2020年1月までの住宅ローンの金利推移を金利タイプごとに振り返り!今もっともおトクな住宅ローンの金利タイプを毎月更新
執筆者: 千日太郎 (オフィス千日合同会社 代表社員)
こんにちはブロガーの千日太郎です。
ナビナビ住宅ローンでは、金利タイプ別の来月の金利予想を毎月公表しています。
この記事では、前月の予想に対して実績の金利がどうなったかと過去から今までの金利推移を分析し、現時点でのおススメ度を5段階評価で評価します。
※当記事の金利や情報は2020年1月時点のものを記載しております。最新の金利情報は、必ず金融機関の公式サイトをご確認下さい。
この記事を執筆・監修している専門家
ナビナビ住宅ローン編集部
住宅ローンを組む時に抱える「どうやって住宅ローンを選べば良いかが分からない」「金利の違いがよく分からない」「一番お得に借りられるローンはどれなの?」といった疑問・不安を解決できるように解説していきます。
この記事の目次
2020年1月までの予想に対する実績と金利推移
住宅ローンの金利は、そのときどきの金融情勢が強く影響しますが、加えて銀行の営業方針によっても変わります。
例えば固定金利は、金融市場の金利の低下傾向を反映して7月~10月まで低金利を更新しつづけてきたのですが、11月からは米中貿易協議の進展期待から上昇に転じ2020年1月にはさらに上がりました。
これに対して変動金利の方は、2020年1月にはジャパンネット銀行が変動金利としては初の0.3%台に突入し、それに対抗して他のネット銀行もキャンペーン金利を展開し始めました。
つまり、金利タイプによって真逆の方向に動いているのですね!
金融機関にとっての住宅ローンの金利が商品の価格のようなものであるとするなら、その原価は金融マーケットの長期金利です。
よって原価が売り値に影響するのは道理ですが、売りたい商品については、あえて価格を下げることがあることもまた道理です。
金利タイプ別2019年9月~2020年1月の金利推移
では、直近2020年1月までの、住宅ローン金利タイプごとの前月予想の答え合わせとこれまでの金利推移、おススメ度について見ていきましょう。
変動金利
まずは2020年1月に大きな動きがあった変動金利からです。
これまでネット銀行を中心に変動金利が最低金利を争ってきましたが、2020年1月にはジャパンネット銀行が0.399%と変動金利としては初めて0.4%を切る金利を出して頭一つ抜けました。
横ばいとの金利予想は外れて下がった!
2019年 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
---|---|---|---|---|
千日予想 | まだ下がる | 下げ止まる or 上がる |
横ばい or 上がる |
上がる |
実績 | 前月比-0.06%下がった 的中!! |
横ばいだった 的中!! |
上がった 的中!! |
上がった 的中!! |
2020年 | 1月 | ― | ― | ― |
千日予想 | 横ばい | ― | ― | ― |
実績 | 下がった! | ― | ― | ― |
変動金利以外は連続で的中してきましたが、今月は初めて外しました。
これは言い訳ですが、下がったとはいっても0.01%台の微妙な下げ幅であって、実質的には横ばいといっても差支えないと思います。
ちなみに2020年2月の金利予想は「横ばい」と見ています。
2020年1月までの推移とおススメ度
住宅ローンの変動金利は銀行間で資金の融通を行うと市中金利に連動し、これは中央銀行(日銀)が民間銀行に融資する政策金利の影響を受けます。
なので、ここでは政策金利の推移を見ておきましょう。
2019年7月にFRB(米連邦準備制度理事会)が10年半ぶりに政策金利を0.25%下げ、9月10月には刻むように0.25%ずつ下げ、2020年1月現在では1.75%で止まっています。
これに対して日本の政策金利は2016年1月の-0.1%から今までずっと変わっていません。
そのため、今回変動金利が下がったのは3月末のかき入れ時に向けて、多くの住宅ローン利用者を取り込むことが狙いです。
今年の需要期が過ぎたらまた上がる可能性は高いです。
低金利が続いているのはずっと同じなのですが、これまで金利の引き下げ競争は主に10年固定で行われてきました。
それが変動金利に変わったということは、ちょっと悪い予感がするのです。
- 10年固定:10年間は金利が変わらない
- 変動金利:6か月ごと(又は毎月)見直し
つまり銀行にとって、変動金利の方は金利をすぐに上げることが出来る金利タイプです。
そして、政策金利が上がれば全ての銀行が金利を上げる大義名分を得ます。
もしかしたら、銀行は利上げ時期(日銀が政策金利を上げる時期)が近くなってきていると考え始めているのかもしれません。
今も10年固定で低金利を競っていますが、それは「今後10年は政策金利が上がることは無さそうだ」と銀行が考えているからだとも考えられます。
今後10年固定金利が上がっていき、逆に変動金利が下がっていくという傾向になってきたとしたら、いよいよ利上げの時期が近いという事かもしれません。
なので、住宅ローンの金利が下がること自体は嬉しいことなのですが、100%嬉しい!とは思えないんですよね。
もちろん、その通りになるとは限りません。
今のところは「銀行内部の人が利上げ時期を近いと予想して、それに向けて動きはじめているんじゃないか?」と千日個人が推理しているという段階です。
★★★★ オススメ度は5点満点の「4点」といったところでしょう。 ★★★★ |
30年超の超長期固定金利
30年超の超長期固定金利の代表はフラット35です。
住宅金融支援機構の証券化支援事業をもとに民間金融機関と共同で2003年から提供されている住宅ローンであり、民間銀行が金利を決める際にも参考になっています。
金利予想に対する実績は5か月連続的中!
