派遣社員でも住宅ローンを組める!5つのコツを知っておこう
執筆者: 中野良唯 (ジョインコントラスト株式会社)
- 派遣社員でも住宅ローンを借りられるが審査は厳しめ
- 審査に通過するには「勤続年数」や「借入金額」など5つのポイントを押さえておく
- フラット35なら派遣社員でも問題なく申し込みできる
マイホーム購入を検討していくなかで、「派遣社員は住宅ローン審査に通りづらい」と聞いたことがある方も多いかと思います。
残念ながら、正社員と比べると派遣社員のほうが住宅ローンの審査基準が厳しくなることは事実です。
しかし、派遣社員の人でも住宅ローンを借り入れることは可能です。
当記事では派遣社員の方が住宅ローン審査を通すための5つのコツを分かりやすく解説していきます。
「確実に審査を通したい」と考えている方は、ぜひ参考になさってくださいね。
この記事を執筆・監修している専門家
ナビナビ住宅ローン編集部
住宅ローンを組む時に抱える「どうやって住宅ローンを選べば良いかが分からない」「金利の違いがよく分からない」「一番お得に借りられるローンはどれなの?」といった疑問・不安を解決できるように解説していきます。
この記事の目次
派遣社員でも住宅ローンを組める
最近は、非正規雇用の人が利用できる住宅ローンがあるため、派遣社員でも住宅ローンを借りることができます。
以前は派遣社員の数が少ないこともあり、「派遣社員が住宅ローンを借りるのはかなり難しい」と言われていました。
しかし、非正規雇用労働者の増加という社会的な背景や、フラット35やネット銀行の登場という業界の変化により、派遣社員が住宅ローンを借りられない時代は過ぎつつあります。
実際に、フラット35で人気のARUHIの公式ホームページでは以下のように「派遣社員でも申し込みできる」と明記されています。
雇用形態に制限はなく、安定した収入が見込めれば申し込み可能です。 契約社員・派遣社員・パートの方も、転職・就職・起業後間もない方も対象です。
ARUHI「雇用形態に制限はありますか。」 から引用
そのため、「派遣社員だから住宅ローンは借りられない」と諦める必要はありません。
ただし正社員よりも審査が厳しい傾向にある
派遣社員でも住宅ローンは借りられるといっても、正社員に比べて審査に通過することが難しいのは変わりません。
派遣社員は基本的に有期雇用であり、収入が不安定だと金融機関から判断されやすいことが理由です。
金融機関が融資を行う際に考慮する項目
※出典:国土交通省『平成30年度「民間住宅ローンの実態に関する調査結果報告書(平成31年3月付)」』
住宅ローンは、20年~35年という長期に渡って返済を続けていく借り入れです。
金融機関としては完済するまで滞りなく返済を続けてくれる人に住宅ローンを融資したいので、住宅ローンの審査では契約者の職業や収入をチェックするのです。
派遣社員の場合は雇用契約がいつ終わるのかが分からず、長期にわたり安定した収入が見込めないことから、正社員よりも厳しく審査される傾向にあります。
派遣社員が住宅ローンに通過するための5つのコツ
雇用形態が派遣社員であるために、住宅ローン審査で不利になるのは事実です。
しかし、ちょっとしたコツを押さえておけば、住宅ローン審査に通る可能性をグッと上げることができます。
住宅ローン審査に通過する5つのコツ
ここからは、住宅ローン審査に通過するための5つのコツについて詳しく解説します。
勤続年数が1年以上経過してから申し込む
現在の勤務先において、一定以上の勤続年数があると住宅ローンの審査に有利に働きます。
具体的には、現在の派遣先で1年以上働いてから住宅ローン審査に申し込むと良いでしょう。
勤続年数は住宅ローン契約者の返済能力を推し量る指標のひとつですが、派遣社員で勤続年数が数か月の場合、今後も雇用が継続するかは断定できません。
しかし、同じ勤務先に長く勤めていれば「収入が安定している」と判断されやすくなるため、審査にプラスの影響を与えるのです。
※金融機関によっては「勤続年数3年以上」といった借入条件を定めているところもあります。
住宅ローンの借入金額を減らす
住宅ローンの借入金額を減らすことで、派遣社員でも住宅ローン審査に通過できる可能性があります。
借入金額が少なくなれば、毎月の返済額の減額・返済期間の短縮につながるため、「収入が安定しにくい立場でも問題なく返済できる」と金融機関が判断しやすくなります。
借入金額を減らす方法は、以下の2種類が挙げられます。
住宅ローンの借入金額を減らす方法
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頭金を多く用意する
物件価格の1割~2割を目安に、頭金を貯めましょう。
その際、予備の生活費も貯蓄することをおすすめします。 -
購入する物件を見直す
当然ですが、購入を予定している物件価格が高額であれば、借入金額も増えます。
借入金額を減らしたいときは、駅から遠い物件や古い物件なども視野に入れましょう。
住宅ローン審査では、頭金の有無や借入金額の設定も重要視されます。
派遣社員で得られる収入を踏まえて、頭金の貯金や物件価格の見直しを進めるようにしてください。
申し込み先の銀行口座を早めに作っておく
借入先となる金融機関の口座を長く利用することで、住宅ローン審査を有利に進められるケースもあります。
