• 2020.12.08

ウィズ・コロナ2021年1月の住宅ローン金利動向を予想します

執筆者: 千日太郎 (オフィス千日合同会社 代表社員)
2021年1月住宅ローンの金利予想

こんにちはブロガーの千日太郎です。

この記事では、執筆時点で公開されている「金融市場の動向」と千日太郎が公認会計士として培ってきた金融ビジネスに対する知見をもって推理する「銀行の営業方針」から2021年1月の住宅ローン金利動向を予想します。

今までのところ、ほぼ予想を的中しており、これまでの金利推移についても公開しています。

11月の後半からは、新型コロナウイルスのワクチン開発が進み、経済正常化が早まるとの見方から日経平均株価は約30年ぶりの高値を記録し、安全資産とされる債券には売りが出ました。

しかし、割安感に注目したリスク回避型の投資家により即座に買いが入り、また新型コロナウイルス感染者が急増したこともあり、長期金利は横ばいで推移しています。

一方で政府では景気対策として、住宅ローン控除の延長と条件緩和が議論されており、これを追い風としていっそう銀行の住宅ローン低金利競争に拍車がかかりそうです。

※当記事の金利や情報は2021年12月5日時点のものを記載しております。
最新の金利情報は、必ず金融機関の公式サイトをご確認ください。

この記事を執筆・監修している専門家

執筆者

千日太郎

オフィス千日合同会社 代表社員

保有資格・検定

公認会計士

大阪で公認会計士を営みながら、オフィス千日合同会社 代表社員として、「千日のブログ 家と住宅ローンのはてな?に答える」では金利予想やプロの視点から推奨する住宅ローンの組み方を情報発信。「千日の住宅ローン無料相談ドットコム」では一般の人からの匿名の相談に無料で乗って、そのコンサル内容をネットに公開している。

編集者

ナビナビ住宅ローン編集部

住宅ローンを組む時に抱える「どうやって住宅ローンを選べば良いかが分からない」「金利の違いがよく分からない」「一番お得に借りられるローンはどれなの?」といった疑問・不安を解決できるように解説していきます。

金融市場の動向:
2021年1月ウィズ・コロナの世界情勢と金融市場

住宅ローンの金利が上がったり下がったりする要因の一つが金融市場の長期金利であり、具体的には10年国債の利回りをいいます。

利回りとは投資した元本に対する成果として得られる利益が年に何パーセントかという割合を言います。

そして、債券の価格と利回りは逆に動くのです(負の相関関係)。早い話が以下のような法則です。

✓債券の価格が上昇すると利回りが下落する
✓債券の価格が下落すると利回りが上昇する

投資家のセオリーとして、新型コロナウイルスの感染拡大や不況などで世界経済のリスクが上がると値下がりの危険がある株式を売却し、国債などの安全資産を買います。

このため不況時は債券価格が上がり、利回りが下落するのがセオリーです。

実体経済と乖離した株価の上昇と長期金利への影響

2020年10月1日~12月4日までの長期金利と日経平均株価の動向をグラフにしました。

2021年1月住宅ローンの金利予想(長期金利と日経平均株価の推移)

青の折れ線グラフの日経平均株価は右肩上がりに上がっています。

特に11月の後半からは、90%超の予防効果があるというファイザー社の新型コロナウイルスのワクチン開発への期待から、債券を売却し株式を購入する流れへ移行しました。

しかし、急ピッチの上昇に対する過熱感が警戒されたこともあり、いったん利益確定の売りが見られ、急激な株価の上昇は止まりましたが、そのまま下がることはなく、12月の上旬は依然として約30年ぶりの高値を維持しています。

新型コロナウイルスの感染拡大防止のためにヒト、モノの動きが停止しているなか、期待先行でカネだけが動いているのですね。

前月の予想では、実体経済と乖離した株高はそう長くは続かないだろうと予想していました。

さすがに上昇は止まりましたが、意外と長く高止まりしている感があります。

日本の長期金利は上がりにくい

一般的な法則として、株価が上がるということは、株式を購入するために債券を売られ、長期金利が下がるのですが、債券を手放す投資家は少なかったようです。

長期金利を示すオレンジの折れ線グラフが株価と同じように上がっていないからです。

グラフの長期金利は、11月の後半には株価の上昇とは反対に下がっている場面もありますね。

これは新型コロナウイルスの感染拡大から安全資産の債券を買う動きもあったことを意味します。

安全資産としての日本国債への需要が根強く、債券価格が下がると即座に買いが入り、債券価格が高く維持されているのです(債券価格が上がると利回りは下がる)。

主に日本国債を購入する国内の機関投資家は慎重姿勢を崩しておらず日本国債を買い支える傾向があるのですね。

そのため、今後も株価が高止まりしていくとしても、長期金利は上がらないだろうと予想しています。

銀行の営業方針:
コロナ不況対策の令和3年度税制改正がどうなるか?

