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親子リレーローンのリスクと対策 | 仕組みや3つのメリットを解説

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親子リレーローンのリスクと対策 | 仕組みや3つのメリットを解説
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親と子の二世代で住宅ローンを組むことで、借入可能額を大きくできる『親子リレーローン』

親子がともに融資を受けて、親が高齢または定年退職となったタイミングで、子どもが住宅ローンを引き継ぎます。

このページでは、親子リレーローンの基本的な仕組みや、想定されるリスクと対策、利用するメリットについて解説しています。

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親子リレーローンとは

親子リレーローンとは、親と子の二世代にわたって返済を行う住宅ローンです

一般的には「中高年の親」と「成人した子」がともに融資を受け、親が高齢または定年退職となったタイミングで親から子へと住宅ローンを引き継ぎます

住宅ローンの返済年数が35年だとすると、

  • 当初の15年…親が返済
  • 残りの20年…子が返済

というようなイメージを持っていただけると分かりやすいかと思います。

親子リレーローンは、「リレー返済」「親子リレー返済」という呼ばれ方をすることもあります。

親子リレーローンと親子ペアローンの違い

親子リレーローンと似た住宅ローンに「親子ペアローン」があります。

親子ペアローンとは、「親と子がそれぞれ住宅ローンを借りて同時に返済する」住宅ローンで、借り入れ当初から親と子の両方が返済を行います。

親子リレーローンと親子ペアローンの違い
親子
リレーローン
親子
ペアローン
ローンの本数1本2本
返済者最初は親、
その後は子
最初から
親・子の双方
団体信用生命保険の加入者親・子
住宅ローン控除負担割合分に応じて親・子に適用される負担割合分に応じて親・子に適用される

