• 2021.10.18

岸田新政権下の2021年11月の住宅ローン金利動向を予想します

執筆者: 千日太郎 (オフィス千日合同会社 代表社員)
住宅ローンニュース【2021年11月最新】千日太郎の金利予想

こんにちはブロガーの千日太郎です。

衆議院は14日午後の本会議で解散され、その後の臨時閣議で衆院選日程を19日公示、31日投開票と決定しました。

岸田政権発足以後、株価は下がりましたが長期金利は米金利上昇の波及を受けて上昇し、株価と金利は逆方向に動いています。

11月の住宅ローン金利は少し波乱が予想されます。

またこの記事では、執筆時点で公開されている「金融市場の動向」と千日太郎が公認会計士として培ってきた金融ビジネスに対する知見をもって推理する「銀行の営業方針」から2021年11月の住宅ローン金利動向を予想します。

※当記事の金利や情報は2021年10月14日時点のものを記載しております。
最新の金利情報は、必ず金融機関の公式サイトをご確認ください。

執筆・監修している専門家

執筆者

千日太郎

オフィス千日合同会社 代表社員

保有資格・検定

公認会計士

大阪で公認会計士を営みながら、オフィス千日合同会社 代表社員として、「千日のブログ 家と住宅ローンのはてな?に答える」では金利予想やプロの視点から推奨する住宅ローンの組み方を情報発信。「千日の住宅ローン無料相談ドットコム」では一般の人からの匿名の相談に無料で乗って、そのコンサル内容をネットに公開している。

編集者

ナビナビ住宅ローン編集部

住宅ローンを組む時に抱える「どうやって住宅ローンを選べば良いかが分からない」「金利の違いがよく分からない」「一番お得に借りられるローンはどれなの?」といった疑問・不安を解決できるように解説していきます。

金融市場の動向:株価は下がっても上昇する長期金利

こちらは2021年5月20日~2021年10月13日までの日経平均株価と長期金利の推移をグラフにしたものです。

2021年11月住宅ローンの金利予想1(日経平均と日本の長期金利)

5月20日から8月末ごろまでは日経平均株価(オレンジの折れ線グラフ)も長期金利(青い折れ線グラフ)も右肩下がりで推移してきましたが、9月に入ってから当時の菅義偉首相が辞任の意向を表明したことで、日経平均株価は急上昇となりました。

この株高に反応して相対的に安全資産とされる債券には売りが優勢となり、長期金利も上昇しました。

株高となると、その株を購入するために比較的安全資産とされる債券は売られて債券価格が下がります。

債券価格と金利(利回り)の間には負の相関関係があり、逆方向に動きます。

債券価格が上がると利回りが下がり、債券価格が下がると利回りが上がるのです。

株価上昇の背景には、過去約30年で衆院解散実施日から総選挙の投開票日までの期間中の株価はほぼ上昇してきたという経験則と、菅政権の後に誕生する新政権への期待がありました。

後釜が岸田氏に決まり閣僚人事が発表されると期待はみるみる萎み、株価は上昇前の水準まで下がっています。

しかし、国内長期金利は日経平均株価とは反対に右肩上がりの上昇を続けています。この背景には米長期金利の上昇があると言われています。

米国の金利上昇が日本に波及するプロセス

こちらは2021年5月20日~2021年10月13日までのダウ平均株価と米長期金利の推移をグラフにしたものです。

2021年11月住宅ローンの金利予想2(ダウ平均株価と米国の長期金利)

2021年6月以降のダウ平均株価(オレンジの折れ線グラフ)は緩やかに上昇を続けている一方で長期金利(青い折れ線グラフ)は下がっています。

株価が上がっても金利が下がる背景には、各国政府がコロナ関連の巨額の財政出動を行ったことによって市中には大量の資金が供給されており、それが飽和状態になっていることがあると考えています。

業績の上がる企業の株価は本来の企業価値以上に上がっている状態でありさらに株を買い増すことができない、かといってコロナで業績の下がっている企業の株を買えるほどに見通しは明るくない状態です。

そこで行き場を無くした資金が安全な債券に流れているのです。案の定ダウ平均株価の上昇は止まり、9月に入ってからは下がり始めました。

そして9月23日には今度は長期金利が急上昇し始めていますね。

これは9月22日に米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が、米連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見で、量的緩和縮小(テーパリング)の開始を11月あたりに決定する見通しを表明し、利上げの時期を2022年に前倒しする可能性を示したためです。

