2020年8月までの住宅ローンの金利推移を金利タイプごとに振り返り!今もっともおトクな住宅ローンの金利タイプを毎月更新
執筆者: 千日太郎 (オフィス千日合同会社 代表社員)
こんにちはブロガーの千日太郎です。
ナビナビ住宅ローンでは、金利タイプ別の来月の金利予想を毎月公表しています。
この記事では、前月の予想に対して実績の金利がどうなったかと過去から今までの金利推移を分析し、現時点でのおススメ度を5段階評価で評価します。
この記事を執筆・監修している専門家
ナビナビ住宅ローン編集部
住宅ローンを組む時に抱える「どうやって住宅ローンを選べば良いかが分からない」「金利の違いがよく分からない」「一番お得に借りられるローンはどれなの?」といった疑問・不安を解決できるように解説していきます。
この記事の目次
コロナ後にお得な金利タイプとは?
金融マーケットの長期金利はコロナショックで一時的に高騰ましたがすぐに沈静化し、7月の後半からの長期金利は0%を少し超えたくらいの横ばいで推移しています。
横ばいで推移している長期金利の水準はコロナ前と同じくらいで、景気は確実にコロナ前よりも悪くなっているのですから、アフターコロナの長期金利は相対的に割高な金利になっていると言えます。
ただし、住宅ローンの金利タイプの中には金利を下げているものもあります。
このブログでは金利タイプごとにコロナ前後の動向を分析し、お得な金利タイプをあぶり出します。
金利タイプ別2020年1月~2020年8月の金利推移
では、直近2020年8月までの、住宅ローン金利タイプごとの前月予想の答え合わせとこれまでの金利推移、おススメ度について見ていきましょう。
30年超の超長期固定金利
30年超の超長期固定金利の代表はフラット35です。
住宅金融支援機構の証券化支援事業をもとに民間金融機関と共同で2003年から提供されている住宅ローンであり、民間銀行が金利を決める際にも参考になっています。
コロナショック後はおおむね横ばいで推移
2020年 | 1月 | 2月 | 3月 コロナショック |
4月 |
---|---|---|---|---|
千日予想 | 横ばい or 上がる |
横ばい or 上がる |
横ばい or 下がる |
下がる |
実績 | 上がった 的中!! |
上がった 的中!! |
下がった 的中!! |
上がった! |
2020年 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 |
千日予想 | 横ばい | 横ばい | 横ばい | 横ばい |
実績 | 横ばい 的中!! |
0.01下がった ほぼ的中 |
0.01上がった ほぼ的中 |
0.01上がった ほぼ的中 |
4月にはコロナショックの異常事態によって長期金利が乱高下して、一時的にフラット35金利も上昇しましたが、その後5月~8月の長期金利は平常化し、フラット35(買取型)の金利は1.3%前後の横ばいで推移しています。
金利予想としては8月までほぼ横ばいという予想が4か月連続で的中していますが、9月も横ばいと予想しています。
詳しくは下記記事を読んでみてくださいね。
2020年8月までの推移とおススメ度
下記のグラフのように長期金利とフラット35金利はコロナショックの前後で変わらず、おおむね一定した金利差で推移しています。
ただし7月から8月にかけては長期金利は横ばいに対してフラット35の金利は0.01ポイント上昇しており、わずかに上昇傾向にありますね。
(注)グラフのフラット35の金利は買取型の最低金利としており、長期金利は住宅金融支援機構が販売する機構債の表面利率の発表日前日の新発10年国債利回りの終値としています。
7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
---|---|---|---|---|---|
1.18% | 1.17% | 1.11% | 1.11% | 1.17% | 1.21% |
1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 |
---|---|---|---|---|---|
1.27% | 1.28% | 1.24% | 1.30% | 1.30% | 1.29% |
7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
1.30% | 1.31% | ― | ― | ― | ― |
4月以降はおおむね横ばいに見えつつ、わずかに上昇傾向で推移しており、8月から9月にかけては横ばいと予想しています。
コロナ不況下で上昇ということで割高感があるのは否めません。
オススメ度は基本的に高いものの、前月の4.0から横ばいとします。
★★★★オススメ度は5点満点で4.0点★★★★ |
