2024年3月までの住宅ローンの金利推移を金利タイプごとに振り返り!今もっともおトクな住宅ローンの金利タイプを毎月更新
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このたびの令和6年能登半島地震で被災された皆様に謹んでお見舞い申し上げます。
1日も早い復旧・復興、そして平穏な日常が戻りますことを心よりお祈りいたします。
こんにちは公認会計士の千日太郎です。イーデスでは、金利タイプ別の来月の金利予想を毎月公表しています。
そして前月の予想に対して実績の金利がどうなったか?また、過去から今月までの金利推移を分析しています。
そして下表は前月と今月のオススメ度を5段階評価で評価したものです。
報道によると3月の日銀政策決定会合でのマイナス金利解除の可能性が高まっていることが、エコノミストはじめ日銀審議委員の発言からもうかがえる状況になっています。
ただしマイナス金利政策の解除後もしばらくは金融緩和政策が続くとの観測から、市場関係者からは利上げに対して冷静に受け止める傾向が見て取れます。
下表は日銀の利上げを踏まえた上での住宅ローンのおススメ度です。
変動金利 | |
---|---|
2月:3.7点 3月:3.7点 | 利上げ後もしばらくは緩和政策が継続されるとの観測から上昇幅は0.1~0.2%程度と予想。 |
30年超の固定金利 | |
(フラット35) 2月:5.0点 3月:5.0点 | 長期金利は上昇し始めたが、子育てプラスの金利引き下げがスタートしており、低金利が期待できる。 |
(民間) 2月:4.5点 3月:4.0点 | 利上げ後もしばらくは緩和政策が継続されるとの観測だが直近3カ月で上昇傾向が見られる。 |
20年固定金利 | |
2月:2.0点 3月:3.0点 | より固定期間の長い30年固定やフラット35の方が低金利だが、特定の銀行グループで低下が始まった。 |
10年前後の中期固定金利 | |
2月:4.5点 3月:3.5点 | 3月か4月の利上げが濃厚となる中で銀行によって対応が大きく分かれ、月によって変動も大きくなっている。 |
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金利タイプ別2024年3月までの金利推移
では、直近2024年3月までの、住宅ローン金利タイプごとの前月予想の答え合わせとこれまでの金利推移、おススメ度について詳しくお話します。
金利タイプごとの金利推移・
おススメ度
30年超の超長期固定金利
30年超の超長期固定金利の代表はフラット35です。
住宅金融支援機構の証券化支援事業をもとに民間金融機関と共同で2003年から提供されている住宅ローンであり、民間銀行が金利を決める際にも参考になっています。
フラット35の金利予想と実績
2023年12月 | 2024年1月 | 2月 | 3月 | |
---|---|---|---|---|
千日予想 | 横ばい又は 下がる | 1.85%前後に下がる | 下がるか 横ばい | 上昇が抑えられる |
実績 | 1.91%に低下 的中!! | 1.87%に低下 | 1.82%に低下 的中!! | 1.84%に小幅な上昇 |
2024年3月のフラット35金利は千日太郎の予想どおり、長期金利の上昇幅0.08ポイントよりも上昇が抑えられ、上昇幅は0.02ポイントで1.84%となりました。
なお今後の詳しい予想については下記2024年4月金利予想の記事を読んでみてください。
2024年3月までの推移とおススメ度
(注)グラフのフラット35の金利は買取型としており、長期金利は住宅金融支援機構が販売する機構債の表面利率の発表日前日の新発10年国債利回りの終値としています。
2023年の前半は黄色のフラット35がオレンジ色の長期金利を大きく上回りましたが、その後政府が子育て世帯に対してフラット35の金利を引き下げる方針(子育てプラス)が公表されると、フラット35金利が再び下がり始め、長期金利との比較でお得な水準となっています。
フラット35子育てプラスは2024年2月13日資金受取分からすでにスタートしています。
そして、2024年2月から3月にかけては、日銀の利上げを織り込んで長期金利が上昇したのですが、フラット35の金利上昇は抑えられています。
マイナス金利政策の解除後もしばらくは金融緩和政策が続くとの観測に加え、子育てプラスの恩恵からフラット35は依然として有利であるため、お勧め度はMAXの5を維持しています。
フラット35のオススメ度
5.0点満点の5.0点(先月:5.0点)
