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ポスト黒田の日銀利上げ可能性は?2022年5月住宅ローン金利動向を予想します

最終更新日:

2022年5月の金利予想
住宅ローン金利
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こんにちは公認会計士ブロガーの千日太郎です。

米FRBによる利上げペースが加速するとの見方から長期金利は上昇し続けており、住宅ローンの金利への影響も懸念されています。

この記事では、執筆時点で公開されている「金融市場の動向」と千日太郎が公認会計士として培ってきた金融ビジネスに対する知見をもって推理する「銀行の営業方針」から2022年5月の住宅ローン金利動向を金利タイプごとに予想します。

※当記事の金利や情報は2022年4月11日時点のものを記載しております。
最新の金利情報は、必ず金融機関等の公式サイトをご確認ください。

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金融市場の動向:2022年の日経平均株価と国内長期金利の動向

こちらは2022年1月4日~2022年4月8日までの日経平均株価と長期金利の推移をグラフにしたものです。

2022年5月住宅ローンの金利予想(日経平均と日本の長期金利)

2022年2月24日のウクライナ侵攻によって、長期金利も日経平均株価も一時大きく下がりましたが、3月にかけて急上昇しています。

これは、米国のインフレ懸念によって米FRBが0.25%の利上げを実施し、さらにパウエル議長が5月には0.5%の利上げを支持する発言をしたことによって、さらに米国の長期金利が上昇し、日本に波及したためです。

利上げを支持する米欧の中央銀行に対して日銀の黒田総裁は金融緩和政策を堅持しており、金融市場に直接介入する指し値オペによって日本の長期金利を上限の0.25%に抑え込んでいます。

そのため、3月末あたりの日本の長期金利(青い折れ線グラフ)の頂点は0.25%で頭打ちとなっているのですね。日銀の指し値オペが無ければさらに上昇していたでしょう。

日米長期金利の比較:日米中央銀行の政策の違い

こちらは2022年1月4日~2022年4月8日までの日本と米国の長期金利の推移をグラフにしたものです。

2022年5月住宅ローンの金利予想(日米長期金利)

先ほどのグラフでは日本の長期金利が大きく上昇していることが見て取れましたが、このように米国と並べてみると、金利上昇の幅が全く違うことが分かりますね。

これほど利回りが違うということになると、日本円よりも米ドルをもっている方が得だということになり、円を売ってドルを買う動きが活発となったことで、約6年ぶりのドル高円安圏に突入しているのです。

ドル高円安は輸入品を中心とした物価高に拍車をかけるものですので、コロナ不況下にこれが常態化すると経済への悪影響が顕在化していく可能性があります。

従来はウクライナ侵攻などの有事には安全通貨として円が買われる傾向があったのですが、米欧の中央銀行が利上げに舵を切るなかで日銀が正反対の緩和政策を続けていることによって円が売られる状態となっているのです。

これに対して日銀の黒田総裁は4月11日の支店長会議において、景気の先行きについて、『新型コロナウイルス感染症によるサービス消費への下押し圧力や供給制約の影響が和らぐもとで、資源高の影響を受けつつも回復していく』との見通しを示し、必要があれば躊躇なく追加緩和すると改めて強調しています。

そのため、黒田氏が総裁である期間に日銀の政策を転換する可能性は低いですが、来年4月8日には任期満了の予定となっています。

新総裁の下で今の緩和政策から脱却するのでは?という思惑も広がっています。

銀行の営業方針:ポスト黒田の日銀が利上げする可能性を折り込む

民間銀行の住宅ローン(長期の固定金利)は2022年2月から2022年4月にかけて0.1から0.25ポイントの大幅上昇となりました。

これに対して変動金利については、2月から4月にかけて基本的に低金利のまま横ばいとなっています。

3月は決算月であるため、もともと金利の上がりやすい月ではあったのですが、4月は3月の反動で住宅ローンの実行が激減する時期であり、本来はあまり上がる時期ではありませんでした。

そのため、一部のネット銀行では3月から4月にかけて横ばいとする銀行もあったのですが、多くのメガバンク系の固定金利は3月から4月にかけても大幅上昇しています。

この背景にある民間銀行の思惑は、日銀による利上げの可能性を折り込んだものでしょう。

固定金利はその固定期間にわたって金利を固定するため、将来金利が上昇するという観測下では高めに金利を設定しておかなければ、将来銀行が損をしてしまうということになります。

しかし、変動金利は6か月ごとに金利を上昇させることができる金利タイプであるため、実際に日銀が利上げをしてから上昇させれば良いのです。

前述したように日銀の黒田総裁は金融緩和政策を堅持する姿勢を崩していません。

しかし、民間銀行はポスト黒田の日銀が金利を上げる可能性にコインを置いて現在の住宅ローンの金利を決めているのですね。

金利タイプ別2022年5月の金利予想

では、金利タイプ別に2022年5月の金利がどうなっていくのか予想していきます。

4月11日までの公開情報を前提とした予想になります。

【金利タイプ別】2022年5月の金利予想

こちらは、公的融資で30年超の超長期固定金利であるフラット35(買取型)の金利と長期金の推移を2022年1月から2022年3月までとったものです。

2022年1月から3月にかけて大幅に長期金利が上昇しており、フラット35の金利も上昇していますが、公的融資であることからその上昇は抑えられ、3月から4月にかけては概ね横ばいです。