2019年 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
---|---|---|---|---|
千日予想 | まだ下がる | 下げ止まる or 上がる |
横ばい or 上がる |
上がる |
実績 | 前月比-0.06%下がった 的中!! |
横ばいだった 的中!! |
上がった 的中!! |
上がった 的中!! |
2020年 | 1月 | ― | ― | ― |
千日予想 | 横ばい | ― | ― | ― |
実績 | 上がった 的中!! |
― | ― | ― |
金利予想としては、5か月連続で的中しています。
ちなみに2020年2月の30年超の金利は「横ばいor上がる」と予想しています。
2020年1月までの推移とおススメ度
フラット35は、もともと金融市場の長期金利が低いため低金利で推移していたのですが、2019年10月から上昇しはじめ、2020年1月にはさらに上がり2019年前半のレベルに戻ってきています。
(注)グラフのフラット35の金利は買取型の最低金利としており、長期金利は住宅金融支援機構が販売する機構債の表面利率の発表日前日の新発10年国債利回りの終値としています。
<2019年度のフラット35(買取型)金利推移>
1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 |
---|---|---|---|---|---|
1.33% | 1.31% | 1.27% | 1.27% | 1.29% | 1.27% |
7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
1.18% | 1.17% | 1.11% | 1.11% | 1.17% | 1.21% |
<2020年度のフラット35(買取型)金利推移>
1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 |
---|---|---|---|---|---|
1.27% | ― | ― | ― | ― | ― |
7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
― | ― | ― | ― | ― | ― |
上がったとはいうものの、長期金利のマイナスを反映した超低金利であることに変わりはありません。
さらに長期金利の上昇との比較ではフラット35の金利上昇はかなり抑えられています。
こちらは、金利が上昇し始めた2019年10月から直近2020年1月までの長期金利とフラット35金利の上がり幅を比較した表です。
2019年10月 | 2020年1月 | 上昇幅 | |
---|---|---|---|
長期金利 | -0.22% | -0.01% | +0.21% |
フラット35 | 1.11% | 1.27% | +0.16% |
長期金利の上昇+0.21%に対して、フラット35は+0.16%しか上がっていないということは、0.05%上昇が抑えられているということです。
これは公的融資であるフラット35ならではのメリットですね。
★★★★★ オススメ度は5点満点で「5点」です! ★★★★★ |
20年固定金利
当初固定金利の20年については、10月を境として徐々に上げる金融機関が増えてきています。
金利予想に対する実績は5か月連続的中!
