• 2021.09.07

2021年9月の住宅ローン金利動向を予想します

執筆者: 千日太郎 (オフィス千日合同会社 代表社員)
2021年9月住宅ローンの金利予想

 こんにちはブロガーの千日太郎です。

様々な物議を醸した東京オリンピックが閉会しました。

新型コロナウイルスの感染者数は連日最多数を更新中であり、内閣支持率は節目の30%を下回っています。

米長期金利の不可解な低下は一時止まっているように見えますが、依然として低水準にとどまっています。

この記事では、執筆時点で公開されている「金融市場の動向」と千日太郎が公認会計士として培ってきた金融ビジネスに対する知見をもって推理する「銀行の営業方針」から2021年9月の住宅ローン金利動向を予想します。

※当記事の金利や情報は2021年8月10日時点のものを記載しております。
最新の金利情報は、必ず金融機関の公式サイトをご確認ください。

執筆・監修している専門家

執筆者

千日太郎

オフィス千日合同会社 代表社員

保有資格・検定

公認会計士

大阪で公認会計士を営みながら、オフィス千日合同会社 代表社員として、「千日のブログ 家と住宅ローンのはてな?に答える」では金利予想やプロの視点から推奨する住宅ローンの組み方を情報発信。「千日の住宅ローン無料相談ドットコム」では一般の人からの匿名の相談に無料で乗って、そのコンサル内容をネットに公開している。

編集者

ナビナビ住宅ローン編集部

住宅ローンを組む時に抱える「どうやって住宅ローンを選べば良いかが分からない」「金利の違いがよく分からない」「一番お得に借りられるローンはどれなの?」といった疑問・不安を解決できるように解説していきます。

金融市場の動向:
米長期金利は底を打ったのか?

こちらは2021年1月4日~2021年8月9日までのNYダウ平均株価と米長期金利の推移をグラフにしたものです。2021年8月住宅ローンの金利予想1(ダウ平均株価と米国の長期金利)

注目すべきは2021年6月からの株価(オレンジの折れ線グラフ)と長期金利(青い折れ線グラフ)の動きです。

株価は緩やかに上昇を続けている一方で長期金利は下がっています。

2021年6月はFOMC(米連邦公開市場委員会)が、2023年末までに2回の利上げに動く可能性を示唆したタイミングです。

中央銀行が利上げを示唆して、金融緩和政策を縮小(テーパリング)する可能性を示唆すると、債券が売られて長期金利が上がるのがセオリーなのですが、逆に債券が買われて長期金利が下がっています。

債券価格と金利(利回り)の間には負の相関関係があり、逆方向に動きます。債券価格が上がると利回りが下がり、債券価格が下がると利回りが上がるのです。

セオリーから外れて債券がさらに買われている背景には、各国政府がコロナ関連の巨額の財政出動を行ったことによって市中には大量の資金が供給されており、それが飽和状態になっていることがあると考えています。

これらの資金は株や不動産、投資信託などに投入され、不況にもかかわらず価格相場が上昇することが世界中で起きていて、「コロナバブル」と呼ばれています。

ダウ平均株価は緩やかに上昇していますが、概ね3万5千ドルあたりで頭打ちとなっています。

業績の上がる企業の株価は本来の企業価値以上に上がっている状態でありさらに株を買い増すことができない、かといってコロナで業績の下がっている企業の株を買えるほどに見通しは明るくない状態です。

そこで行き場を無くした資金が安全な債券に流れているのです。

債券価格が上がり利回りが下がる(負の相関関係)ということですね。

青い折れ線グラフの金利が下がっているということは、債券価格が上がっていることを意味します。

この債券価格もどこまでも上がるわけではなく、やはり上限があるのです。

最近になって長期金利の低下が止まったということは、そろそろ債券価格も上限に近いということでしょう。

こちらは同じ期間の2021年1月4日~2021年8月6日までの日経平均株価と日本の長期金利の推移をグラフにしたものです。

 2021年8月住宅ローンの金利予想1(日経平均と日本の長期金利)

注目すべきは米国のように株価と金利が逆方向に動かず、概ね同じペースで下がり続けていることです。日経平均株価(オレンジの折れ線グラフ)も長期金利(青い折れ線グラフ)も右肩下がりで推移しています。

先行きの不透明な状況を反映してリスク資産の株式が売られて株価が下がり、そのお金で安全資産の債券が買われて債券価格が上がる(金利が下がる)ということですので、セオリー通りの推移になっていると言えそうです。

銀行の営業方針:
2か月連続で住宅ローン金利を下げる狙いとは?

