2020年4月までの住宅ローンの金利推移を金利タイプごとに振り返り!今もっともおトクな住宅ローンの金利タイプを毎月更新
執筆者: 千日太郎 (オフィス千日合同会社 代表社員)
こんにちはブロガーの千日太郎です。
ナビナビ住宅ローンでは、金利タイプ別の来月の金利予想を毎月公表しています。
この記事では、前月の予想に対して実績の金利がどうなったかと過去から今までの金利推移を分析し、現時点でのおススメ度を5段階評価で評価します。
この記事を執筆・監修している専門家
ナビナビ住宅ローン編集部
住宅ローンを組む時に抱える「どうやって住宅ローンを選べば良いかが分からない」「金利の違いがよく分からない」「一番お得に借りられるローンはどれなの?」といった疑問・不安を解決できるように解説していきます。
この記事の目次
コロナショックで上がった金利タイプと下がった金利タイプ
3月には新型コロナウイルスの感染拡大リスクで米長期金利が市場初の1%割れとなり、米連邦公開市場委員会(FOMC)は緊急利下げを決定し、事実上のゼロ金利政策に突入しました。
当然に4月の住宅ローンの金利は下がると思われたのですが、ふたを開けると30年超の超長期固定金利は上がり、20年以下の固定金利は横ばい又は下がるという結果になりました。
これはわたしを含め多くの専門家にとっても想定外でしたが、それは新型コロナウイルスの脅威が従来のリスクのレベルをはるかに超えるものだったことが理由です。
金利タイプ別2019年9月~2020年4月の金利推移
では、直近2020年4月までの、住宅ローン金利タイプごとの前月予想の答え合わせとこれまでの金利推移、おススメ度について見ていきましょう。
30年超の超長期固定金利
30年超の超長期固定金利の代表はフラット35です。
住宅金融支援機構の証券化支援事業をもとに民間金融機関と共同で2003年から提供されている住宅ローンであり、民間銀行が金利を決める際にも参考になっています。
セオリー外の動きとなった4月の金利
2019年 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
---|---|---|---|---|
千日予想 | まだ下がる | 下げ止まる or 上がる |
横ばい or 上がる |
上がる |
実績 | 前月比-0.06%下がった 的中!! |
横ばいだった 的中!! |
上がった 的中!! |
上がった 的中!! |
2020年 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 |
千日予想 | 横ばい or 上がる |
横ばい or 上がる |
横ばい or 下がる |
下がる |
実績 | 上がった 的中!! |
上がった 的中!! |
下がった 的中!! |
上がった! |
ここまで7か月連続で的中してきた金利予想が完全に外れました。
新型コロナウイルスのリスクから長期金利が下がり、フラット35の金利も下がると予想したのですが、逆に上がってしまったのです。
詳しい解説は下記記事で行っていますが、大きすぎる脅威を前にして市場がセオリーから外れた動きをすることを想定すべき局面に入ってきているということです。
2020年4月までの推移とおススメ度
下記のグラフのように新型コロナウイルスの感染拡大による不況下にあって、長期金利とフラット35金利は同じ幅で上昇しています。
(注)グラフのフラット35の金利は買取型の最低金利としており、長期金利は住宅金融支援機構が販売する機構債の表面利率の発表日前日の新発10年国債利回りの終値としています。
<2019年度のフラット35(買取型)金利推移>
1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 |
---|---|---|---|---|---|
1.33% | 1.31% | 1.27% | 1.27% | 1.29% | 1.27% |
7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
1.18% | 1.17% | 1.11% | 1.11% | 1.17% | 1.21% |
<2020年度のフラット35(買取型)金利推移>
1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 |
---|---|---|---|---|---|
1.27% | 1.28% | 1.24% | 1.30% | ― | ― |
7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
― | ― | ― | ― | ― | ― |
4月から5月にかけては、感染爆発が起こらないならば横ばいになると予想しています。
最も金利が低かった2019年9月10月よりも上がってしまい、そこから横ばいということでオススメ度は前回の5点満点からポイントダウンし4.5とします。
★★★★★ オススメ度は5点満点で4.5点★★★★★ |
20年固定金利
当初固定金利の20年については、10月を境として徐々に上げる金融機関が増えてきていましたが、新型コロナウイルスの影響で2月から4月にかけては下がってきています。
金利予想に対する実績は8か月連続的中!
