すまい給付金で最大50万円返還!住宅購入の負担を軽減する方法
執筆者: 秦 創平 (ライター)
家を買うならば、公的な補助制度を利用するのが賢い選択です。
2021年12月までにすまい給付金の制度を活用すると、住宅購入にあたって補助金を受け取れます。
すまい給付金の制度は、2019年10月の消費税引き上げに伴い創設されました。
申請にあたっては、収入が一定以下であることや、登記上の持分を有する住宅に居住することなどが条件とされています。
また、給付上限額は50万円です。
なお、受け取れる給付金の額は購入者の年収によって変動します。
この記事を執筆・監修している専門家
ナビナビ住宅ローン編集部
住宅ローンを組む時に抱える「どうやって住宅ローンを選べば良いかが分からない」「金利の違いがよく分からない」「一番お得に借りられるローンはどれなの?」といった疑問・不安を解決できるように解説していきます。
この記事の目次
すまい給付金について簡単解説!消費税の負担を緩和する制度
シンプルに説明すると、すまい給付金とは「住宅を購入する人がもらえる補助金」です。
給付される金額は、50万円を上限として申請者の収入と住宅の持分によって決定されます。
すまい給付金の制度は、2019年10月に消費税が10%に引き上げられた際、それ以前と変わらず家を買えるようにするため創設されました。
給付金を受け取るためには、購入する住宅が一定以上の性能を有していることや、購入の際に消費税が課税されていることなどの条件があります。
ちなみに、個人間の売買で消費税課税対象とならない場合は制度適用されません。
消費税増税の負担を緩和するための制度なので、消費税に関する要件があることに注意が必要です。
すまい給付金の申請期限は物件引き渡し後1年3か月
すまい給付金は、住宅が完成して入居すると申請できるようになります。
申請期限は、住宅の引き渡しを受けてから1年3ヶ月以内です。
必要書類を申請窓口へ持ち込むほか、書類を郵送することによっても申請できます。
申請方法については、この後「すまい給付金の申請方法と申請書類を解説」で詳しく解説します。
すまい給付金を利用するための条件
すまい給付金を受け取るためには、利用するための条件を満たす必要があります。
利用の際の条件は以下の通りです。
住宅ローンに関する条件 |
---|
・住宅ローンを利用すること(年齢が50歳以上の人を除く) ・自ら居住する住宅の取得のために必要な借入金であること ・償還期間が5年以上の借入れであること ・金融機関等からの借入金であること |
購入する住宅に関する条件 |
・床面積が50㎡以上であること ・施行中に第三者機関の検査を受けて一定以上の性能が認められていること |
給付対象者に関する条件 |
年収775万円以下の人 |
※参考:国土交通省「すまい給付金 制度内容について詳しく知る」
それぞれ詳しく見ていきましょう。
住宅ローンに関する条件
すまい給付金を受け取るには、基本的に住宅ローンの利用が必要です。
ただし、50歳以上の人は現金購入でも制度を利用できます。
その他にも、住宅ローンに関して以下のような条件を満たす必要があります。
住宅ローンに関する条件
- 住宅ローンを利用すること(年齢が50歳以上の人を除く)
- 自ら居住する住宅の取得のために必要な借入金であること
- 償還期間が5年以上の借入れであること
- 金融機関等からの借入金であること
親類・知人などからの借入金は、住宅ローンとみなされないので注意が必要です。
また、取得した住宅に本人が住んでいるかどうかが、住民票で確認できることも条件となります。
購入する住宅に関する条件
購入する住宅についても、以下の要件を満たしている必要があります。
購入する住宅に関する条件
- 床面積が50㎡以上であること
- 第三者機関の検査を受けて一定以上の性能が認められていること
- (住宅ローンを利用しない場合)フラット35Sの利用基準と同等の性能を有していること
- 物件の取引に消費税が課税されていること
面積については、登記上の面積が50㎡以上であることに注意してください。
登記上の面積と不動産売買契約書上の面積とは計算方法が違うので、あらかじめ確認しておきましょう。
また、給付を受けるには購入する住宅が一定以上の性能を満たすことが条件ですが、検査の方法は物件が新築・中古のどちらであるかによって異なります。
新築住宅の場合は施工中の検査、中古住宅の場合は売買時などの検査が必要です。
なお、住宅ローンを利用せずに購入する住宅は、以上2点に加えて、住宅金融支援機構が提供するフラット35Sの利用基準と同等の性能を有している証明が必要です。
参照:フラット35「住宅性能表示制度を活用した適合証明手続きの合理化」 |
そのほか、購入する住宅が中古の場合は、宅地建物取引業者が販売する住宅のみ対象となります。
売主が個人の場合は取引に消費税が課税されないためです。
給付対象者に関する条件
最後に、給付対象者の収入についても制限があります。
消費税が10%となった現在、給付対象の収入額の目安は年間775万円以下であることです。
なお、この目安額は夫婦(妻は収入なし)及び中学生以下の子供が2人のモデル世帯で計算された目安となります。
家族構成などによっても異なりますので、自分が給付金をもらえるのかどうかは、シミュレーションで計算してみてください。
参照:国土交通省「すまい給付金シミュレーション」 |
給付期限:令和3年12月までに入居している住宅
すまい給付金は消費税増税に伴う期限付きの制度なので、申請できる期間に限りがあります。
具体的には、2021年12月31日までに入居が完了していることが条件です。
引渡しではなく入居が完了していることが条件なので、余裕を持ったスケジュールを組むことをおすすめします。
【平成26年(2014年)4月~令和3年(2021年)12月まで(下図を参照)】
引用元:国土交通省 すまい給付金
すまい給付金の給付額は年収によって変動する
