2020年5月までの住宅ローンの金利推移を金利タイプごとに振り返り!今もっともおトクな住宅ローンの金利タイプを毎月更新
執筆者: 千日太郎 (オフィス千日合同会社 代表社員)
こんにちはブロガーの千日太郎です。
ナビナビ住宅ローンでは、金利タイプ別の来月の金利予想を毎月公表しています。
この記事では、前月の予想に対して実績の金利がどうなったかと過去から今までの金利推移を分析し、現時点でのおススメ度を5段階評価で評価します。
この記事を執筆・監修している専門家
ナビナビ住宅ローン編集部
住宅ローンを組む時に抱える「どうやって住宅ローンを選べば良いかが分からない」「金利の違いがよく分からない」「一番お得に借りられるローンはどれなの?」といった疑問・不安を解決できるように解説していきます。
この記事の目次
新型コロナウイルス感染拡大が住宅ローンの金利にもたらした影響
新型ウイルスのリスクが特に大きく意識され始めたのが2020年3月半ばからでした。
米長期金利が市場初の1%割れとなり、米連邦公開市場委員会(FOMC)は緊急利下げを決定し、事実上のゼロ金利政策に突入しました。
これに対して、日本の長期金利は逆に上昇するという異常な事態となりました。
通常はリスクが意識されると安全資産である日本国債が買われ、債券価格が上がり、長期金利は下がります。
しかし、リスクがあまりに強く意識されて債券さえも売却して現金化する動きが主流となったため、債券価格が下がり、長期金利が上がったのです。
「コロナショック」という言葉はもう見慣れたものになりましたが、住宅ローンにおけるコロナショックは景気後退局面でも金利が上がってしまったことですね。
その後、新型コロナウイルスの感染拡大ペースが落ち着いてくるに従い、債券を現金化する傾向はおさまってきており、各国では経済活動を再開する動きが出始めています。
金利タイプ別2019年9月~2020年5月の金利推移
では、直近2020年5月までの、住宅ローン金利タイプごとの前月予想の答え合わせとこれまでの金利推移、おススメ度について見ていきましょう。
30年超の超長期固定金利
30年超の超長期固定金利の代表はフラット35です。
住宅金融支援機構の証券化支援事業をもとに民間金融機関と共同で2003年から提供されている住宅ローンであり、民間銀行が金利を決める際にも参考になっています。
セオリー外の動きとなった4月5月の金利
2020年 | 1月 | 2月 | 3月 コロナショック |
4月 |
---|---|---|---|---|
千日予想 | 横ばい or 上がる |
横ばい or 上がる |
横ばい or 下がる |
下がる |
実績 | 上がった 的中!! |
上がった 的中!! |
下がった 的中!! |
上がった! |
2020年 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 |
千日予想 | 横ばい | 横ばい | ||
実績 | 横ばい 的中!! |
4月にはコロナショックによって長期金利もフラット35金利も下がると予想したのですが、冒頭に述べたような異常事態によって長期金利が高騰し、逆に長期金利が上昇し、フラット35金利も上昇しました。
5月には長期金利は若干下がっていたので従来のセオリーとしてはフラット35金利も若干下がるはずでした。
しかし、住宅金融支援機構があえてフラット35の金利を横ばいとするイレギュラーな対応を行っています。
結果として予想は的中したのですが、このようなイレギュラーな動きを予想したものではありません。
6月はコロナショック後の推移を分析した結果、横ばいと予想しています。
詳しくは下記記事を読んでみてくださいね。
2020年5月までの推移とおススメ度
下記のグラフのように長期金利とフラット35金利はコロナショックの前後で変わらず、おおむね一定した金利差で推移しています。
(注)グラフのフラット35の金利は買取型の最低金利としており、長期金利は住宅金融支援機構が販売する機構債の表面利率の発表日前日の新発10年国債利回りの終値としています。
<2019年度のフラット35(買取型)金利推移>
1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 |
---|---|---|---|---|---|
1.33% | 1.31% | 1.27% | 1.27% | 1.29% | 1.27% |
7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
1.18% | 1.17% | 1.11% | 1.11% | 1.17% | 1.21% |
<2020年度のフラット35(買取型)金利推移>
1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 |
---|---|---|---|---|---|
1.27% | 1.28% | 1.24% | 1.30% | 1.30% | ― |
7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
― | ― | ― | ― | ― | ― |
5月から6月にかけては、横ばいと予想しています。
最も金利が低かった2019年9月10月よりも上がってしまい、そこから横ばいなので、最近の動向からすると少し割高感があるのは否めません。
しかし、2003年からスタートしているフラット35の金利推移からすると、現在の金利は最低水準であることに変わりはありません。
オススメ度は基本的に高く4.5とします。
★★★★★ オススメ度は5点満点で4.5点★★★★★ |
20年固定金利
当初固定金利の20年については、新型コロナウイルスの影響で2月から4月にかけて下がってきていました。
しかし4月から5月にかけては若干の上昇となっています。
金利予想に対する実績は連続的中!