民間住宅ローンの超長期固定金利については、みずほ銀行、りそな銀行、三菱UFJ銀行というメガバンクが参入しています。
1月から3月にかけてはこれら主要銀行で対応が分かれています。
1月から2月にかけては、三菱UFJ銀行が金利を下げる中で、みずほ銀行、りそな銀行が金利を上げました。そして2月から3月にかけては、逆に三菱UFJ銀行が金利を上げ、みずほ銀行、りそな銀行が金利を下げています。
1月から3月では押しなべて若干の金利上昇となっており、日銀による利上げを織り込んで上昇傾向に入ったようですね。
民間の超長期固定金利はフラット35と比較して子育てプラスを鑑みると少し高いうえ、直近3カ月で上昇傾向に入ったため、前月よりもお勧め度を下げて4.0としました。
民間住宅ローンの超長期固定金利のオススメ度
5.0点満点の4.0点(先月:4.5点)
20年固定金利
米国のインフレ抑制のための利上げを契機として、主要銀行の20年固定金利の適用金利は軒並み1%を超え、主要銀行で主力商品からも外れる傾向が続いていました。
20年固定の金利予想と実績
2023年12月 | 2024年1月 | 2月 | 3月 | |
---|---|---|---|---|
千日予想 | 上がる銀行と 下がる銀行 | 下がる | 若干の低下又は | 上昇が抑えられる |
実績 | 下がった | 下がった! 的中!! | 上がった | SBIが下げた |
2月から3月にかけては、住信SBIネット銀行が大幅に金利を下げており、同じSBIグループのSBI新生銀行も横ばいで低金利を維持しています。
SBIグループ子会社で20年固定が低下し始めています。
今後の予想については、下記2024年4月金利予想の記事を読んでみてください。
2024年3月までの推移とおススメ度
(注)グラフのフラット35の金利は買取型としており、20年固定金利は低金利を出している金融機関の金利で直近までの金利推移を模式的に表したものとなっています。
20年固定金利は一時35年全期間固定のフラット35(買取型)よりも高い金利にまで上がっていました。
その後は下がったものの再び上昇し、2023年11月には全期間固定のフラット35と同水準まで上がってきていました。
そして2024年に入ってからは徐々に下がり、2024年2月から3月にかけては、フラット35が上昇したのに住信SBIネット銀行の20年固定が下がるという結果になっています。
今のところ20年固定を下げているのはSBIグループのみとなっており、主要銀行としては住信SBIネット銀行とSBI新生銀行ですが、今後は他の銀行にも波及してくる可能性があります。
現時点では子育てプラスの金利引き下げを利用したフラット35の方が低金利ですが、子育て世帯にあたらない人にとって低金利で長期間固定できる住宅ローンとしてメリットが出てきたので前月よりもお勧め度を上げて3.0としました。
20年固定金利のオススメ度
- 5.0満点の3.0点(先月:2.0点)
10年前後の中期固定金利
主要銀行の10年固定金利は昨年の日銀政策決定会合でYCC政策の修正が行われてから上昇傾向となっていますが、各行が主力商品としていることもあり、長期の固定金利タイプと比べて上昇は抑えられる傾向があります。
1月から2月にかけては下げる銀行と上げる銀行に分かれています。
10年固定金利の金利予想と実績
2023年12月 | 2024年1月 | 2月 | 3月 | |
---|---|---|---|---|
千日予想 | 下がる | 下がる | 下がる | 上がるが抑えられる |
実績 | 三菱UFJを除き、下がった ほぼ的中!! | 下がった! 的中!! | 下げた銀行(三菱UFJ)と上げた銀行 | 上げた銀行(三菱UFJ)と下げた銀行 |
昨年の11月から12月にかけては長期金利の低下を反映してほとんどの銀行が10年固定金利を下げたのですが、三菱UFJ銀行が上昇させました。
そして今年の1月から2月にかけては主要銀行が金利を上げる中で三菱UFJ銀行が金利を下げ、2月から3月にかけては逆に主要銀行が金利を下げる中で三菱UFJ銀行が金利を上げています。
2024年3月までの推移とおススメ度
(注)グラフは過去から10年固定金利を主力商品としている金融機関の直近までの最低金利の推移を模式的に表したものとなっています。
10年固定金利は日銀総裁が植田氏に決まった2023年2月から金融政策の正常化が意識され始めると徐々に上昇傾向となっています。
そして2024年に入ってからは3月か4月の日銀会合でのマイナス金利政策解除を予想するエコノミストが大半となっており、これを反映して10年固定金利も上昇してきました。
