米長期金利が急低下!2019年9月の住宅ローンの金利はどうなる?一番下がるおトクな金利タイプを予想します
執筆者: 千日太郎 (オフィス千日合同会社 代表社員)
こんにちはブロガーの千日太郎です。
米長期金利が今までにないくらいに下がっています。
2019年9月以降に住宅ローンの実行を予定している人にとっては、「今のまま低い金利でいってほしい、できればもうちょっと下がってほしい!」と思う局面ですよね。
住宅ローンの金利については、全体として低下傾向にあるのは間違いないと思いますが、その中でもより金利が下がる金利タイプとそうでない金利タイプがあります。
これから、ナビナビ住宅ローンでは千日太郎が金利タイプごとに、翌月おトクになる住宅ローンの金利タイプを予想していきます。よろしくお願いします!
この記事を執筆・監修している専門家
ナビナビ住宅ローン編集部
住宅ローンを組む時に抱える「どうやって住宅ローンを選べば良いかが分からない」「金利の違いがよく分からない」「一番お得に借りられるローンはどれなの?」といった疑問・不安を解決できるように解説していきます。
この記事の目次
翌月の住宅ローンの金利予想は銀行の値付けを予想するということ
毎月の初日に各行で発表される住宅ローンの金利は金融市場の金利が反映されます。
住宅ローンを貸す銀行もまた、利息を払って金融市場から資金を調達しており、それに自分の利益をオンして私たちに貸しているからです。
例えば、住宅ローンの変動金利は6か月ごとに見直して銀行の都合で上げたり下げたりすることが出来る金利タイプですが、銀行もまた6か月ごとに金利が見直される短期の金利で資金を調達して貸しているのです。
お金の流れを矢印として整理すると以下のようになります。
お金を商品のように売り買いすることが銀行の商売とするなら、金利とは商品の価格みたいなものですね。
もちろんこれは金利の厳密な定義ではありませんが、銀行の商品としての住宅ローン金利を予想する上で私が軸にしている本質的な考え方です。
金融市場の動向を調べる=仕入れ値の傾向を調べる
ですから、金融市場の動向を調べるということは、銀行の商品の仕入れ値の動向を調べるということなのです。
もちろん、住宅ローンを貸すために借りたお金が何パーセントなのか?なんていうレベルで調べることは出来ませんし、そういう1対1の考え方で銀行が資金調達しているのではありません。
しかしマーケット全体として金利が上がっていれば、住宅ローンの金利を上げる傾向があります。
なぜならば、仕入れ値が上がっているのですから、売り値も上げておかないと必要な利益を確保できないからです。
そして逆にマーケット全体として金利が下がっていれば、住宅ローンの金利を下げる傾向があるのですね。
全体的な仕入れ値が下がっているのですから、売り値も下げておかないと他行にお客さんを取られてしまうからです。
9月の住宅ローン金利に影響する金融市場の動向
長期金利(主に10年国債利回り)の低下が世界的に加速しており、米長期金利は8月7日に一時、前日より0.14%低い1.59%へと急低下しました。
<直近までの日米長期金利の推移グラフ>
米中対立や世界経済への先行き不安と、10年半ぶりのFRB(米連邦準備制度理事会)の利下げを受け、投資家のマネーが安全な国債に集まってきているのが原因です。
日本の長期金利は米国よりはなだらかではありますが、そもそものベースがマイナスです。
8月6日には一時マイナス0.211%を付けました。これは日銀が容認している下限のマイナス0.2%を切る水準です。
その日銀が8月7日に公表した金融政策決定会合の声明では政策運営方針は据え置き、公表文には「先行き、物価目標に向けたモメンタムが損なわれる恐れが高まる場合には、躊躇なく追加的な金融緩和措置を講じる」という一文を追加しています。
モメンタムというのはみんなの勢い的なものです。
つまり、米FRBの利下げに続いて、日銀もさらに利下げ…といっても既にマイナスですから下げる余地がほとんど残されていないのです。
それでも追加的な金融緩和をやるということですね。今のマーケットの動向からすると「金利が下がる要素ばかりで上がる要素がない」という状況です。
住宅ローンの金利に影響する銀行の営業方針
さらに、9月は多くの銀行で第2四半期決算です。
メガバンクをはじめ3か月ごとに決算を発表しており、3月の年度決算に加えて3回小さな決算があるのですが、その中でもちょうど期の真ん中にあたる決算です。
つまり、9月は下半期に向けての折り返し地点として株主からも注目される決算と言えます。