20年固定金利
20年固定は、それぞれの銀行が独自の営業方針で金利を決める傾向が高いです。
これを目玉商品としている銀行が少ない=ライバルが少ないことが、その理由の一つではないかとみています。
アフターコロナの金利動向は銀行により分かれた
2020年 | 1月 | 2月 | 3月 コロナショック |
4月 |
---|---|---|---|---|
千日予想 | 上がる | 横ばい or 上がる |
横ばい or (期待含みで) 下がる |
横ばい or (期待含みで) 下がる |
実績 | 上がった 的中!! |
横ばい 的中!! |
下がった 的中!! |
下がった 的中!! |
2020年 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 |
千日予想 | 横ばい | 横ばい or 上がる |
横ばい | 横ばい |
実績 | 横ばい or 上がった 的中!! |
横ばい 的中!! |
0.05上がった! ほぼ的中 |
銀行により対応が分かれた |
3月のコロナショック以降からは、主要銀行の中でも金利を下げた銀行、横ばいとした銀行、上げた銀行に分かれるなど、銀行によって対応が分かれた月が増えています。
長期金利としては、ほぼ横ばいで推移しているので、銀行ごとにコロナリスクへの対応で特色が出ていると言えます。
2020年9月の20年固定は「横ばい」と見ています。
20年固定金利は各金融機関の営業方針でコロコロ変わる金利タイプですので下がるタイミングを読むのが難しい面があります。
詳しくは下記記事を読んでみてくださいね。
2020年8月までの推移とおススメ度
コロナショックの3月以降は「住宅ローン控除で借入が多いほどおトクになる」1%のラインを辛うじて下回る水準で推移しているのですが、じわじわと上がっているように見えますね。
(注)グラフのフラット35の金利は買取型の最低金利としており、20年固定金利は7月から金利を下げてきている金融機関の2019年初頭から直近までの金利推移を模式的に表したものとなっています。
今の20年固定金利は2019年6月以前と比べると段違いの低金利ですから、基本的にお得な金利タイプです。
加えて住宅ローン控除で住宅ローン残高×1%の税金がかえってくるので、住宅ローンの金利が1%未満であれば逆に儲かるということで、お勧めしています。
しかし、直近で最も低金利だった2019年9月ごろの水準よりは高く、最近はコロナ不況下にあって、金融マーケットよりも自行の営業方針で金利を上げ下げしているような傾向が見えます。
銀行によってバラバラになっているのは、金融マーケットに逆行した金利設定をしている銀行があるからです。
オススメ度は前月の4.0点からダウンし3.5点とします。
ただし、たまたま低金利の時に借りられたらラッキーです。
★★★★オススメ度は5点満点で3.5点★★★★ |
10年前後の中期固定金利
主要銀行の10年固定金利は、これまでおおむね長期金利の動向とシンクロしてきました。
しかし、最近のトレンドとしてはコロナショック前の2月に長期金利が大きく下がっても10年固定はさほど下がらず、8月までほぼ横ばいで推移しています。
新型コロナウイルスの影響でもずっと横ばい
2020年 | 1月 | 2月 | 3月 コロナショック |
4月 |
---|---|---|---|---|
千日予想 | 横ばい or 上がる |
横ばい | 上がる or (期待含みで) 横ばい |
横ばい or (期待含みで) 下がる |
実績 | 横ばい 的中!! |
下がった! | 横ばい 的中!! |
横ばい 的中!! |
2020年 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 |
千日予想 | 横ばい | 横ばい or 上がる |
横ばい | 横ばい |
実績 | 横ばい or 上がった 的中!! |
横ばい 的中!! |
横ばい 的中!! |
横ばい 的中!! |
ちなみに2020年9月の10年固定金利も「横ばい」と予想しています。
詳しくは下記記事を読んでみてくださいね。
2020年8月までの推移とおススメ度
フラット35と20年固定についてはある程度の動きが見られますが、10年固定の最低金利については、ほとんど横ばいで推移しています。
(注)グラフのフラット35の金利は買取型の最低金利としており、10年固定金利は過去から低金利で主力商品としている金融機関の2019年初頭から直近までの金利推移を模式的に表したものとなっています。
ただし3月のコロナショック以降、8月までずっと横ばいだったのは最低金利を出しているネット銀行であり、2位グループの大手銀行は6月から7月にかけて金利を上げてしまいました。
ただし7月から8月にかけては横ばいです。