民間金融機関の住宅ローン(長期の固定金利)では6月から8月にかけて、連続して住宅ローンの金利を下げています。

今のタイミングで大きく金利を下げる理由としてはこの時期に住宅ローンを実行する人をターゲットにしたものではなく、新築マンションの完成が集中する来年3月に引き渡しを予定している人に対するアピールです。

売買契約にあたってはあらかじめ住宅ローンの審査に通します。

年内の早い段階から低金利であることをアピールしておかないと、そもそも選んでもらえないためです。

ここまでして住宅ローン金利を下げる背景には、コロナ禍でも収入を減らすことなく不動産を購入することが出来る優良顧客を取り込んでおきたい民間金融機関の狙いがあります。

金利タイプ別2021年9月の金利予想

では、金利タイプ別に2021年9月の金利がどうなっていくのか予想していきます。

8月10日までの公開情報を前提とした予想になります。

30年超の超長期固定金利の動向

こちらは、30年超の超長期固定金利の代表であるフラット35(買取型)の金利と長期金の推移を2021年5月から2021年8月までとったものです。

長期金利の低下と合わせて少しずつ下がる傾向になっています。

 2021年8月住宅ローンの金利予想1(フラット35(買取型)と長期金利)

フラット35の金利は前月の中旬に決まります。

その時点に青い棒グラフのフラット35(買取型)金利を立てています。

今月の機構債発表のタイミングに長期金利がどのあたりになるのか?ピタリと予想することは難しいですが、ここ最近は0.01%で底を打っているようです。

長期金利が今の水準で推移すれば、フラット35の金利は概ね横ばいで推移するでしょう。

なお、民間住宅ローンの30年以上の超長期固定金利については、8月に大きく下げたばかりであるため、ため横ばいと予想しています

20年前後の長期固定金利の動向

主要銀行の20年固定は2か月連続で大きく下がりました。

主要銀行では7月から0.8%台に突入しており、これは史上最低レベルの低金利です。

さらに長期金利がマイナス圏に下がっていけば20年固定も下がる可能性もゼロではありませんが、長期金利がマイナスであった時も20年固定金利は0.8%台が底であったので、さらなる低下は期待できないと見ています。

9月の金利は横ばいで推移すると予想しています。

10年前後の中期固定金利の動向

ここ数年の10年固定金利は概ね下がり続けています。

なお、主要銀行の10年固定金利は2か月連続で横ばいと予想し的中しています。

10年固定金利については、ほとんど下がり代が残っていないという認識に変更はありません。

9月の金利も横ばいと予想しています。

変動金利の動向

変動金利は、長期金利ではなく中央銀行の政策金利に影響を受けます。

政策金利とは、中央銀行が民間銀行に融資するときの金利です。

景気後退時には政策金利を下げ、好景気時には政策金利を上げます。

もちろんコロナ禍で日銀が政策金利を上げる可能性は皆無です。

2021年9月の主要銀行の変動金利は横ばいで推移するでしょう。

まとめ
~予測の困難な環境下では無理のない返済計画を!

米中央銀行は2023年までに2回の利上げを示唆しており、市場関係者の間では近い将来に金利が上がる可能性があると言われています。

しかし、それが真実なのであれば、既に債券価格に反映されて金利は上がっているはずです。

そうなっていないのは、誰にとっても今後の動向は分からないからです。

そもそも金融市場の金利動向は誰にもコントロールできませんし、それによって決まるとされる住宅ローンの金利は債権者である金融機関が決めるものです。

住宅ローンの金利についてはもとから不確定要素が大きいうえにコロナ環境下ということで、さらに予想が困難となっているのが今の状況です。

金利が想定外の動きになったとしてもある程度吸収できる、無理のない資金計画を立て、実行していく必要があります。

住宅ローンの返済計画は無理せず、出来るだけゆとりのあるものにするようにしてください。

自分が組むことのできるギリギリの住宅ローンを組んだ後に収入が下がり、住宅ローンの金利が上がって利息の負担が増加するとなると、まさに泣き面に蜂状態になってしまいます。

複数の金融機関、金利タイプで審査を通しておいてください。

引き続き、日々の金利動向に目を配っておくことをお勧めします。

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