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令和4年度住宅ローン控除の改正が影響するか?2022年1月住宅ローン金利動向を予想します

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2022年1月の金利予想
住宅ローン金利
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 こんにちはブロガーの千日太郎です。

金融市場の長期金利は米国のインフレ加速と新型コロナウイルスの変異種であるオミクロン株への警戒の狭間で揺れ動いています。

また令和4年度税制改正大綱で住宅ローン控除が引き下げられることとなりましたが、このことが民間銀行の営業方針(住宅ローンの金利)に影響してくる可能性もあります。

この記事では、執筆時点で公開されている「金融市場の動向」と千日太郎が公認会計士として培ってきた金融ビジネスに対する知見をもって推理する「銀行の営業方針」から2022年1月の住宅ローン金利動向を金利タイプごとに予想します。

※当記事の金利や情報は2021年12月12日時点のものを記載しております。
最新の金利情報は、必ず金融機関の公式サイトをご確認ください。

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金融市場の動向:オミクロン株と長期金利の動向

こちらは2021年8月19日~2021年12月10日までの日経平均株価と長期金利の推移をグラフにしたものです。

2022年1月住宅ローンの金利予想(日経平均と日本の長期金利)

8月から9月にかけての日経平均株価の大きな山と谷は、菅政権の後に誕生した岸田政権への期待と失望を反映した一時的な動きです。

長期金利については米長期金利上昇の波及を受けて10月末までは上昇してきましたが、11月3日を境として米長期金利の低下の影響で大きく下がり、12月の上旬にかけては南アフリカで変異した新型コロナウイルスのオミクロン型の感染拡大によってさらに下がっています。

債券価格と金利(利回り)の間には負の相関関係があり、逆方向に動きます。

債券価格が上がると利回りが下がり、債券価格が下がると利回りが上がります。

オミクロン株の感染拡大によって再び経済活動が失速するリスクに反応した投資家が安全資産として債券を一斉に買ったことにより債券価格が上がり、利回りが下がっているということです。

また今後の長期金利の動向を予測する上では、米長期金利の動向を読むことが重要になってきます。

取引材料に乏しく些細なきっかけで金利が動きやすい状況

こちらは2021年8月19日~2021年12月10日までのダウ平均株価と米長期金利の推移をグラフにしたものです。

2022年1月住宅ローンの金利予想(ダウ平均株価と米国の長期金利)

9月から10月にかけて長期金利が上昇している理由は、米国内の好調な経済指標を背景としたインフレ懸念や、米連邦準備理事会(FRB)パウエル議長の発言から、市場関係者の間で米国の利上げの時期が前倒しとなると受け止められたためです。

これによって米国債を売る流れが日本国債を売る流れにも波及し、日本の債券価格も下がり、日本の長期金利も上昇したのです。

しかしその後11月3日の会合においてパウエル議長が利上げについて慎重姿勢を強調し、各国の中央銀行も利上げについては消極的な姿勢であったことから、急激に債券を買い戻す動きが強まり、さらにオミクロン株への警戒感から債券価格の上昇に拍車がかかったのです。

しかし最近では世界保健機関(WHO)がオミクロン株について、従来のデルタ株よりも感染力は強いが、重症度は低いとの見方を示し、これに反応した投資家が債券を売って株式を買う動きに転じ、株価と金利は再び上昇しました。

市場においては、新型コロナウイルス以外の取引材料に乏しい反面、これまでの金融緩和政策によって資金だけは潤沢にあることから、些細なきっかけで債券の売り買いが入り、長期金利が動きやすい状況にあります。

銀行の営業方針:2022年の民間銀行の営業戦略

民間銀行の住宅ローン(長期の固定金利)は10月から11月にかけて、イレギュラーに大幅上昇となり、11月から12月にかけてはおおむね横ばいで推移しています。

金融市場の長期金利上昇幅よりも住宅ローンの金利上昇幅の方が大きく上がっている理由は、2022年に予想されている米国の利上げを意識したものである可能性があります。

さらに12月10日には与党による令和4年度税制改正大綱が発表されており、住宅ローン控除の控除率は一律0.7%に引き下げられ、住宅ローン残高の上限についても引下げられました。

これは低金利の住宅ローンで払う利息よりも、控除によって還付される税金が多くなるため、わざと多額の住宅ローンを借りることで儲かる「逆ザヤ問題」を解消するための改正だと言われています。