金利予想としては下記のように8か月連続で的中しています。
2019年 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
---|---|---|---|---|
千日予想 | 0.8%台まで下がる | 下げ止まる | 横ばい or 上がる |
横ばい or 上がる |
実績 | 0.85%前後まで下がった 的中!! |
横ばい、 一部上げた 的中!! |
横ばい、 一部上げた 的中!! |
上がった 的中!! |
2020年 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 |
千日予想 | 上がる | 横ばい or 上がる |
横ばい or (期待含みで) 下がる |
横ばい or (期待含みで) 下がる |
実績 | 上がった 的中!! |
横ばい 的中!! |
下がった 的中!! |
下がった 的中!! |
ちなみに2020年5月の20年固定は「横ばい」と見ています。
20年固定金利は各金融機関の営業方針によって対応が変わる金利タイプですので金融機関によって違いが出やすい面があります。
詳しくは下記記事を読んでみてくださいね。
2020年4月までの推移とおススメ度
2020年3月には新生銀行など複数の銀行で「住宅ローン控除で借入が多いほどおトクになる」という1%のラインを下回り、さらに4月に下がりました。
(注)グラフのフラット35の金利は買取型の最低金利としており、20年固定金利は7月から金利を下げてきている金融機関の2019年初頭から直近までの金利推移を模式的に表したものとなっています。
3月から4月にかけて、30年超の超長期固定金利は前述のように金利を上げてしまったのに対して、20年固定に力を入れている民間銀行では下がる又は横ばいという結果になりました。
これは嬉しい誤算です。
前回までのオススメ度は横ばいと考えて4.0点でしたが、前月よりも金利を下げ、住宅ローン控除で借入が多いほどお得になる1%を切っている銀行が増えています。
オススメ度は前回の4.0点から5.0点にアップしましょう。
★★★★★ オススメ度は5点満点で5点★★★★★ |
10年前後の中期固定金利
主要銀行の10年固定金利は、これまでおおむね長期金利の動向とシンクロしてきましたが、2月から3月にかけて長期金利が大きく下がった割に10年固定はさほど下がらず、3月から4月にかけては横ばいとなっています。
新型コロナウイルスの影響でもさほど下がらなかった
2019年 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
---|---|---|---|---|
千日予想 | 横ばい | 横ばい | 横ばい | 横ばい or 上がる |
実績 | 横ばい 的中!! |
横ばい上下が混在 的中!! |
横ばい 的中!! |
横ばいと 上昇が混在 的中!! |
2020年 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 |
千日予想 | 横ばい or 上がる |
横ばい | 上がる or (期待含みで) 横ばい |
横ばい 横ばいor(期待含みで)下がる |
実績 | 横ばい 的中!! |
下がった! | 横ばい 的中!! |
横ばい 的中!! |
ちなみに2020年5月の10年固定金利は「横ばい」と予想しています。
詳しくは下記記事を読んでみてくださいね。
2020年4月までの推移とおススメ度
3月から4月にかけてフラット35と20年固定は前述のように正反対の動きになっていますが、10年固定の最低金利については横ばいで推移しました。
(注)グラフのフラット35の金利は買取型の最低金利としており、10年固定金利は過去から低金利で主力商品としている金融機関の2019年初頭から直近までの金利推移を模式的に表したものとなっています。
これまでの主要銀行の住宅ローンは10年固定をメインとして価格競争の様相を呈してきました。
そのため、10年固定は限界まで下がりきっている状態で、これ以上に下げると銀行が最低限の利益を取れない状態になってきます。
3月から4月にかけては、2位以下であった多くのネット銀行やメガバンクが金利を下げており、2020年4月適用の10年固定金利では同率一位で、auじぶん銀行(当初期間引下げプラン)、ソニー銀行、三菱UFJ銀行、三井住友信託銀行の4つが0.55%で横一線に並んでいます。
翌月の予想としては「横ばい」です。
低金利でお得なのは変わらないので、おススメ度は前回の4.5点を維持します。
★★★★★ オススメ度は5点満点で4.5点★★★★★ |
変動金利
これまでネット銀行を中心に変動金利が最低金利を争ってきましたが、2020年1月にはジャパンネット銀行が0.399%と変動金利としては初めて0.4%を切る金利を出して頭一つ抜けました。
そして、2020年4月適用の変動金利では、auじぶん銀行が0.41%(全期間引下げプラン)とし、じぶんでんきとのセット契約で0.03ポイントの引き下げというキャンペーンと合わせて0.38%になり一位となっています。
期間限定のキャンペーンを除きおおむね横ばい
2019年 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
---|---|---|---|---|
千日予想 | 横ばい | 横ばい | 横ばい | 横ばい |
実績 | 横ばい 的中!! |
横ばい 的中!! |
横ばい 的中!! |
横ばい 的中!! |
2020年 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 |
千日予想 | 横ばい | 横ばい | 横ばい | 横ばい |
実績 | 少し下がった | 横ばい 的中!! |
横ばい 的中!! |
少し下がった |
ほぼ下げ代が無いなかで、各行が工夫をこらして金利引き下げをアピールしています。
やはり見た目が一番低いのが変動金利なので広告効果は大きいのですね。
ただ、キャンペーンを利用した期間限定というものが多いように思います。
なお、2020年5月の金利予想は「横ばい」としています。
詳しくは下記記事を読んでみてくださいね。
2020年4月までの推移とおススメ度
住宅ローンの変動金利は銀行間で資金の融通を行うと市中金利に連動し、これは中央銀行(日銀)が民間銀行に融資する政策金利の影響を受けます。
なので、ここでは政策金利の推移を見ておきましょう。
3月には米FRBが緊急利下げを行い実質的なゼロ金利政策を導入しました。
これによって日銀も政策金利を下げるか?と思われましたが、追加利下げはありませんでした。
いずれにせよ、すでにマイナスになっていますので、これ以上下げても効果は期待できないと言われていましたからね。
基本的に現時点では変動金利は上がる要素も下がる要素も無い状態です。オススメ度は前回の4.5点を維持します。
★★★★★ オススメ度は5点満点で4.5点★★★★★ |
まとめ~新型コロナウイルスで低金利は継続している
今後の住宅ローン金利で鍵になるのは言うまでもなく新型コロナウイルスの感染者の動向です。
30年超の固定金利が上がっていますが、ベースとしては低金利です。
オススメ住宅ローンをまとめると以下のようになります。
金利タイプ | オススメ度 | コメント |
---|---|---|
変動金利 | 4.5点 | もともと低金利からさらに低金利になった。 さらにコロナショックによって金利が上がる要素が減っている。 |
30年超の 固定金利 |
4.5点 | フラット35の金利は上がったのでポイントダウン。 しかし歴史的に見れば十分に低金利水準である。 |
20年 固定金利 |
5点 |
フラット35は上がったが、20年固定金利が下がった。 1%未満となっており住宅ローン控除でのうま味が復活している。 |
10年 固定金利 |
4.5点 | コロナショックで低金利に張り付いている。 住宅ローン控除でのメリットは大きいが、13年ある人にとっては11年目から金利が上がるのが難点。 |
ぜひ参考にしてください。