すまい給付金は住宅ローン控除との併用を想定した制度です。
住宅ローン控除は所得税に関わる制度であるため、すまい給付金の給付額も年収によって変わります。
年収が上限の775万円に向かって高ければ高いほど、給付金額は少なくなります。
また、購入した住宅に課されている消費税が8%なのか10%なのかによっても給付金額は異なります。
まず、消費税10%で購入した場合の給付金額は下記表のとおりです。
収入額の目安 | 給付基礎額 |
---|---|
450万円以下 | 50万円 |
450万円超~525万円以下 | 40万円 |
525万円超~600万円以下 | 30万円 |
600万円超~675万円以下 | 20万円 |
675万円超~775万円以下 | 10万円 |
夫婦(妻は収入なし)及び中学生以下の子供が2人のモデル世帯の場合
※参照: 国土交通省「すまい給付金 給付額について」
なお、正確な金額は国土交通省が運営しているサイトから算出してみてください。
参照: 国土交通省 「すまい給付金シミュレーション」 |
消費税率や住宅の持分といった情報を入力すると、給付金額のシミュレーションが可能です。
共同名義で家を買う場合、持分割合で給付額が変わる
夫婦の共同名義で住宅を購入する場合、どちらがどのくらいの割合を持つのかを「持分」といいます。
すまい給付金の額は、この「持分」によって変わることがあります。
例えば、夫婦が2人ともローンを契約したうえで、さらに住宅を夫婦の共有名義にして持分を分け合うのであれば、夫婦それぞれに給付されます。
以下は、夫婦それぞれが借り入れした場合の例です。
夫 | 年収 | 500万円 |
---|---|---|
持ち分割合 | 3/4 | |
給付基礎額 |
40万円 | |
40万円×3/4=30万円 | ||
妻 | 年収 | 200万円 |
持ち分割合 | 1/4 | |
給付基礎額 | 50万円 | |
50万円×1/4=12.5万円 | ||
合計給付基礎額 | 42.5万円 |
上記の場合は、夫婦それぞれに支給される給付金の合計が42.5万円になります。
ちなみに、夫婦で申請した場合と、夫一人で申請した場合とではどちらの方が多く給付されるのでしょうか。
夫の年収 | 500万円 |
---|---|
給付基礎額 | 40万円 |
夫1人の場合は持分のかけ算をしなくてもよいので、給付基礎金額がそのまま給付金の全額になります。
つまり、給付金額は40万円なので、この場合は夫婦で申請した場合の方が多くなることがわかりますね。
なお、年収や持分によってはもらえる総額が変わらないこともありますので、シミュレーションで確認してみてください。
消費税8%の時の給付額を紹介
消費税8%で住宅を購入した場合は、10%の場合と計算が異なります。
具体的には、収入の上限が510万円に下がり(※)、給付金の上限も50万円から30万円となります。
※夫婦(妻は収入なし)及び中学生以下の子供が2人のモデル世帯の場合の目安
収入額の目安 | 給付基礎額 |
---|---|
425万円以下 | 30万円 |
425万円超~475万円以下 | 20万円 |
475万円超~510万円以下 | 10万円 |
消費税8%の場合も、国土交通省のwebサイトでシミュレーションが可能です。
参照: 国土交通省 「すまい給付金シミュレーション」 |
すまい給付金の申請方法と申請書類を解説
すまい給付金を申請するには、窓口に書類を持ち込む方法と郵送で申請する方法とがあります。
申請窓口は、以下の国土交通省のwebサイトから確認可能です。
参照: 国土交通省「すまい給付金 申請方法について」 |
郵送で申請する場合は、必要書類を揃えて下記住所へ郵送してください。
なお、窓口も郵送も、申請書類に不備がなければ、申請書類が受理された後1ヶ月半〜2ヶ月程度で給付金が振込まれます。
〒115-8691 赤羽郵便局 私書箱38号 すまい給付金申請係 |
申請記入書類はこちらからダウンロード
すまい給付金の申請書類は、webサイトでダウンロードできます。
なお、必要事項を打ち込めば申請書類を作成できる機能もあるので、手書きで記入する必要もありません。
参照:国土交通省 「すまい給付金 申請書類のダウンロード」 |
申請時に必要な書類
新築住宅で住宅ローンを利用している場合の必要書類を、一例としてご紹介します。
- 給付申請書(原本):
国土交通省のwebサイトでダウンロードできます - 不動産登記における建物の登記事項証明書・謄本(原本)
- 住民票
(写し・新居の住所が記載されているもの) - 個人住民税の課税証明書
(非課税証明書) - 工事請負契約書または不動産売買契約書
(住宅購入代金の領収書もしくは新築住宅販売証明書を添付) - 金銭消費貸借契約書
(住宅ローンの契約書) - 第三者による住宅の検査実施内容を確認できる書類
新築・中古・住宅ローンの利用有無などによって必要書類が分かれているので、webサイトでご自身のパターンにあった申請書類をご確認ください。
参照:国土交通省 「すまい給付金 申請書類のダウンロード」 |
不明点はサポートセンターに問い合わせる
不明点について問い合わせるには、サポートセンターへ連絡しましょう。
自分が給付対象になるのか知りたい、申請書の記入方法がわからないなどの場合に電話で問い合わせできます。
参照: 国土交通省「すまい給付金 申請方法について」 |
まとめ
年収や購入する住宅の基準を満たしていれば、すまい給付金を活用できます。
住宅ローンを利用するならば、住宅ローン減税と並行して制度利用するのがおすすめです。
給付金額は申請者の年収によって異なり、最大で50万円まで給付されます。
なお、給付金を申請できるのは、対象となる住宅に入居してから1年3ヶ月以内です。
申請方法には、窓口へ申請書類を持ち込む方法と申請書類を郵送する方法とがあります。
また、申請の期限は2021年の12月です。