また、大きな違いとして団体信用生命保険(以下団信)の加入者が挙げられます

親子ペアローンでは「親と子の両方」が団信に加入するため、親に万が一のことがあった場合には親の負担割合分の住宅ローン返済は免除されます。

対して、親子リレーローンでは団信の加入者は「子のみ」となっているため、親の返済負担分も含めて返済を引き継ぐ必要があります。

親子リレーローンを利用する3つのメリット

親子リレーローンには、大きく3つのメリットがあります。

親子リレーローンのメリット

メリット①住宅ローンの借入可能額が増える

親子リレーローンでは親と子の収入を合算するため、単独で住宅ローンを借りるときよりも借入可能額が大きくなります

そのため、単独の収入では手が届かない物件でも、親子リレーローンでは購入できる可能性が高くなります。

金融機関によっては「子の収入の2分の1まで」などの条件がある場合もありますが、購入できる住宅の幅が広がる点が大きなメリットです。

メリット②親と子の両方が住宅ローン控除を受けられる

親子リレーローンでは、親と子の両方が住宅ローン控除を受けられます

例えば、住宅ローン残高が3,000万円で、

  • 親に2,000万円、
  • 子に1,000万円

が割り当てられている場合、

  • 親は20万円、
  • 子は10万円

の控除を受けられます。

また、住宅ローン控除は年に最大40万円の控除を10年間受けられる制度ですが、控除額いっぱいまで所得税を課される程の収入がある方は少数派です

親子リレーローンでは返済が始まっていない子にも住宅ローン控除が適用されるため、最大40万円の控除限度額を無駄なく利用しやすくなるのです。

メリット③借り入れ当初の諸費用を抑えられる

親子ペアローンと比べた際のメリットとして、住宅ローンの諸費用を抑えられる点が挙げられます

住宅ローンを組む際には「印紙税」や「司法書士報酬」などの費用が必要になりますが、親子ペアローンの場合は住宅ローン2本分の費用が必要になってしまいます。

対して、親子リレーローンでは契約する住宅ローンは1本だけなので、親子ペアローンよりも諸費用が安くなるのです。

親と子で住宅ローンを返済するという形式は同じでも、親子ペアローンよりも諸費用が少なくなることが親子リレーローンのメリットです

親子リレーローンの2つのデメリット

親子リレーローンには良い点だけでなく、いくつかデメリットも存在します。

ここからは、親子リレーローンのデメリットを説明します。

親子リレーローンのデメリット

デメリット①親が亡くなっても債務は残る

親子リレーローンでは、万が一親が亡くなった場合でも住宅ローン残高は残ります

一般的な住宅ローンでは契約時に団信に加入するため、契約者が亡くなった際には団信の保険金で残債を支払います。

しかし、親子リレーローンでは団信に加入するのは「子のみ」なので、親が亡くなっても住宅ローンの返済は引き継がれるのです。

親が支払う予定だった返済を子が負うことで、返済負担が増大するリスクがある点に注意しましょう。

デメリット②返済中は別の住宅ローンを組みづらくなる

親子リレーローンの返済中は、子が別の住宅ローンを借り入れできなくなってしまう場合があります。

親が返済している状態でも、契約上は子も住宅ローンの債務者です。

住宅ローンの返済中に別の審査を申し込むと、銀行からダブルローンとして判断されるため審査に通りづらくなるのです。

将来、親と同居する住宅とは別の物件を買いたいという人は注意してください。

親子リレーローンで想定されるリスクと対策

親子リレーローンは親・子と協力して返済できるため、とても魅力的な住宅ローンのように感じられますが、親子リレーローンならではのリスクやトラブルもあります。

注意しておくべきリスクは下記の3つです。

リスク対策方法
親の死亡による子の返済負担の増大・親が生命保険に加入する
・親の返済期間を短くする
土地や建物に関する相続トラブル家族で相続時の対応を話し合う
親の返済に対する贈与税の発生不動産の持分登記を返済比率と同じにする

どのようなリスク・トラブルが伴うのかをあらかじめ知っておくことで、いざというときの対処もスムーズに進められるでしょう。

リスク①親の死亡による子の返済負担の増大

親が亡くなった場合、親子リレーローンでは住宅ローンの残債は子が引き継ぎます。

ここまでも触れてきたように親子リレーローンでは「子のみ」が団信に加入するため、親が亡くなっても住宅ローン残高は保証されません

そのため、想定してなかったタイミングで親が亡くなってしまうと子の返済負担が大きくなり、以降の返済が困難になるケースが起こり得るのです。

親の死亡に備えるための対策

  1. 団信の代わりになる生命保険に親が加入する
    掛け捨てタイプの生命保険に親が加入しましょう。
    保険金を住宅ローン返済に充てられるため、万が一のときの返済負担の増加を防くことが出来ます。
  2. 親の返済期間を短めに設定する
    親の返済期間を短め、子の返済期間を長めに設定しておきましょう。
    想定より早いタイミングで住宅ローンを引き継ぐことを避けられるため、余裕のある返済計画を立てやすくなります。

リスク②相続トラブルに繋がる可能性がある

子に兄弟姉妹がいた場合は、相続トラブルに発展する可能性があります

通常、親が所有する土地や物件の相続権は子全員にあります。

しかし、親子リレーローンで返済中の物件の相続権を持つのは、ローンの後継者である子になります

そのため、土地や物件の取り分について兄弟姉妹間で相続争いに繋がりやすくなってしまいます。

相続トラブルを防ぐための対策

  • 誰がどの資産を引き継ぐのか家族で話し合う
    兄弟姉妹の相続トラブルを防ぐためには、あらかじめ家族で話し合っておくことが大切です。
    誰が何を相続するのか、家族間で合意を得ましょう。
    家族の話し合いで収拾がつかないときは、専門家に依頼することも有効です。

遺産分割を円滑に進めるためのポイントは、「遺産分割の協議をまとめるために!申立てや分割方法を紹介」で詳しく解説しています。
※エイチームグループの「ライフドット」へジャンプします

リスク③物件名義によっては贈与税が課される場合がある

親子リレーローンを借りている人の中には「最終的に物件は子が相続するから、めんどうな手続きを省くために子を所有者として不動産登記したい」と考える人もいます。

しかし、物件の名義を子単独にすると「本来であれば親が所有するはずだった物件の持分を子に贈与した」とみなされ、贈与税が課される場合があります

贈与税を非課税にするための対策

  • ローンの返済比率に合わせて不動産の持分を登記する
    物件の所有者は親と子の共同名義にしましょう。
    その際、不動産の持分割合をローンの返済比率と合致させることがポイントです。

親子リレーローンの利用条件

一般的な親子リレーローンの利用条件をまとめると、以下の通りです。

利用できる人
次の条件をすべて満たす人
  • 現在同居中または将来同居予定の親と子
    (実子または養子)
  • 借入時の年齢が満18歳以上満70歳未満で、最終返済時の年齢が満80歳未満
    (最終返済時の親の年齢は満80歳以上でも問題ない)
  • 前年の税込年収が100万円以上
  • 給与所得者の場合は勤続年数1年以上、給与所得者以外の場合は勤続または営業年数が3年以上
  • 団体信用生命保険に加入できる人
資金の使い道
  • 住宅の新築・購入資金
  • マンションの購入資金
  • 住宅の増改築・修繕資金
  • 中古住宅(マンションを含む)の購入資金
  • 住宅用土地(建物建築計画のある場合)の購入資金
    ※親子が共有またはいずれか一方が所有し、親子または親子の家族が同居することが前提
融資金額
50万円以上1億円以内
返済期間
1年以上35年以内
融資金利
変動金利型または固定金利選択型

