2021年1月までの住宅ローンの金利推移を金利タイプごとに振り返り!今もっともおトクな住宅ローンの金利タイプを毎月更新
執筆者: 千日太郎 (オフィス千日合同会社 代表社員)
こんにちはブロガーの千日太郎です。
ナビナビ住宅ローンでは、金利タイプ別の来月の金利予想を毎月公表しています。
この記事では、前月の予想に対して実績の金利がどうなったか?
また、過去から今月までの金利推移を分析し、現時点でのおススメ度を5段階評価で評価します。
この記事を執筆・監修している専門家
ナビナビ住宅ローン編集部
住宅ローンを組む時に抱える「どうやって住宅ローンを選べば良いかが分からない」「金利の違いがよく分からない」「一番お得に借りられるローンはどれなの?」といった疑問・不安を解決できるように解説していきます。
この記事の目次
コロナ2度目の緊急事態宣言下でお勧めの金利タイプは?
2021年に入ってから新型コロナウイルスの感染が再び急拡大しており、首都圏で2度目の緊急事態宣言が発出されました。
米上院選挙ではバイデン氏の民主党が過半数を獲得したことでNYダウは3万ドルを超え、株価はバブル崩壊直後の高水準となっているものの、安全資産としての債券への需要も根強く長期金利は上がりにくい状況は続いています。
こうした現在の状況に至るまでの2021年1月までの金利動向を振り返り、今おトクな金利タイプを分析します。
金利タイプ別2020年5月~2021年1月の金利推移
では、直近2021年1月までの、住宅ローン金利タイプごとの前月予想の答え合わせとこれまでの金利推移、おススメ度について見ていきましょう。
30年超の超長期固定金利
30年超の超長期固定金利の代表はフラット35です。
住宅金融支援機構の証券化支援事業をもとに民間金融機関と共同で2003年から提供されている住宅ローンであり、民間銀行が金利を決める際にも参考になっています。
フラット35の金利はおおむね横ばいで推移
2020年 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
---|---|---|---|---|
千日予想 | 横ばい | 横ばい | 横ばい | 横ばい |
実績 | 0.01上がった ほぼ的中 |
0.02下がった! | 0.01上がった! | 横ばい 的中!! |
2021年 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 |
千日予想 | 横ばい | |||
実績 | 0.02下がった! |
2020年の後半は0.01ポイントの小幅な上下を交互に繰り返しており、概ね横ばいの予想が的中していたのですが、2021年1月には0.02ポイント下がりました。
株価は上昇していますが、新型コロナウイルスの感染拡大から安全資産としての日本国債への需要が根強く、債券価格が下がると即座に買いが入り、債券価格が高く維持されているのです(債券価格が上がると利回りは下がる)。
それでフラット35の金利も下がってきたのですね。
2021年2月の予想は下がる前の水準に戻って0.02ポイント上がるとしています。
詳しくは下記記事を読んでみてくださいね。
2021年2月までの推移とおススメ度
2020年3月のコロナショックの前後では乱高下しましたが、その後はおおむね1.3%前後で推移しています。
(注)グラフのフラット35の金利は買取型の最低金利としており、長期金利は住宅金融支援機構が販売する機構債の表面利率の発表日前日の新発10年国債利回りの終値としています。
1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 |
---|---|---|---|---|---|
1.27% | 1.28% | 1.24% | 1.30% | 1.30% | 1.29% |
7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
1.30% | 1.31% | 1.32% | 1.30% | 1.31% | 1.31% |
1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 |
---|---|---|---|---|---|
1.29% |
千日太郎としてはコロナ不況下のフラット35の適正水準を1.3%と考えており、数か月先に実行を予定している人の住宅ローンシミュレーションを行う場合の金利は1.3%で行います。
しかしグラフを見てもわかるように、コロナ前の方が長期金利は低金利であり、フラット35の金利も今よりはるかに低金利でした。
過ぎたこととは言え、今の金利水準は経済実体と比較すると少し割高という感は否めません。
また、6日に米上院選挙で民主党が多数派を奪還したことでインフラ投資拡大への期待などから米長期金利は上昇傾向にありますので、今後は若干上がる可能性もあります。