金利予想としては下記のように連続で的中しています。
2020年 | 1月 | 2月 | 3月 コロナショック |
4月 |
---|---|---|---|---|
千日予想 | 上がる | 横ばい or 上がる |
横ばい or (期待含みで) 下がる |
横ばい or (期待含みで) 下がる |
実績 | 上がった 的中!! |
横ばい 的中!! |
下がった 的中!! |
下がった 的中!! |
2020年 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 |
千日予想 | 横ばい | 横ばい or 上がる |
||
実績 | 横ばい or 上がった 的中!! |
4月から5月にかけては金利を横ばいとした銀行と若干上げた銀行が混在していました。
金融マーケットの長期金利は若干低下していましたので、セオリーから外れた動きになっています。
2020年6月の20年固定は「横ばいor上がる」と見ています。
20年固定金利は各金融機関の営業方針でコロコロ変わる金利タイプですので下がるタイミングを読むのが難しい面があります。
詳しくは下記記事を読んでみてくださいね。
2020年5月までの推移とおススメ度
コロナショックの3月には複数の銀行で「住宅ローン控除で借入が多いほどおトクになる」という1%のラインを下回りましたが、5月にはいくつかの銀行が金利を上げてきています。
(注)グラフのフラット35の金利は買取型の最低金利としており、20年固定金利は7月から金利を下げてきている金融機関の2019年初頭から直近までの金利推移を模式的に表したものとなっています。
4月から5月にかけて、30年超の超長期固定金利は横ばいであったのに対して、20年固定に力を入れている民間銀行では横ばいor上がるという結果になりました。
前回までのオススメ度は3月から4月にかけての低下傾向を評価し、これからも下がるという期待を込めて5.0点満点としていました。
しかし、このように上昇傾向となると住宅ローン控除で借入が多いほどお得になる1%を超えてしまう危険性があります。
オススメ度は前回の5.0点から4.0点にダウンさせることにします。
★★★★ オススメ度は5点満点で4点(前回よりダウン)★★★★ |
10年前後の中期固定金利
主要銀行の10年固定金利は、これまでおおむね長期金利の動向とシンクロしてきました。
しかし、最近のトレンドとしてはコロナショック前の2月に長期金利が大きく下がっても10年固定はさほど下がらず、コロナショック後の4月、5月にかけてもおおむね横ばいで推移しています。
新型コロナウイルスの影響でもさほど下がらなかった
2020年 | 1月 | 2月 | 3月 コロナショック |
4月 |
---|---|---|---|---|
千日予想 | 横ばい or 上がる |
横ばい | 上がる or (期待含みで) 横ばい |
横ばい or (期待含みで) 下がる |
実績 | 横ばい 的中!! |
下がった! | 横ばい 的中!! |
横ばい 的中!! |
2020年 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 |
千日予想 | 横ばい | 横ばい or 上がる |
||
実績 | 横ばい or 上がった 的中!! |
ちなみに2020年6月の10年固定金利は「横ばいor上がる」と予想しています。
詳しくは下記記事を読んでみてくださいね。
2020年5月までの推移とおススメ度
フラット35と20年固定は前述のようにある程度の動きが見られますが、10年固定の最低金利については横ばいで推移しています。
(注)グラフのフラット35の金利は買取型の最低金利としており、10年固定金利は過去から低金利で主力商品としている金融機関の2019年初頭から直近までの金利推移を模式的に表したものとなっています。
これまでの主要銀行の住宅ローンは10年固定をメインとして価格競争の様相を呈してきました。
そのため、10年固定は限界まで下がりきっている状態で、これ以上に下げると銀行が最低限の利益を取れない状態になってきます。
