• 2021.12.02

米利上げ観測後退後の2021年12月住宅ローン金利動向を予想します

執筆者: 千日太郎 (オフィス千日合同会社 代表社員)
住宅ローンニュース【2021年12月最新】千日太郎の金利予想

こんにちはブロガーの千日太郎です。

先月までの長期金利は米金利上昇の波及を受けて上昇し、11月の住宅ローン金利は軒並み上昇しましたが、11月に入ってからは一転して下がり始めています。

住宅ローンの金利はこのように日々変動する金融市場の長期金利の動向を反映して毎月見直されています。

12月には住宅ローン金利は下げる銀行が多いと予想しています。

この記事では、執筆時点で公開されている「金融市場の動向」と千日太郎が公認会計士として培ってきた金融ビジネスに対する知見をもって推理する「銀行の営業方針」から2021年12月の住宅ローン金利動向を金利タイプごとに予想します。

※当記事の金利や情報は2021年11月10日時点のものを記載しております。
最新の金利情報は、必ず金融機関の公式サイトをご確認ください。

執筆・監修している専門家

執筆者

千日太郎

オフィス千日合同会社 代表社員

保有資格・検定

公認会計士

大阪で公認会計士を営みながら、オフィス千日合同会社 代表社員として、「千日のブログ 家と住宅ローンのはてな?に答える」では金利予想やプロの視点から推奨する住宅ローンの組み方を情報発信。「千日の住宅ローン無料相談ドットコム」では一般の人からの匿名の相談に無料で乗って、そのコンサル内容をネットに公開している。

編集者

ナビナビ住宅ローン編集部

住宅ローンを組む時に抱える「どうやって住宅ローンを選べば良いかが分からない」「金利の違いがよく分からない」「一番お得に借りられるローンはどれなの?」といった疑問・不安を解決できるように解説していきます。

金融市場の動向:長期金利は再び下がり始めた

こちらは2021年5月20日~2021年11月9日までの日経平均株価と長期金利の推移をグラフにしたものです。

2021年12月住宅ローンの金利予想1(日経平均と日本の長期金利)

5月20日から8月末ごろまでは日経平均株価(オレンジの折れ線グラフ)も長期金利(青い折れ線グラフ)も右肩下がりで推移してきましたが、9月に入ってから当時の菅義偉首相が辞任の意向を表明したことで、日経平均株価が急上昇したものの、すぐに下がってまた10月末にかけて上がる乱高下を見せています。

これは菅政権の後に誕生した岸田政権への期待と失望を反映したものですが、今のところは新型コロナウイルスの国内感染者数が減少して経済活動が正常化へ向かっていることから、比較的高い水準で推移していくものと思います。

長期金利については米長期金利上昇の波及を受けて10月末までは上昇してきましたが、11月3日を境として米長期金利の低下の影響で大きく下がりました。

債券価格と金利(利回り)の間には負の相関関係があり、逆方向に動きます。
債券価格が上がると利回りが下がり、債券価格が下がると利回りが上がるのです。

ここ最近の国内長期金利の動きは、米国債を売買する海外の投資家によって、日本国債の売買が盛んに行われたことによるものでしょう。

今後の長期金利の動向を予測する上では、米長期金利の動向を読むことが重要になってきます。

米国の利上げ観測は後退

こちらは2021年5月20日~2021年11月9日までのダウ平均株価と米長期金利の推移をグラフにしたものです。

2021年12月住宅ローンの金利予想2(ダウ平均株価と米国の長期金利)

2021年6月以降のダウ平均株価(オレンジの折れ線グラフ)は緩やかに上昇を続けている一方で長期金利(青い折れ線グラフ)は下がっています。

株価が上がっても金利が下がる背景には、各国政府がコロナ関連の巨額の財政出動を行ったことによって市中には大量の資金が供給されており、それが飽和状態になっていることがあると考えています。

そして9月23日からは長期金利が上昇しました。

米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が量的緩和縮小(テーパリング)の開始を11月あたりに決定する見通しを表明したのですが、このことが市場関係者に利上げの時期が、早ければ2022年に前倒しとなると受け止められたためです。

これによって米国債を売る流れが日本国債を売る流れにも波及し、日本の債券価格も下がり、日本の長期金利も上昇したのです。

しかしその後11月3日の会合において量的緩和縮小が決定されたものの、パウエル議長が利上げについて慎重姿勢を強調し、各国の中央銀行も利上げについては消極的な姿勢であったことから、急激に債券を買い戻す動きが強まり債券価格が上昇し長期金利が下がり始めました。