そのためフラット35については、オススメ度は基本的に高いものの、前月の4.0から横ばいとします。
金利は上昇傾向ですが、2021年の3月は決算月ですので3月に向けて民間銀行の超長期固定金利は下がる傾向があり、1月までは実際に下がってきています。
民間の超長期固定金利は前月の4.0よりお勧め度はアップし4.5とします。
★★★★★オススメ度は5点満点で4.5点★★★★★ |
20年固定金利
20年固定金利は、40代から住宅ローンをスタートする人によくお勧めしています。
定年退職までの期間と金利の固定期間が近似しているので、定年までに完済する計画とマッチするためです。
20年固定金利は、金融市場の動向だけでなく、銀行の営業方針によって変動する傾向が高いため金利予想の難度が上がります。
下半期に入って銀行間の低金利競争がスタート
2020年 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
---|---|---|---|---|
千日予想 | 横ばい | 横ばい | 横ばい or 下がる |
横ばい or 下がる |
実績 | 銀行により対応が 分かれた |
下がった! | 銀行により対応が 分かれた |
横ばい or 下がった 的中!! |
2021年 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 |
千日予想 | 横ばい 又は 下がる |
|||
実績 | 銀行により対応が 分かれた |
年度の下半期に入り、民間金融機関の間で住宅ローンの金利引き下げ競争が始まっています。
そうした傾向を反映してか、11月から12月にかけて、主要銀行が金利を下げてきましたが、2021年1月には金利を上げた銀行もありました。
2021年2月の20年固定は横ばい又は期待含みで下がると予想しています。
詳しくは下記記事を読んでみてくださいね。
2021年2月までの推移とおススメ度
直近の7か月で「住宅ローン控除で借入が多いほどおトクになる」1%のラインを下回る水準で推移しています。
(注)グラフのフラット35の金利は買取型の最低金利としており、20年固定金利は7月から金利を下げてきている金融機関の2019年初頭から直近までの金利推移を模式的に表したものとなっています。
2020年1月にはりそな銀行が20年固定金利を0.895%に下げており、単独一位となっています。
2位グループは新生銀行と三井住友信託銀行の0.95%です。この2行はここ数か月横ばいとしていますね。
全体的に横ばいか下がる銀行が多い中、それまで首位グループだったネット銀行で1月になってから1%台に金利を上げた銀行がありました。
1%を超えてしまうと住宅ローン控除でのメリットが少し下がってしまうので、そこまで上げたのは意外でした。
このように、20年固定金利は銀行固有の事情で金利を上げるケースが多いので、複数の金融機関で審査を通しておくことをお勧めします。
1%未満の金利であれば、20年固定金利のオススメ度はかなり高いです。
前月と同じく4.5とします。
★★★★★オススメ度は5点満点で4.5点★★★★★ |
10年前後の中期固定金利
主要銀行の10年固定金利のトレンドとしては長期金利が上下しても住宅ローンの金利に影響せず、9月までの10年固定金利は一貫して横ばいで推移してきました。
しかし、2021年3月の決算月に向けて10月から一斉に主要銀行が金利を下げました。
12月は嬉しい誤算も
2020年 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
---|---|---|---|---|
千日予想 | 横ばい | 横ばい | 横ばい or 下がる |
横ばい or 下がる |
実績 | 横ばい 的中!! |
下がった! | 横ばい or 下がった 的中!! |
横ばい or 下がった 的中!! |
2021年 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 |
千日予想 | 横ばい | |||
実績 | 横ばい or 下がった 的中!! |
1月にはジャパンネット銀行が10年固定金利を0.499%に下げ、唯一の0.4%台で首位につけています。
2位グループの住信SBIネット銀行とSBIマネープラザも金利を下げて0.53%となっています。
また、20年固定では金利を上げたネット銀行も、10年固定では横ばいの0.53%としました。
主要銀行で金利を上げた銀行はなく、ほぼ予想が的中しました。
ちなみに2021年2月の10年固定金利についても「横ばい又は下がる」と予想しています。
詳しくは下記記事を読んでみてくださいね。
2021年1月までの推移とおススメ度
コロナショック後、ほとんど横ばいで推移してきましたが、2020年10月から下がり始め、2021年1月にさらに下がりました。