3月から4月にかけては、2位以下であった多くのネット銀行やメガバンクが金利を下げており2020年4月適用金利では同率一位で、auじぶん銀行(当初期間引下げプラン/10年固定金利)、ソニー銀行、三菱UFJ銀行、三井住友信託銀行の4つが0.55%で横一線に並んでいます。
4月から5月にかけては三菱UFJ銀行、三井住友信託銀行などのリアル銀行が金利を上げていますが、ネット銀行は依然として横ばいとなっています。
低金利でお得なのは変わらないので、おススメ度は前回の4.5点を維持します。
変動金利
2020年1月にはジャパンネット銀行が0.399%と変動金利としては初めて0.4%を切る金利を出して頭一つ抜けました。
そして、2020年4月適用金利ではauじぶん銀行が0.41%(全期間引下げプラン/変動金利)とし、じぶんでんきとのセット契約で0.03ポイントの引き下げというキャンペーンと合わせて0.38%になり一位となっています。
そして5月は各行横ばいを維持し、今に至ります。
期間限定のキャンペーンを除きおおむね横ばい
2020年 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 |
---|---|---|---|---|
千日予想 | 横ばい | 横ばい | 横ばい | 横ばい |
実績 | 少し下がった | 横ばい 的中!! |
横ばい 的中!! |
少し下がった |
2020年 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 |
千日予想 | 横ばい | 横ばい | ||
実績 | 横ばい 的中!! |
ほぼ下げ代が無いなかで、各行が工夫をこらして金利引き下げをアピールしています。
やはり見た目が一番低いのが変動金利なので広告効果は大きいのですね。
ただ、キャンペーンを利用した期間限定というものが多いように思います。
なお、2020年6月の金利予想は「横ばい」としています。
詳しくは下記記事を読んでみてくださいね。
2020年4月までの推移とおススメ度
住宅ローンの変動金利は銀行間で資金の融通を行うと市中金利に連動し、これは中央銀行(日銀)が民間銀行に融資する政策金利の影響を受けます。
なので、ここでは政策金利の推移を見ておきましょう。
3月には米FRBが緊急利下げを行い実質的なゼロ金利政策を導入しました。
これによって日銀も政策金利を下げるか?と思われましたが、追加利下げはありませんでした。
いずれにせよ、すでにマイナスになっていますので、これ以上下げても効果は期待できないと言われていましたからね。
基本的に現時点では変動金利は上がる要素も下がる要素も無い状態です。
オススメ度は前回の4.5点を維持します。
★★★★★ オススメ度は5点満点で4.5点★★★★★ |
まとめ~経済活動再開がどう影響するか?
新型コロナウイルスの感染拡大が落ち着いてきており、各国(アメリカヨーロッパ)が経済活動の再開を模索し始めています。
日本も世界と足並みをそろえざるを得ないので、それが国内の感染拡大につながるのではないか?というリスクをはらんでいます。
自粛が解除されてくると、これまでテレワークで動きの鈍かったマーケットの活動が活発となり、大きな動きをするようになる可能性もありますので、引き続き金利の動向に目を配っておくべきですね。
オススメ住宅ローンをまとめると以下のようになります。
20年固定金利は1%を超えるかも?という心配がありますが、それを除けば全体的にお勧め度は高いです。
金利タイプ | オススメ度 | コメント |
---|---|---|
変動金利 | 4.5点 | もともと低金利からさらに低金利になった。 さらにコロナショックによって短期的に金利が上がる要素は減っている。 |
30年超の 固定金利 |
4.5点 | フラット35の金利は上がったのでポイントダウン。 しかし歴史的に見れば十分に低金利水準である。 |
20年 固定金利 |
4点 | フラット35は横ばいであるが、20年固定金利は一部を除き上昇傾向にある。 1%を超えてしまうと住宅ローン控除のメリットは反転してしまう。 |
10年 固定金利 |
4.5点 | コロナショック前後で変わらず低金利に張り付いている。 |
ぜひ参考にしてください。