ&A方式で紹介します。
住宅ローンの選び方のポイントがわかっても、大きな金額となる住宅ローンの借り入れには不安が付き物です。
住宅ローンに関する疑問をそのまま放置せず、きちんと解消したうえで納得できる住宅ローンを選べば、住宅ローン選びで後悔する確率は低くなるでしょう。
不動産会社やメーカーの提携ローンを
選ばなくてもいい?
不動産会社や住宅メーカーの提携ローンを必ずしも選ぶ必要はありません。
住宅ローン契約などの手続きを自分で行わなくて済む点は、提携ローンを選ぶ大きなメリットです。
しかし、不動産会社や住宅メーカーは住宅ローンの専門家ではないため、自分のニーズに合う返済計画や団信を提案してくれるとは限らず、希望しない条件で住宅ローンを借りてしまうケースもあります。
特別な事情がない限りは、勧められた提携ローンを断っても問題はありません。
提携ローンを利用しない場合は、「自分で住宅ローンを探します」と不動産会社やメーカーに伝えましょう。
とにかく低い金利の住宅ローンを選べばいい?
「とにかく金利が低い=後悔しない住宅ローン選び」とはなりません。
住宅ローンを借りる際は、利子だけでなく、手続きに伴う諸費用も発生します。
必要となる諸費用は金融機関によって異なるため、諸費用を含めた総返済額で考えると、金利の高い金融機関で借りるほうがお得になるケースもあります。
また、金利が低い住宅ローンでは団信の保障内容が充実していないケースが多く、手厚い保障を望む人にとってはニーズを満たせません。
住宅ローンを選ぶときは金利の低さだけでなく、諸費用も入れた総返済額や万が一の備えも含めて総合的に判断しましょう。
住宅ローンの審査は1社だけに申し込んだ方がいい?
住宅ローンの審査は、複数の金融機関に申し込むことをおすすめします。
自分では審査に通る自信があったとしても、審査に落ちない可能性がないとは言い切れません。
特に、本審査まで進むと審査に時間がかかります。
そのため、審査に落ちたことで再度申し込みし直すとなると、希望日までに住宅ローンを借りられない恐れがあります。
「A銀行では落ちたがB銀行なら通った」というパターンもあるため、最低でも3~4社の審査に申し込むと、希望の条件で借りられる可能性が高くなるでしょう。
まとめ
住宅ローンの選び方や注意点紹介してきました。もう一度重要なポイントを振り返りましょう。
- 「借入可能額=自分が無理なく返せる金額」ではない
- 金利タイプには、変動金利・当初固定金利・全期間固定金利の3種類があり、それぞれ特徴が異なる
- 借り入れ先はまず民間ローンまたはフラット35を検討してみる
- 団体信用生命保険の保障内容・総返済額・住宅ローンの特典・金利上昇リスクの4項目を重点的に比較検討する
低金利の住宅ローンが必ずしもお得になるとは限らないため、団信の内容や諸費用を含めた総返済額など、総合的にチェックする中で自分に合う住宅ローンを見つけましょう。