これまでは高年収の富裕層を取り込むために財テク的に多額の住宅ローンを組ませるというインセンティブが強く働いており、ライバル銀行間で低金利を競い合っていたのですが、こうした銀行が営業戦略を転換するきっかけになるかもしれません。

いきなり住宅ローンの金利が横並びで上がる可能性は低いと思いますが、年度末に向けて住宅ローンの金利が下がらない要素が出てきたと言えそうです。

金利タイプ別2022年1月の金利予想

では、金利タイプ別に2022年1月の金利がどうなっていくのか予想していきます。

12月10日までの公開情報を前提とした予想になります。

30年超の超長期固定金利の動向

こちらは、30年超の超長期固定金利の代表であるフラット35(買取型)の金利と長期金の推移を2021年9月から2021年12月までとったものです。

9月から11月にかけて大幅に長期金利が上昇しており、フラット35の金利も上昇していますが、公的融資であることからその上昇は抑えられ、その分11月から12月にかけては長期金利が少し下がりましたがフラット35の金利は横ばいとしています。

2022年1月住宅ローンの金利予想(フラット35(買取型)と長期金利)

フラット35の金利は前月の中旬に決まります。その時点に青い棒グラフのフラット35(買取型)金利を立てています。

今月の機構債発表のタイミングに長期金利がどのあたりになるのか?

ピタリと予想することは難しいですが、金利上昇時に1.33%を上限としたことに鑑みれば、概ね1.3%前後の水準まで下がる可能性は高いとみています。

なお、民間住宅ローンの30年以上の超長期固定金利については、11月から12月にかけて金利を下げた銀行もありました。

1%超の金利水準が多いことから、住宅ローン控除の改正が営業方針に与える影響は少ないでしょう。

そのため民間の超長期固定金利についてはオミクロン株の影響によって金利が下がれば、さらに適用金利を下げる可能性が高いと見ています

20年前後の長期固定金利の動向

主要銀行の20年固定は主要銀行では10月から11月にかけては長期金利の上昇に伴い大きく上昇しました。

そして11月から12月にかけては長期金利と連動して下げる銀行、横ばいの銀行、逆に上げる銀行に分かれました。

20年固定金利は1%弱の金利水準としている銀行が多く、令和4年度の税制改正によって住宅ローン控除の恩恵が無くなることとなりました。

これによって、20年固定を主力商品から外す可能性もあります。

20年固定金利については長期金利の動向とは別に銀行の営業戦略によって上げる銀行と下げる銀行に分かれる可能性があります。

10年前後の中期固定金利の動向

ここ数年の10年固定金利は概ね下がり続けてきましたものの、10月から11月にかけては珍しく上昇に転じ、11月から12月にかけては長期金利と連動して下げる銀行は無く、横ばいの銀行と逆に上げる銀行に分かれました。

10年固定金利は0.5%前後の金利水準としている銀行が多く、令和4年度の税制改正によっても住宅ローン控除の恩恵は続くこととなりました。

これによって10年固定は主力商品として継続する可能性はあり、期待含みではありますが10年固定金利については再び金利が下がる可能性があります

ただし令和4年度の税制改正で住宅ローン控除の控除期間が今後4年にわたって13年に延長されているので、10年固定に代わって13年固定や15年固定などが台頭してくる可能性もありますね。

変動金利の動向

変動金利は、長期金利ではなく中央銀行の政策金利に影響を受けます。

政策金利とは、中央銀行が民間銀行に融資するときの金利です。

景気後退時には政策金利を下げ、好景気時には政策金利を上げます。

前述したように米国の利上げ観測も後退しており、コロナ禍で日銀が政策金利を上げる可能性は皆無です。

2022年1月の主要銀行の変動金利は横ばいで推移するでしょう。

まとめ~予測の困難な環境下では無理のない返済計画を!

前回の予想は長期金利が下がることで住宅ローン金利が下がると予想したのですが、長期金利は下がったものの、住宅ローンの金利はあまり下がりませんでした。

特に民間銀行では米国の利上げを意識してベースアップを目論んだのではないかと見ています。

基本的に金融市場の金利動向は誰にもコントロールできませんし、それによって決まるとされる住宅ローンの金利は債権者である金融機関が決めるものです。 私の予想が外れることも大いにあり得ます。

金利が想定外の動きになったとしてもある程度吸収できる、無理のない資金計画を立て、実行していく必要があります。

また住宅ローン控除が改正になり、控除率と上限が引き下げられているので、多く借りることのメリットはなくなっています。

住宅ローンの返済計画は無理せず、出来るだけゆとりのあるものにするようにしてください。

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