2位グループの大手銀行は金利を上げてしまったのですが、今後3月の需要期が近づいてくると、再び金利を下げてくる可能性があります。
また、ネット銀行は最初こそ低金利ですが、固定期間が終わった後からは金利引き下げ幅が大きく減ってしまいますので、最初の低金利だけを見て選ぶと10年後に慌てることになります。
10年固定を選ぶ場合は、10年の固定期間が終わった後のことも考えて選びましょう。
一般的には、10年で完済や住み替えなら当初10年の金利が低いネット銀行がお勧め、11年後も継続なら11年目からの引き下げ幅が大きな大手銀行がお勧めです。
大手銀行が金利を上げてきた理由としては現在が需要期ではないということもあるでしょう。
10年固定の中での選択肢が少なくなっているのが注意点です。
ただし、低金利でお得なのは変わらないので、おススメ度は前回の4.5点を維持します。
変動金利
変動金利の動向は金融市場の動向よりも、銀行間の駆け引きによって上がったり下がったりする傾向があります。
3月のコロナショックでは横ばいだった変動金利ですが、沈静化した7月にちょっとした動きがありました。
住信SBIネット銀行とSBIマネープラザは借り換えを対象に金利を0.398%に引き下げ、一位のジャパンネット銀行は同時期に0.38%に下げて逃げ切っています。
その後7月から8月にかけては、上記を含む主要銀行の変動金利は横ばいとなっています。
期間限定のキャンペーンを除きおおむね横ばい
2020年 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 |
---|---|---|---|---|
千日予想 | 横ばい | 横ばい | 横ばい | 横ばい |
実績 | 少し下がった | 横ばい 的中!! |
横ばい 的中!! |
少し下がった |
2020年 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 |
千日予想 | 横ばい | 横ばい | 横ばい | 横ばい |
実績 | 横ばい 的中!! |
横ばい 的中!! |
少し下がった | 横ばい 的中!! |
どの銀行も赤字覚悟の低金利でほぼ下げ代が無いなかで、各行が工夫をこらして有利性をアピールしています。
やはり見た目が一番低いのが変動金利なので広告効果は大きいのですね。
なお、2020年9月の金利予想は「横ばい」としています。
詳しくは下記記事を読んでみてくださいね。
2020年8月までの推移とおススメ度
住宅ローンの変動金利は銀行間で資金の融通を行うと市中金利に連動し、これは中央銀行(日銀)が民間銀行に融資する政策金利の影響を受けます。
コロナショックの3月15日には米連邦準備理事会(FRB)が緊急利下げを行い実質的なゼロ金利政策を導入しました。
そして6月10日には、2022年末までゼロ金利政策を継続する方針を表明しています。
少なくとも2022年末までという長期間にわたりマイナス成長が続くFRBの見通しが正しいとすれば、日銀が政策金利を上げるということはまず考えられないですね。
そのため、しばらくの間は変動金利が上がることは無いと考えられます。
しかし、変動金利は6か月ごとに金利を見直し、銀行の判断で上げることのできる金利タイプです。
一時的に低くなっているからという理由だけで飛びつくのは危険ですよ。
そのため、オススメ度はあえて前回の4.5点を維持します。
★★★★★オススメ度は5点満点で4.5点★★★★★ |
まとめ~複数の金利タイプで審査を通すことが保険になる
各地の感染者数は第一波の最大数を超えるようになり、感染第2波への懸念は依然として高い中でお盆休みに突入しました。
今のところは感染者数に対して、医療機関の対応範囲内にあり、感染者数に対する市場の反応も鈍くなっています。
この記事の執筆時点で、ということですが千日太郎の考えるおススメの住宅ローンは以下の通りです。
金利タイプ | オススメ度 | コメント |
---|---|---|
変動金利 | 4.5点 | もともと低金利からさらに低金利になった。 さらにコロナショックによって短期的に金利が上がる要素は減っている。 |
30年超の 固定金利 |
4.0点 | フラット35の金利はコロナ不況下の割にじわじわと上昇傾向。 しかし歴史的に見れば十分に低金利水準と言える。 |
20年 固定金利 |
3.5点 | 1%未満ならば住宅ローン控除でメリットが大きいが、金融マーケットよりも銀行の営業方針で上下している節があり、前月よりダウン。 |
10年 固定金利 |
4.5点 | コロナショック前後で変わらず低金利で横ばいに推移。 |
新型コロナウイルスによる不況で私たちの収入は減る方向にあります。
少しでも低金利で低リスクの住宅ローンを選ぶ参考としてください。