2022年5月住宅ローンの金利予想(フラット35(買取型)と長期金利)

フラット35の金利は前月の中旬に決まります。

その時点に青い棒グラフのフラット35(買取型)金利を立てています。

(機構債発表日)1月金利
(2021年12月16日)
2月金利
(2022年1月21日)
3月金利
(2022年2月17日)
4月金利
(2022年2月17日)
長期金利0.04%0.13%0.21%0.20%
機構債の
表面利率
0.32%0.40%0.48%0.46%
フラット351.30%1.35%1.43%1.44%

フラット35は、下図のように住宅金融支援機構が民間金融機関から債権を買い取って証券化し、機関投資家に債券市場を通じて機構債という形で販売するという仕組みになっています。

この機構債は毎月20日前後に表面利率を発表し募集します。

投資家たちは機構債を安全資産という考えで購入しますので、その表面利率は10年国債の利回り(長期金利)に連動する傾向があるのです。

そしてその長期金利は0.25%以上に上がらないように日銀が指し値オペによって抑え込んでいます。

そのため、長期金利はある程度低い金利に抑えられていても、もっと高い金利でなければ機関投資家が機構債を買ってくれない可能性もあるのですね。

今月の機構債発表のタイミングに長期金利がどのあたりになるのか?

また、実態としての長期金利が何パーセントなのか?非常に難しいところですが、日銀が上限としている長期金利の水準0.25%以上であるとすれば、フラット35(買取型)の金利は概ね1.5%前後まで上がる可能性があると予想しています。

民間の超長期固定金利の動向

なお、民間住宅ローンの30年以上の超長期固定金利については、2月から3月にかけて長期金利の上昇以上に金利を上げています。

ただし、4月からは三菱UFJ銀行が35年固定金利を目玉商品として低金利商品(1.20%)を出してきました。

これまでメガバンクではみずほ銀行の1強であったところへの参入なので、4月で上がり止まり5月は横ばいの可能性が高いと見ています

20年前後の長期固定金利の動向

主要銀行の20年固定は2022年2月から3月にかけて長期金利の上昇以上に金利を上げています。

ただし4月には大幅上昇する銀行と横ばいとする銀行に分かれています。後述する10年固定の金利が上昇し、30年固定を目玉商品とするメガバンクが出てきています。4月の三菱UFJ銀行は35年固定で1.20%となっています。

20年固定金利はこれよりも低金利でなければ三菱UFJ銀行に顧客を取られてしまうことになります。

さらに上がる可能性と、横ばいとなる可能性の半々と見ています。

10年前後の中期固定金利の動向

ここ数年の10年固定金利は概ね下がり続けてきたものの、2022年2月から4月にかけて大幅上昇となりました。

令和4年度の税制改正によっても住宅ローン控除の控除率が0.7%に下がったことで、その控除率に合わせた0.7%前後にそろってきているためではないかと分析していました。

ネット銀行が概ね0.7%前後の水準でそろってきており、メガバンク系は0.8%台後半にまで上がってきています。

来年という比較的短期のスパンで日銀の政策転換の可能性が見えてきてるため、10年固定という比較的短期の固定金利でもあまり低い金利をつけにくくなっているのだと思います。

4月から5月にかけては、ネット銀行もメガバンク系に近い水準(0.8%台)に上昇していく可能性があります

変動金利の動向

変動金利は、長期金利ではなく中央銀行の政策金利に影響を受けます。

政策金利とは、中央銀行が民間銀行に融資するときの金利です。

景気後退時には政策金利を下げ、好景気時には政策金利を上げます。

前述したように黒田総裁は金融緩和政策の継続を表明しており、来月に日銀が政策金利を上げる可能性は無いと思います。

2022年5月の主要銀行の変動金利は横ばいで推移するでしょう。

まとめ~金利上昇局面では無理のない返済計画を

物価が上昇し、金利も上昇する。住宅ローンを借りるわたしたちにとっては逆風が吹いています。

基本的に金融市場の金利動向は誰にもコントロールできませんし、それによって決まるとされる住宅ローンの金利は債権者である金融機関が決めるものです。

固定金利で考えている人は、住宅ローンの実行時点では、今よりも金利が上がっている可能性があります。

そして変動金利もポスト黒田体制下の日銀の政策によっては上がる可能性があります。

金利が想定外に上昇したとしてもある程度吸収できる、無理のない資金計画を立て、実行していく必要があります。

住宅ローンの返済計画は無理せず、出来るだけゆとりのあるものにするようにしてください。

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