前述のフラット35や20年固定は一時的に上がった局面もあるのですが、10年固定の主要銀行の最低金利については、ここ2年と1か月は一貫して下がり続けていると言えます。
(注)グラフは過去から10年固定金利を主力商品としている金融機関の2019年初頭から直近までの最低金利の推移を模式的に表したものとなっています。
新型コロナウイルスの感染拡大期にあっても株価は上昇し長期金利も上昇傾向にありますが、これまで一貫して下がってきていた10年固定金利が決算月の3月を前に上がる可能性は低いと見ています。
おススメ度は依然として高く前回の4.5点を維持します。
★★★★★オススメ度は5点満点で4.5点★★★★★ |
変動金利
各行が名目上の最低金利を競っているような状態ですが、変動金利についてはどの銀行も僅差です。
利用者の我々としては金利だけに引っ張られず、実際の支払額(毎月の返済額や総支払額)で比較すべきです。
期間限定のキャンペーンを除きおおむね横ばい
2020年 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
---|---|---|---|---|
千日予想 | 横ばい | 横ばい | 横ばい | 横ばい |
実績 | 横ばい 的中!! |
横ばい 的中!! |
横ばい 的中!! |
横ばい 的中!! |
2021年 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 |
千日予想 | 横ばい | |||
実績 | 横ばい 的中!! |
変動金利はどの銀行もおおむね0.5%台かそれを下回る水準です。
ジャパンネット銀行など一部のネット銀行では0.3%台に突入しています。
ただしベースの金利が低いため、実際に毎月の返済額や総支払額で比較すると、変動金利同士では有意な差にならないことが多いです。
そうした場合は無料で付帯する疾病保障の手厚さなどが決め手になると思います。
なお、2021年2月の金利予想は「横ばい」としています。
詳しくは下記記事を読んでみてくださいね。
2021年1月までの推移とおススメ度
住宅ローンの変動金利は銀行間で資金の融通を行うと市中金利に連動し、これは中央銀行(日銀)が民間銀行に融資する政策金利の影響を受けると言われます。
ただし、日銀の政策金利はすでにマイナスとなっており、現時点ではその影響力を失っていると考えています。
むしろ前述のように銀行間の駆け引きによって上がったり下がったりする傾向にあります。
しかし、念のため直近の政策金利の動向について確認しておきましょう。
米連邦準備理事会(FRB)はコロナショックの2020年3月にゼロ金利政策を導入しており、少なくとも2022年末までという長期間にわたりマイナス成長が続くとの見通しを表明しています。
また、2021年に入ってから新型コロナウイルスの感染者が急増し、首都圏で1か月の緊急事態宣言が発出されました。
現時点で変動金利が上がる要素は皆無と言えるでしょう。
しかし、変動金利は6か月ごとに金利を見直し、銀行の判断で上げることのできる金利タイプです。
株式市場はバブル経済期の高水準となっており、少し先のコロナ収束後を見込んだ投資行動となっています。
主要行が変動金利を下げているのは、最も早く金利を上げることのできる金利タイプだからです。
コロナ収束後の急激な経済のV字回復で金利が上がる可能性もゼロとは言えません。
おススメ度は前月の4.0を維持します。
★★★★★オススメ度は5点満点で4.0点★★★★★ |
まとめ~年度末にかけて住宅ローンの金利面では追い風
新型コロナウイルスの感染拡大で再び緊急事態宣言が発出されるも、株価は記録的な高値を維持しています。
日本国債が安全資産として認められている限り、長期金利は上がらないと予想しています。
また、年度末に向けて民間銀行の低金利競争が加速しつつあるため、どの金利タイプを選んでも、低い金利で実行できる可能性が高いでしょう。
住宅ローンの金利面では追い風が吹いています。
この記事の執筆時点で、ということですが千日太郎の考えるおススメの住宅ローンは以下の通りです。
金利タイプ | オススメ度 | コメント |
---|---|---|
変動金利 | 4.0点 | もともと低金利で、今後さらなる下がり代は少ない。 現在の低金利の背景には、コロナ収束後に適用金利を上げる可能性がある。 |
30年超の 固定金利 |
フラット35 4.0点 |
フラット35の金利はコロナ不況下の割には高い水準。 |
民間 4.5点 |
年度末にかけて金利が下がってきている。 | |
20年 固定金利 |
4.5点 | 1%未満ではお勧め。 ただし銀行によって上げる可能性があるので複数行で審査を出しておくべし。 |
10年 固定金利 |
4.5点 | コロナショック前後で変わらず低金利で推移している。 今後期末に向けてさらに下がる可能性もある。 |
少しでも低金利で低リスク、低コストの住宅ローンを選ぶための参考としてください。