金利の動向としては各銀行の足並みが揃わず、1月から3月までは金利を上げる銀行、下げる銀行が入り乱れながら、全体としては上昇している状況となっています。
こ最近の10年固定金利は月によって大きく変動しており、日銀の利上げに対しても敏感に反応して上がるリスクがあるため、前月よりもお勧め度を下げて3.5とします。
10年固定の一本だけで審査を通すのは危険です。後述する変動金利やフラット35でも審査を通しておく必要があります。
10年固定金利のオススメ度
5.0点満点の3.5点(先月:4.5点)
変動金利
各行が名目上の最低金利を競っているような状態ですが、変動金利についてはどの銀行も僅差です。
変動金利はおおむね横ばい
2023年12月 | 2024年1月 | 2月 | 3月 | |
---|---|---|---|---|
千日予想 | 横ばい | 横ばい | 横ばい | 横ばい |
実績 | 横ばい、 一部に条件付きで下げる銀行 ほぼ的中!! | 横ばい 的中!! | 横ばい 的中!! | 横ばい 的中!! |
変動金利は概ね横ばいの水準ですが、ジリジリと下げながら推移しています。住宅ローン利用者を変動金利に集めようとする思惑がちらついていますね。
特に昨年の後半には2024年の日銀の利上げが意識されると、主にネット銀行を中心として変動金利を下げる銀行が増えました。
近い将来に変動金利を上げられる見込みが高くなってきたからこそ、あらかじめ金利を下げられるという側面もあるのです。
しかし2024年に入ってからは、3月か4月の日銀政策決定会合でマイナス金利政策の解除が強く意識されながらも、しばらくは金融緩和政策が続くとの観測が強まってきました。
これによって民間銀行としては、低金利な変動金利に利用者を集めたところで、当初狙っていたほどの儲けは得られそうにないと考え始めているようです。
詳しくは、下記2024年4月金利予想の記事を読んでみてください。
リーマンショックから今までの推移とおススメ度
変動金利は銀行間で資金の融通を行うと市中金利に連動し、これは中央銀行(日銀)が民間銀行に融資する政策金利の影響を受けると言われます。
リーマンショックから直近までの日米の政策金利の動向をグラフにしました。
リーマンショックのときには、日米ともに政策金利を引き下げています(ゼロ金利政策)。その後米国では2016年あたりから順次引き上げられていきました。
2020年のコロナショックで0.25%まで下げましたが2022年3月からはインフレ抑制のため大幅利上げを断行して2024年3月現在では政策金利は5.5%、およそ22年ぶりの高水準となっています。
そして2024年中には利下げへ転換することが予想されています。
日本では政策金利を上げることなく金融緩和政策が続いてきましたが、植田氏が日銀総裁に就任してからは、大規模緩和政策の正常化と利上げが意識されるようになっています。
2024年3月又は4月の日銀会合で利上げが行われると予想していますが、利上げ後も金融緩和政策は継続される見込みであり、変動金利が上がったとしても0.1%~0.2%程度の小幅な上昇と予想しており、お勧め度は前月の3.7を維持します。
変動金利のオススメ度
5.0点満点の3.7点(先月:3.7点)
まとめ:日銀の利上げを熱望する民間銀行
3月18日から19日の日銀会合ではマイナス金利政策を解除するかどうかが最大の焦点で、世界からも注目が集まっています。
日銀の植田総裁は12日の参院財政金融委員会で、「今週、追加的なデータや情報が入ってくると思う。総合的に判断、点検し、適切な判断をくだしていきたい」と述べたことが報じられています。
これは春闘の第一回の大企業からの賃上げ回答を念頭においた発言でしょう。
「賃金と物価の好循環」が十分に見られれば、マイナス金利政策の解除もあるということです。
今回の日銀の利上げはインフレ抑制のためにドンドン金利を上げていく欧米型の金融引き締めではなく、マイナス金利という異常な緩和政策を正常化し、緩和的でありながらも「金利のある世界」に戻すことが主眼です。
変動金利で借りている人の金利が短期的にドンドン上がるということは無いので安心してよいのですが、住宅ローンは35年の長期にわたるものです。
変動金利を選ぶということは、金利が上がるたびに、毎月の返済にいくら影響するか?そして総額ではいくら増えるのか?というチェックをその都度行うことが必要になってきます。それが「金利のある世界」に変動金利で住宅ローンを返していくということなのです。
▼各金融機関の金利タイプごとの金利増減は、下記記事で紹介しています。
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