これが前述の日本の長期金利にも波及しているのですね。

銀行の営業方針:2021年下半期の民間銀行の営業戦略

民間銀行の住宅ローン(長期の固定金利)は10月から11月にかけて、大幅な上昇となりました。

長期金利の上昇を反映して住宅ローンの金利が上がることは、これまでもありました。

しかし、金融市場の長期金利上昇幅よりも住宅ローンの金利上昇幅の方が大きく上がっており、ここ1~2年の動きの中ではイレギュラーな上昇でした。

しかし、住宅ローン利用者を取り込みたいというインセンティブは強く、ライバル銀行間での低金利競争は依然としてあります。

下半期の民間銀行は新築マンションの完成が集中する来年3月に引き渡しを予定している人をターゲットに営業戦略を策定します。

3月に引き渡しを予定している顧客が売買契約を結ぶタイミングから低金利であることをアピールしておかないと、そもそも選んでもらえないためです。

再び長期金利が下がる傾向となれば、各行の住宅ローンの金利も下がり始める可能性が高いと考えられます。

金利タイプ別2021年12月の金利予想

では、金利タイプ別に2021年12月の金利がどうなっていくのか予想していきます。

11月10日までの公開情報を前提とした予想になります。

30年超の超長期固定金利の動向

こちらは、30年超の超長期固定金利の代表であるフラット35(買取型)の金利と長期金の推移を2021年6月から2021年11月までとったものです。

9月から11月にかけて再び金利が上昇しており、フラット35の金利も上昇しています。

しかし、公的融資であることから、その上昇は抑えられています。

2021年6月の長期金利は0.08%でフラット35金利は1.35%でした。

2021年11月の長期金利0.09%でしたから、フラット35金利は1.36%まで上がってもおかしくなかったのですが、1.33%に抑えられているのです。

 2021年12月住宅ローンの金利予想(フラット35(買取型)と長期金利)

フラット35の金利は前月の中旬に決まります。その時点に青い棒グラフのフラット35(買取型)金利を立てています。

今月の機構債発表のタイミングに長期金利がどのあたりになるのか?
ピタリと予想することは難しいですが、長期金利がこのまま下がっていけばフラット35の金利も下がる可能性が高いでしょう。

ただし、11月のフラット35金利は大幅な上昇が緩和されていますので、12月のフラット35は下がるにしても大幅な低下にはならず横ばいの可能性もあると思います。

なお、民間住宅ローンの30年以上の超長期固定金利についても、フラット35と同様にある程度下がると予想されますが、銀行の営業方針によって大きく下げる銀行とあまり下げない銀行に分かれるでしょう

20年前後の長期固定金利の動向

主要銀行の20年固定は主要銀行では7月から9月まで0.8%台に突入しており、これが2021年で最も低い水準でした。

10月から11月にかけては長期金利の上昇に伴い大きく上昇しましたが、まだ金利水準としてはおトクなレンジにあります。

11月から12月にかけては長期金利と連動して下がると予想されますが、銀行の営業方針によって大きく下げる銀行とあまり下げない銀行に分かれるでしょう。

10年前後の中期固定金利の動向

ここ数年の10年固定金利は概ね下がり続けてきましたものの、10月から11月にかけては珍しく上昇に転じました。

上昇した理由が米国の利上げ観測によるものだと仮定すれば、11月3日にパウエル議長が利上げに対して慎重姿勢を強調したことにより、上げる合理的な理由は無くなったということになります。

11月から12月にかけては長期金利と連動して下がると予想されます。

10年固定は各行の主力商品であるため、上昇前の水準に下がる可能性が高いと思います。

変動金利の動向

変動金利は、長期金利ではなく中央銀行の政策金利に影響を受けます。

政策金利とは、中央銀行が民間銀行に融資するときの金利です。

景気後退時には政策金利を下げ、好景気時には政策金利を上げます。

前述したように米国の利上げ観測も後退しており、コロナ禍で日銀が政策金利を上げる可能性は皆無です。

2021年12月の主要銀行の変動金利は横ばいで推移するでしょう。

まとめ~予測の困難な環境下では無理のない返済計画を!

前回の予想は概ね(10年固定を除き)的中しました。

10月末までは米長期金利の波及を受けて国内金利が上昇しつづけましたが、概ね0.1%が上限になるという予想も的中しました。

しかし、そもそも金融市場の金利動向は誰にもコントロールできませんし、それによって決まるとされる住宅ローンの金利は債権者である金融機関が決めるものです。

私の予想が外れることも大いにあり得ます。金利が想定外の動きになったとしてもある程度吸収できる、無理のない資金計画を立て、実行していく必要があります。

住宅ローンの返済計画は無理せず、出来るだけゆとりのあるものにするようにしてください。

また、金融機関が金利を下げていたとしても、前もって金利を上げると逃げられることが分かっているためです(銀行の営業方針:中間決算を迎える民間銀行の思惑)。

一つの金融機関だけで契約して、放置していると実行月になって金利を上げられたときに対応できなくなります。

複数の金融機関(できれば複数の金利タイプ)で審査を通しておいてください。

引き続き、日々の金利動向に目を配っておくことをお勧めします。

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