• 2021.02.10

2021年3月の住宅ローン金利動向を予想します

執筆者: 千日太郎 (オフィス千日合同会社 代表社員)
2021年3月更新千日太郎の金利予想

こんにちはブロガーの千日太郎です。

この記事では、執筆時点で公開されている「金融市場の動向」と千日太郎が公認会計士として培ってきた金融ビジネスに対する知見をもって推理する「銀行の営業方針」から2021年3月の住宅ローン金利動向を予想します。

今までのところ、ほぼ予想を的中しており、これまでの金利推移についても公開しています。

日銀は金融政策決定会合の「主な意見」を1月29日に公表しました。現在日銀が0%程度に誘導している長期金利については、今後はある程度の変動を容認する方向性が盛り込まれており、これに過剰に反応した投資家によって債券が売られ長期金利が上がっています。

このまま長期金利が上昇トレンドに入っていくと、3月の住宅ローンの金利にも影響が出てくるでしょう。今日は3月の住宅ローン金利を金利タイプごとに予想します。

※当記事の金利や情報は2021年2月7日時点のものを記載しております。
最新の金利情報は、必ず金融機関の公式サイトをご確認ください。

この記事を執筆・監修している専門家

執筆者

千日太郎

オフィス千日合同会社 代表社員

保有資格・検定

公認会計士

大阪で公認会計士を営みながら、オフィス千日合同会社 代表社員として、「千日のブログ 家と住宅ローンのはてな?に答える」では金利予想やプロの視点から推奨する住宅ローンの組み方を情報発信。「千日の住宅ローン無料相談ドットコム」では一般の人からの匿名の相談に無料で乗って、そのコンサル内容をネットに公開している。

編集者

ナビナビ住宅ローン編集部

住宅ローンを組む時に抱える「どうやって住宅ローンを選べば良いかが分からない」「金利の違いがよく分からない」「一番お得に借りられるローンはどれなの?」といった疑問・不安を解決できるように解説していきます。

金融市場の動向:
2021年3月コロナバブルによる世界的な株価の高騰

世界的に株価が上昇しています。コロナ対策として巨額の財政出動と金融緩和で多額のマネーが市場にあり、それが雪崩をうって株式に投入されたのですね。いわゆるところのコロナ金融バブルです。

こちらは2020年12月15日~2021年2月5日までの米長期金利とダウ平均株価の推移をグラフにしたものです。

2021年3月住宅ローンの金利予想(長期金利とダウ平均株価)

2021年1月6日に長期金利と株価が目に見えて上昇しています。米上院選挙で民主党が多数派を奪還したことでインフラ投資拡大への期待などから株価と米長期金利は上昇し、去年の3月以来の1%超えとなっています。

株価は1月29日に大きく下落していますが、これは米ゲームストップ株をめぐってヘッジファンドVS個人投資家の投機取引が一時的に過熱したことによるものであり、長期金利に影響はなく、株価も今はもとの高水準に戻っています。

米国では株式を購入する資金として米国債を売るという動きが主流になっています。債券価格が下がると利回りは上がりますので、世界的には長期金利が上がりやすい状況にあると言えるのです。

日銀の金融政策に対する警戒感から日本の長期金利は上昇

こちらは同じ期間の日本の長期金利と日経平均株価の動向をグラフにしたものです。

2021年3月住宅ローンの金利予想(長期金利とダウ平均株価)

米国ほどに顕著ではありませんが、日経平均株価は2021年1月6日の米上院選挙による米株価の上昇が波及して上昇しています。そして同じタイミングで長期金利を示すオレンジの折れ線グラフが上昇しています。一般的な法則として、株価が上がるということは、株式を購入するために債券が売られ、長期金利も上がります。

そして1月28日から29日にかけて長期金利が0.05%を超えて上昇しているのは、日銀の金融政策決定会合で、現在0%程度に誘導している長期金利について、今後はある程度の変動を容認すべきとの発言が複数の委員から出たことが原因です。

これは日銀が長期金利に対して行っているコントロールの手綱を緩めるということです。それまでは長期金利が0%となる債券価格で日銀が買い取ってくれることを信じていた投資家が「いよいよ日銀が国債を買ってくれなくなるかもしれない…」と警戒感を強めたわけです。

そこで「今のうちに持ちすぎている国債を売っておかないと!」ということになり、債券の売りが優勢となって債券価格が下がり、利回り(長期金利)が上がるという流れになっているのです。

そのため日本の長期金利は、コロナバブルの株高によって世界的に上がりやすい状況に加えて、日銀の金融政策に対する警戒感から、さらに上がりやすい状態になっていると言えるでしょう。

銀行の営業方針:
長期金利が上がるなら融資金利を上げるチャンス

3月は多くの不動産会社、建築会社の決算月であるため、新築住宅の完成引き渡しが集中します。また、年間で引っ越しが集中するのは3月4月です。中古住宅の引き渡しについても3月は多くなる傾向があります。