「今までのように米国債を中央銀行が高値で買い取ってくれなくなるのでは?」という懸念が市場に広がり、債券の売りが増え、債券価格が下がり金利が上がっているのです。

米国債を持っていてこれを売ろうとする投資家は日本国債も保有しています。

米国債を売る流れが日本国債を売る流れにも波及し、日本の債券価格も下がり、日本の長期金利も上昇しているのです。

銀行の営業方針:2021年下半期の民間銀行の営業戦略

下半期に入ってからの民間銀行は新築マンションの完成が集中する来年3月に引き渡しを予定している人をターゲットに営業戦略を策定し始めます。

売買契約にあたってはあらかじめ住宅ローンの審査に通します。

3月に引き渡しを予定している顧客が売買契約を結ぶタイミングから低金利であることをアピールしておかないと、そもそも選んでもらえないためです。

民間銀行の住宅ローン(長期の固定金利)は9月から10月にかけて、若干の上昇となりました。

しかし変動金利では住信SBIネット銀行が金利を下げており、ネット銀行のなかには疾病保障団信の金利上乗せ分を引き下げるキャンペーンを開始しています。

長期の固定金利の上昇は、長期金利の上昇を反映したものですが、特に目立つような金利上昇とはなっていません。

そして金利を上げた代わりとして前述のキャンペーンを張っており、低金利のアピールを拡大しつつあります。

住宅ローン利用者を取り込みたいというインセンティブは各行依然として強く、ライバル銀行間での低金利競争がこれから激化していくだろうと予想しています。

金利タイプ別2021年11月の金利予想

では、金利タイプ別に2021年11月の金利がどうなっていくのか予想していきます。10月14日までの公開情報を前提とした予想になります。

30年超の超長期固定金利の動向

こちらは、30年超の超長期固定金利の代表であるフラット35(買取型)の金利と長期金の推移を2021年6月から2021年10月までとったものです。

9月から10月にかけて再び金利が上昇しており、フラット35の金利も上昇しています。

 2021年11月住宅ローンの金利予想1(フラット35(買取型)と長期金利)

フラット35の金利は前月の中旬に決まります。その時点に青い棒グラフのフラット35(買取型)金利を立てています。

今月の機構債発表のタイミングに長期金利がどのあたりになるのか?

ピタリと予想することは難しいですが、金利の上昇後、直近では0.07%から0.09%で推移しています。

長期金利が同じくらいの水準だった2021年6月のフラット35金利が1.35%であったため、概ね1.35%前後まで上がる(0.05ポイントの上昇)可能性があると予想しています

なお、民間住宅ローンの30年以上の超長期固定金利についても、フラット35と同様にある程度の上昇が予想されますが、銀行の営業方針から上昇幅は抑えられるでしょう

20年前後の長期固定金利の動向

主要銀行の20年固定は主要銀行では7月から9月まで0.8%台に突入しており、これは史上最低レベルの低金利で底の水準だと見ています。

9月から10月にかけては長期金利の上昇に伴い0.9%台まで上昇しましたが、まだ金利水準としてはおトクなレンジにあります。

10月から11月にかけても上昇する可能性がありますが、銀行の営業方針から上昇幅は抑えられるでしょう。

10年前後の中期固定金利の動向

ここ数年の10年固定金利は概ね下がり続けています。

なお、主要銀行の10年固定金利は3か月連続で横ばいと予想し的中しています。

10年固定金利については、ほとんど下がり代が残っていないという認識に変更はありません。

菅首相の退陣と総選挙に伴う株価の上昇で金利が上がる可能性があります。

そのため11月の金利は横ばい又は若干の上昇で推移すると予想しています。上昇する可能性は低めと予想しています。

変動金利の動向

変動金利は、長期金利ではなく中央銀行の政策金利に影響を受けます。

政策金利とは、中央銀行が民間銀行に融資するときの金利です。

景気後退時には政策金利を下げ、好景気時には政策金利を上げます。

米FRBは2022年に利上げの可能性を示唆していますが、コロナ禍で日銀が政策金利を上げる可能性は皆無です。

2021年11月の主要銀行の変動金利は横ばいで推移するでしょう。

まとめ~予測の困難な環境下では無理のない返済計画を!

記事の執筆時点において、米長期金利の波及を受けて国内金利が上昇していますが、ある程度の水準(概ね0.1%)が上限になるだろうと予想しています。

しかし、そもそも金融市場の金利動向は誰にもコントロールできませんし、それによって決まるとされる住宅ローンの金利は債権者である金融機関が決めるものです。

私の予想が外れることも大いにあり得ます。

金利が想定外の動きになったとしてもある程度吸収できる、無理のない資金計画を立て、実行していく必要があります。

住宅ローンの返済計画は無理せず、出来るだけゆとりのあるものにするようにしてください。

また、金融機関が金利を下げていたとしても、前もって金利を上げると逃げられることが分かっているためです(銀行の営業方針:中間決算を迎える民間銀行の思惑)。

一つの金融機関だけで契約して、放置していると実行月になって金利を上げられたときに対応できなくなります。

複数の金融機関(できれば複数の金利タイプ)で審査を通しておいてください。

引き続き、日々の金利動向に目を配っておくことをお勧めします。

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