銀行としては融資の申込件数を上げて高い収益性をアピールしたいというインセンティブが働く月なのですね。
とは言え、長きにわたるマイナス金利で銀行の体力は奪われています。各銀行の営業方針から打ち出す商品を決めて戦略的に下げてくるでしょう。
金利タイプ別9月の金利予想
では、金利タイプ別に9月の金利がどうなっていくのか予想していきます。
大まかな傾向として下がるのですが、既に下がりきっている変動金利は下がらず、まだ下がり代を残した長期の固定金利がより大きく下がる傾向にあります。
30年超の超長期固定金利は1%を切る
30年超の超長期固定金利の代表はフラット35ですね。
7月あたりから1.1%台に下がり、「フラット35S」の適用で0.25%引き下げとなることで1%を切る状態になってきています。
8月はさらにマーケットの長期金利が下がっていますので、フラット35の金利はさらに下がる可能性があります。
民間融資ですとあまりに金利を下げ過ぎると必要な利益が取れなくなるということで実際には下がらないこともあるのですが、フラット35は住宅金融支援機構という国の機関が債権者となる公的融資です。
長期金利が下がった分だけ、しっかりフラット35の金利も下がるでしょうね。
9月以降に住宅ローンの実行を予定しているなら、外せないのがフラット35です。
今から9月の実行に間に合う可能性もあります。 そして、民間の30年前後の超長期固定金利の住宅ローンにとってフラット35はライバルです。
直前になってフラット35に乗り換えられてはたまらないですから、ある程度金利を下げてくる可能性があります。
20年前後の長期固定金利はさらに下がる
当初固定金利の中ではこれまで20年の固定金利はあまり目立つ位置づけではありませんでした。
しかし、30年の超長期金利がかなり下がってきていることで、20年固定も同じく下がる現象が起きています。
金利は固定期間が長いほど高くなります。前述の30年固定が下がってきたら、20年固定はよりも低い金利を付ける可能性が高いのです。
つまり、30年固定が1%を切って0.9%台になるということは、20年固定は0.9%前半から0.8%台にまで下がる可能性があるということを意味します。
10年前後の中期固定金利も下がるが大きくは下がらない
これまで、主要銀行の住宅ローンは10年固定をメインとして価格競争の様相を呈してきました。
そのため、10年固定はだいぶ下がりきっている状態で、これ以上に下げると必要な利益が取れない状態になってきます。
そして、10年固定にはフラット35のような公的融資のライバルはありません。 他行の動向を見ながら、金利を下げるかを検討するという感じになるでしょう。30年固定や20年固定が下がっても10年固定は据え置きとなる可能性はあります。
変動金利は据え置き
変動金利は銀行間で資金の融通を行うときの金利、短期プライムレートに連動し、短期プライムレートは日銀が民間銀行に対して融資するときの政策金利の影響を受けます。
なので政策金利が下がれば、変動金利が下がるというのが理論的には言えるのですが、実質的に政策金利はマイナスになっていまして、もう下げ代が残っていない状態なのです。
また、変動金利は今0.5%前後の水準ですが、これ以上下げてもそれほど利息には影響しないレベルです。
そして住宅ローンの金利が0%を下回ることはありません。変動金利については、ほぼ横ばいとなるでしょう。
まとめ ~金利ではなく毎月返済額で判断を
ここまで、金利の話をしてきましたが、私たちが住宅ローンを選ぶとき、判断の指標にするのは金利ではありません。
私たちにとっての判断の指標はあくまで毎月の返済額です。なぜなら、毎月決まった日に返済する金額が私たちにとってのリアルな数字だからです。
「住宅ローンとは何か?」と訊かれたら、私は「毎月決まった日に決まった金額を35年なら420回銀行に払うことだよ」と答えます。
これが正確な定義でないことは百も承知ですが、それが私たちにとっての住宅ローンの本質だからです。
冒頭で、金利というのはお金を貸す銀行にとっての商品の価格なんだという話をしましたね。これは金利を予想するにあたり、銀行の立場に立って考えるということなのです。
あくまで私たちは毎月の返済額で判断すべきです。特に今はベースが低金利ですので、金利が倍くらいでも毎月の返済額は数千円しか変わらないということも珍しくありません。
金利の低さだけで先入観をもってしまい、すごく有利な住宅ローンだと思うと足元をすくわれることもありますよ。十分注意してくださいね。