住宅ローン控除とは、年末の住宅ローン残高の1%を上限として最大10年間税金を還付する減税制度ですが、10%の消費増税に対する景気対策として令和2年度は13年間に延長されています。

12月の中旬あたりに来年の住宅ローン控除の改正の方向性を定める令和3年度税制改正大綱が発表されます。

新型コロナウイルス対策として、住宅ローン控除についても拡充されるのではないか?と言われています。

住宅ローン控除の期間延長と条件緩和が低金利競争に拍車をかける

執筆時点では議論の段階ですが消費増税対策として13年に延長した期間を令和3年度にも延長して適用すべきという案が出ています。

また、住宅ローン控除を受けられる住宅の条件として床面積50平米以上という条件があるのですが、これを40平米以上に条件緩和すべきという案が出ています。

住宅ローン控除によって、住宅ローン残高の1%が税金から還付されますので、1%未満の低金利で住宅ローンを借りることができれば、住宅ローン控除がある期間は逆に儲かるのです。

そのため、住宅ローン控除が13年になるということは、儲かる期間が長くなるということですから、銀行間で低金利競争が激化するということになります。

また、50平米未満の部屋を購入する単身者や少人数世帯も住宅ローン控除を受けられるようになることで、新たな顧客の争奪戦が銀行間で激化するでしょう。

コロナ不況下で優良債権を取り合う低金利競争

また今のコロナ不況下にあって、企業向けの事業融資は、コロナ不況による倒産で取りはぐれる可能性が高まっています。

これに対して、住宅ローンは銀行にとって貸し倒れる可能性が低い超優良債権なのです。

住宅ローンは生活の基盤であるマイホームに第一順位の抵当権を設定します。

そして債務者は家を取られないように死に物狂いで返済にコミットしますから、コロナ不況の環境下で積極的に獲得していきたい債権なのです。

特に銀行から見て属性の高い人の住宅ローンは、これまで以上に積極的に獲得していきたいと考えるでしょう。

低金利でも融資できる属性の高い顧客をターゲットにした低金利競争に拍車がかかる可能性があります。

金利タイプ別2021年1月の金利予想

では、金利タイプ別に2021年1月の金利がどうなっていくのか予想していきます。

12月5日までの公開情報を前提とした予想になります。

30年超の超長期固定金利は横ばい

こちらは、30年超の超長期固定金利の代表であるフラット35(買取型)の金利と長期金利の推移を2020年9月から2020年12月までとったものです。

2021年1月住宅ローンの金利予想(フラット35【買取型】と長期金利)

フラット35の金利は前月の20日前後に決まりますので、その時点に青い棒グラフのフラット35(買取型)金利を立てています。

過去4か月の長期金利は0.00%~0.05%で推移していて、機構債の表面利率が決まるタイミングでは0.02%~0.03%という狭いスパンで推移し、その結果フラット35(買取型)の金利は1.30%~1.32%となっています。

前述の予想どおり、日本の長期金利がそれほど上がらず、横ばいならば1月のフラット35金利はおおむね横ばいで推移すると予想しています

なお、民間住宅ローンの30年超の超長期固定金利も、フラット35と似た動きになる傾向がありますのが、今後低金利競争が過熱していくならば民間住宅ローンの30年以上の超長期固定金利については、横ばい又は期待含みで下がると予想しています

20年前後の長期固定金利は横ばいor下がる

主要銀行の2020年12月の20年固定金利は横ばい又は下がるという予想が的中しました。

現時点の最低金利は新生銀行の0.95%ですが他のネット銀行も含め、まだ来年に向けて下げしろを残しています。

このまま長期金利が横ばいで推移し、住宅ローン控除が改正で拡充されるなら銀行間の低金利競争に拍車がかかり、2021年1月は横ばい又は期待含みで下がると予想しています。

10年前後の中期固定金利は横ばいor下がる

主要銀行の2020年12月の10年固定金利は横ばい又は下がるという予想が的中しました。

1位グループのネット銀行も金利を下げたのは嬉しい誤算でした。

住宅ローン控除は10年又は13年であるため、前述した令和3年税制改正の影響が出やすいのが10年固定金利です。

住宅ローン控除の拡充が予想どおりにあれば、2021年1月は横ばい又は期待含みで下がると予想しています。

変動金利は横ばい

変動金利は、長期金利ではなく中央銀行の政策金利に影響を受けます。

政策金利とは、中央銀行が民間銀行に融資するときの金利です。景気後退時には政策金利を下げ、好景気時には政策金利を上げます。

日本銀行には、今のところ政策金利について新たな政策情報はありません。

また、米連邦準備理事会(FRB)は6月10日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、2022年末までゼロ金利政策を維持する見通しを表明しており、8月27日には、物価上昇率が一時的に目標の2%を超えるのを容認する新たな政策方針を導入しています。

また、前述のように日本のコロナ不況からの回復ペースはかなり遅いと見込まれています。

そのため、しばらくの間は変動金利が上がることは無いと予想しています。

2021年1月の変動金利は横ばいで推移するでしょう。

まとめ~全体的に横ばいor下がる傾向だが想定外への準備が必要

効果の高いワクチン開発への期待から株価は大きく上昇していますが、日本の長期金利は概ね横ばいで推移しています。

このワクチンの製造量については原料供給網の問題から半分程度になるとの報道もあり、失望感もあるようです。

月末までの長期金利が横ばいとなり、住宅ローン控除が拡充されて銀行の低金利競争が過熱していくならば、住宅ローンの金利も横ばいか下がると予想できます。

ただし、これはあくまでこの記事の執筆時点で千日太郎個人が予想していることにすぎません。

実際の金利動向はその通りにならない可能性は大いにあり得ます。

引き続き、日々の金利動向に目を配っておくことをお勧めします。

また、できるだけ複数の金融機関、異なる金利タイプで本審査を通しておき、想定外の事態に対する保険としてください。

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