住宅ローン審査の際、金融機関は住宅ローン契約者の返済能力をチェックします。
しかし、派遣社員は雇用契約の性質上、安定した収入があることをアピールしにくい勤務形態です。
そのため、定期的な給与の振り込みや十分な貯蓄があるとわかる口座があれば、金融機関に好印象を与えられます。
派遣社員でも返済能力があると示すために、借り入れを予定している金融機関で口座を早めに作っておきましょう。
他の借り入れは完済しておく
住宅ローン以外の借り入れがあると、住宅ローン審査に通過することは難しくなります。
カーローンやカードローン、教育ローンなど、他に借り入れがある場合、住宅ローン審査にも影響を及ぼします。
もし、住宅ローン以外の借り入れの返済を遅滞・延滞したことがあれば、審査に落ちる可能性のほうが高くなるでしょう。
住宅ローン審査の際は、既存の借り入れを必ず申告したうえで、完済すべきかどうか金融機関担当者と相談しましょう。
また、住宅ローンを借りる可能性がある場合は、カーローンやカードローンなどを利用しないことも大切です。
雇用形態を問わない住宅ローンを利用する
派遣社員の人が住宅ローン審査に通過するためには、借入条件に雇用形態を含めない住宅ローンを利用する方法もあります。
一般的な住宅ローンの場合、「勤務形態が正社員」「勤続年数が3年以上」といった借入条件を設定していることが多く、これらの住宅ローンに派遣社員の人が申し込んでも、審査に通りづらいのが現実です。
しかし、フラット35のように借入条件に雇用形態に関する項目を設けていない住宅ローンであれば、問題なく申し込み出来るのです。
ここからは、派遣社員の人におすすめしたい住宅ローンとして、ARUHIと住信SBIネット銀行のフラット35を紹介します。
ARUHI「スーパーフラット」
ARUHIは、フラット35の取り扱いでトップクラスのシェアを誇る「住宅ローン専門」の金融機関です。
ARUHIのフラット35には、勤務形態や勤続年数に制限はないため、安定した収入が見込める派遣社員の人も申し込めます。
また、ARUHIのフラット35は業界最低水準の金利となっていることも特徴です。
ARUHIスーパーフラットの金利情報 | |
借入割合 | 適用金利 |
---|---|
80%以内 | 1.190% 2021年01月適用金利 自己資金20%以上 一般団信加入 |
90%以内 | 1.240% 2021年01月適用金利 自己資金10%以上 一般団信加入 |
ただし、ARUHIスーパーフラットを新規借り入れで利用するためには、物件価格に対して1割以上の自己資金が必要です。
自己資金の割合が多くなると適用金利が優遇されるため、自己資金に余裕のある方におすすめです。
住信SBIネット銀行「フラット35(保証型)」
住信SBIネット銀行は、三井住友信託銀行とSBIホールディングスが共同出資しているネット銀行です。
継続的な収入があれば、派遣社員の人でも、住信SBIネット銀行のフラット35に申し込み可能です。
ネット銀行は少ない固定費で運営できることから、住宅ローンを低金利で貸し出していることが魅力です。
フラット35(保証型) | |
借入割合 | 適用金利 |
---|---|
80%以内 | 1.130% 2021年01月適用金利 自己資金20%以上 団信加入 |
90%以内 | 1.190% 2021年01月適用金利 自己資金10%以上 団信加入 |
さらに、住信SBIネット銀行のフラット35には「全疾病保障」が付いていることも特徴です。
「全疾病保障」では、がん・脳卒中・急性心筋梗塞・高血圧症・糖尿病・慢性腎不全・肝硬変・慢性膵炎を含む、すべての病気やけがによって就業不能状態が続いた場合、住宅ローン残高が0円となります。*精神障害を除く
金利の低さと保障の両方で妥協したくないという方は、住信SBIネット銀行を検討してみましょう。
【注意】派遣社員が申し込みできない金融機関もある
近年は派遣社員でも利用できる住宅ローンが増えているものの、一部の金融機関では派遣社員による住宅ローン申し込みを受け付けていない場合もあります。
例えば、新生銀行住宅ローンの借入条件には「前年度税込年収が300万円以上の正社員または契約社員」と明記されているため、派遣社員の人が新生銀行から住宅ローンを借りることは不可能です。
このように、各金融機関のホームページには、勤務形態に関する借入条件を掲載していることがあります。
派遣社員でも住宅ローンを借りられるかどうか知りたいときは、まず各金融機関の借入条件を確認してみてください。
まとめ
「派遣社員は住宅ローンを借りられない」というイメージを抱いている人は多いでしょう。
しかし、近年は派遣社員にも住宅ローンを貸し出している金融機関が増えています。
正社員と比べて厳しく審査される傾向にはありますが、以下のコツを押さえて事前に対策をしておきましょう。
住宅ローン審査申し込みのコツ
- 勤続年数が1年以上経過してから審査に申し込む
- 頭金を増やしたり安い物件を選んだりして借入金額を減らす
- 借入先となる金融機関の口座を早めに作っておく
- 現在ある他の借り入れを完済しておく
- 雇用形態・勤続年数があまり重視されない住宅ローンを選ぶ
派遣社員でも住宅ローンは利用できるため、自信をもって住宅ローン審査に申し込みましょう