住宅ローンの金利は住宅の引き渡し月に発表される金利が適用となりますので、多くの銀行にとっても3月はかき入れ時となります。多くの人が住宅ローンの実行をする月ですので、できれば高い金利で貸したいというのが民間銀行の本音なのです。

民間銀行の住宅ローンはいわば商品であり、その金利は商品の売値です。金利を決めるのは銀行ですが、上げるにはそれなりの大義名分が必要です。つまり前述の長期金利が上昇しているということは、恰好の大義名分となるのです。

2月までは、長期金利が上がってもそれほど住宅ローンの金利は上がりませんでした。これは3月のかき入れ時を前に金利を上げて顧客に逃げられることを恐れていたためです。

3月になれば逃げられる心配がありませんので、それまで低金利を維持していた銀行も3月には金利を上げる可能性があります。

金利タイプ別2021年3月の金利予想

では、金利タイプ別に2021年3月の金利がどうなっていくのか予想していきます。2月7日までの公開情報を前提とした予想になります。

30年超の超長期固定金利は長期金利の上昇に伴い上がる

こちらは、30年超の超長期固定金利の代表であるフラット35(買取型)の金利と長期金利の推移を2020年11月から2021年2月までとったものです。

2021年3月住宅ローンの金利予想(フラット35【買取型】と長期金利)

フラット35の金利は前月の20日前後に決まりますので、その時点に青い棒グラフのフラット35(買取型)金利を立てています。

これは直近4か月の機構債の表面利率が発表される日が16日か18日となっていて、ちょうどその時の長期金利によって決まっている部分が大きいことを示しています。

例えば2021年2月の機構債の表面利率が決まるタイミングは1月19日で0.04%となっており、その金利で集めたお金で貸す2月のフラット35の金利は1.32%ということです。

今月の機構債発表のタイミングに長期金利がどのあたりになるのか?ピタリと予想することは難しいですが、このまま長期金利が上昇傾向を維持していくならば、フラット35の金利も0.02ポイント程度の上昇となるでしょう

なお、民間住宅ローンの30年超の超長期固定金利については、フラット35と似た動きになる傾向がありますが、前述のように民間銀行としては金利を上げる好機と考えられるため、いわゆる便乗値上げもあり得ます。民間住宅ローンの30年以上の超長期固定金利については、フラット35以上に上昇する可能性もあると予想しています。

20年前後の長期固定金利も長期金利の上昇に伴い上がる

主要銀行の2020年2月の20年固定は金利を下げた銀行、横ばいとした銀行、上げた銀行と各行の営業方針によって分かれました。1月に最低金利だったりそな銀行の0.895%は、2月には0.945%に上げています。

1月から2月にかけては長期金利が若干上がっていましたので、それによって金利を上げた銀行は2月から3月にかけても金利を上げる可能性が高いです。

また、1月から2月にかけて金利を横ばいとした銀行、下げた銀行もこの3月に金利を下げるインセンティブはありませんので、金利を上げる可能性が高いと思います。

10年前後の中期固定金利も長期金利の上昇に伴い上がる

主要銀行の2021年2月の10年固定金利は横ばい又は下がるという予想がおおむね的中しました。長期金利としては上がっていたのですが、3月よりも前に金利を上げて利用者に逃げられるのを恐れたのだと思います。

しかし、3月は多くの人の実行月ですから逃げられることもありません。2021年3月は金利を上げる銀行が多いと予想しています。

変動金利は横ばい

変動金利は、長期金利ではなく中央銀行の政策金利に影響を受けます。政策金利とは、中央銀行が民間銀行に融資するときの金利です。景気後退時には政策金利を下げ、好景気時には政策金利を上げます。

そのため、前述までの固定金利のように金利を上げる大義名分はありません。変動金利が上がることは無いと予想しています。2021年3月の変動金利は横ばいで推移するでしょう

まとめ~変動金利かフラット35でも審査を通しておく

基本的に民間銀行の『〇年固定』という商品については、3月は上がると予想しています。それほど大きな上昇でなければ、そのまま借りても良いと思いますが、あまりにも大きく上がってしまった場合は別の金利タイプへ変更することも想定しておいた方が良いです。

同じ銀行で別の金利タイプに変更することは、ここまで直前になると不可能です。別の金融機関で変動金利がフラット35で審査を通しておき、今決めている民間銀行が想定以上に金利を上げてきたときにはキャンセルして別の金融機関で借りる準備をしておくことをお勧めします。わたしのご相談者にはそのような方法をお勧めしており、これまで多くの方がそれを実践されています。

これはあくまでこの記事の執筆時点で千日太郎個人が予想していることにすぎません。実際の金利動向はその通りにならない可能性は大いにあり得ます。引き続き、日々の金利動向に目を配っておくことをお勧めします。

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