2019年 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
---|---|---|---|---|
千日予想 | 0.8%台まで下がる | 下げ止まる | 横ばい or 上がる |
横ばい or 上がる |
実績 | 0.85%前後まで下がった 的中!! |
横ばい、一部上げた 的中!! |
横ばい、一部上げた 的中!! |
上がった 的中!! |
2020年 | 1月 | ― | ― | ― |
千日予想 | 上がる | ― | ― | ― |
実績 | 上がった 的中!! |
― | ― | ― |
金利予想としては上記のように、5か月連続で的中しています。
ちなみに2020年2月の20年固定は「横ばいor上がる」と見ています。
20年固定金利は各金融機関の営業方針によって対応が変わる金利タイプです。
2020年1月までの推移とおススメ度
米利下げの影響から2019年7月を境として金利が下がったのですが、その後米中貿易協議の進展期待から金利が上がったことに伴って20年固定金利も上がりました。
2020年1月には大半の銀行で「住宅ローン控除で借入が多いほどおトクになる」という1%のラインを超えてきています。
(注)グラフのフラット35の金利は買取型の最低金利としており、20年固定金利は7月から金利を下げてきている金融機関の2019年初頭から直近までの金利推移を模式的に表したものとなっています。
今のところは1%を辛うじて下回っているのですが、フラット35でも「S」などで当初期間の金利引き下げが受けられ、それでも1%を下回るケースがあることを鑑みると、あえて20年固定を選ぶべき人の範囲は限られてきます。
フラット35Sならば、当初期間の後もずっと固定金利ですが、20年固定ですと21年目からは変動金利となるからです。
そのため「20年で確実に完済し老後資金もちゃんと残せる!」という人にはお勧めできますが、「もしかしたら21年目以降も返済が続くかも…?」という人にはお勧めしにくくなりました。
★★★★★ オススメ度は前回の4点から「3.5点」に下げましょう★★★★★ |
10年前後の中期固定金利
主要銀行の住宅ローンは10年固定をメインとして価格競争となってきたのですが、既に下がりきって、今はあまり動きの無い状況です。
変動金利に近い低金利の水準で10年間金利が固定されるので人気の金利タイプですね。
金利予想に対する実績は5か月連続的中!
2019年 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
---|---|---|---|---|
千日予想 | 横ばい | 横ばい | 横ばい | 横ばい or 上がる |
実績 | 横ばい 的中!! |
横ばい上下が混在 的中!! |
横ばい 的中!! |
横ばいと 上昇が混在 的中!! |
2020年 | 1月 | ― | ― | ― |
千日予想 | 横ばい or 上がる |
― | ― | ― |
実績 | 横ばい 的中!! |
― | ― | ― |
金利予想としては、これも5か月連続の的中となりました。
ちなみに2020年2月の10年固定の金利も「横ばい」と予想しています。
2019年12月までの推移とおススメ度
長期金利と連動するフラット35の金利は11月を境として上がってきており、20年固定もつられて上がっているのですが、10年固定については基本的に横ばいで推移しています。
(注)グラフのフラット35の金利は買取型の最低金利としており、10年固定金利は過去から低金利で主力商品としている金融機関の2019年初頭から直近までの金利推移を模式的に表したものとなっています。
10年固定で低金利競争している銀行では、横ばいにしているところが多いです。
最近では、この後に解説する変動金利が下がる傾向にありますが、変動金利は6か月ごと(又は毎月)金利を見直すのに対して、10年固定は文字通り10年間金利が固定されます。
今のように世界情勢が不安定で金利動向を読みにくいタイミングでは、10年であっても金利を低く据え置いてくれる10年固定金利型のメリットは上がってきています。
★★★★ おススメ度は前回の4.2点から上昇し、「4.5点」とします。 ★★★★ |
まとめ~低金利で狭いレンジでの上昇局面
住宅ローンの金利は金融市場の金利の影響を受けます。
昨年から引き続き2020年1月は金利上昇局面ではありますが、例によって低金利の狭いレンジでの上昇にとどまっています。
オススメ住宅ローンをまとめると以下のようになります。
金利タイプ | オススメ度 | コメント |
---|---|---|
変動金利 | 4点 | もともと低金利からさらに低金利になった。これが近い将来の上昇を示唆するか?また、下がり幅としては微妙。 |
30年超の固定金利 | 5点 | 長期金利が上がったことでフラット35の金利も上がっている。ただしここ1年の中でも十分に低金利の水準である。 |
20年固定金利 | 3.5点 | ここ最近の長期金利上昇局面で金利を上げる銀行が多数派。1%超となっており住宅ローン控除でのうま味が減っている。4点から3.5点に減点。 |
10年固定金利 | 4.5点 | 変動金利が下がったことで、むしろ近い将来の上昇兆候が見えてきている。10年は低金利を維持できるメリットが相対的に上がった。4.2点から4.5点に加点。 |