とはいえ、これらの条件は金融機関によって異なります。

利用を検討している金融機関の申し込み要件を、事前に確認しておいてくださいね。

親子リレーローン以外で借入可能額を多くする方法

最後に、親子リレーローン以外で住宅ローンの借入可能額を増やせる方法を紹介します。

親子リレーローンの要件を満たしていなかった方は、こちらの方法も検討してみてください。

親子リレーローン以外で借入可能額を多くする方法

方法①親から住宅資金贈与を受ける

親子リレーローン以外では、親から子への資金贈与を検討してみましょう。

父母などの直系尊属から住宅購入のための資金を受け取ったとき、「住宅取得等資金贈与の非課税特例」によって、一定の限度額までは贈与税が課されません

非課税の限度額は、物件の契約時期や消費税率、住宅の種類によって異なるため、詳しくは下記表をご覧ください。


消費税10%が適用された人の非課税限度額
契約の締結日省エネ等
住宅
左記以外の
住宅
~平成27年12月31日1,500万円1,000万円
平成28年1月1日~
令和2年3月31日
1,200万円700万円
令和2年4月1日~
令和3年3月31日
1,000万円500万円
令和3年4月1日~
令和3年12月31日
800万円300万円
消費税8%が適用された人、もしくは消費税のかからない中古住宅を購入した人の非課税限度額
契約の締結日省エネ等
住宅
左記以外の
住宅
平成31年4月1日~
令和2年3月31日
3,000万円2,500万円
令和2年4月1日~
令和3年3月31日
1,500万円1,000万円
令和3年4月1日~
令和3年12月31日
1,200万円700万円

親から援助された資金を頭金にすることで、住宅ローン審査の通過率アップ適用金利が引き下げられることもあります。

住宅ローンに関係する贈与税を非課税にしたい人は、下記の記事を参考にしてください。

親子ではなく夫婦で住宅ローンを組む

単独や親子での住宅ローン契約ではなく、夫婦で住宅ローンを組むことも可能です

親子リレーローンと同様に収入を合算できるため、借入可能額を増やすことができます。

ただし夫婦で住宅ローンを組む方法には、いくつかパターンがあり、それぞれにメリット・デメリットが存在します。

詳しくは下記の記事で解説していますので、夫婦での住宅ローン契約を検討する方は参考にしてください。

まとめ

親子リレーローンは、親と子の二世代にわたって返済する住宅ローンです。

借入可能額を大きくできるなどのメリットがある一方で、デメリットやリスクもあるため、利用前に対策を知っておきましょう。

親子リレーローン以外にも借入可能額を大きくする方法はあるため、記事内で紹介した「親からの資金贈与を受ける」「夫婦で住宅ローンを借りる」といった方法も検討してみてくださいね。

千日太郎

千日太郎 / オフィス千日合同会社 代表社員 公認会計士

【専門家の解説】

親から子へ住宅ローンという債務をバトンタッチするのがリレーローンです。

債務と紐ついている住宅が、債務を引き継ぐ子に必ずバトンタッチされるようにしておく必要があります。

普通に考えれば、それが当たり前だと思われるでしょう。
しかし相続ということになると、他の法定相続人との利害関係も絡んできます。

不動産の価値は将来どうなるか分かりません。
今の価値をベースに判断して「家はいらない」といっていた兄弟姉妹が、将来、価値が大きく上がって「不公平だ」と言うことが変わるケースもよくあることです。

また、現時点で他の相続人が独身で「家はいらない」といっている場合、その人が将来結婚して配偶者を持つようになり、その配偶者の意見が強く、口約束であった兄弟姉妹の遺産分割に強硬に反対するケースもあり得ます。

このように一人っ子で他に法定相続人がいない場合は、相続に関してそこまで深く考える必要はありませんが、兄弟姉妹がいる場合は、最初に住宅ローンを組んだ親が後半には不在となる可能性を織り込んで、遺言書を作って法務局に預けておくなど、起こる可能性のあるトラブルに先手を打って対処しておくということが必要になります。

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