2020年6月までの住宅ローンの金利推移を金利タイプごとに振り返り!今もっともおトクな住宅ローンの金利タイプを毎月更新
執筆者: 千日太郎 (オフィス千日合同会社 代表社員)
こんにちはブロガーの千日太郎です。ナビナビ住宅ローンでは、金利タイプ別の来月の金利予想を毎月公表しています。
この記事では、前月の予想に対して実績の金利がどうなったかと過去から今までの金利推移を分析し、現時点でのおススメ度を5段階評価で評価します。
この記事を執筆・監修している専門家
ナビナビ住宅ローン編集部
住宅ローンを組む時に抱える「どうやって住宅ローンを選べば良いかが分からない」「金利の違いがよく分からない」「一番お得に借りられるローンはどれなの?」といった疑問・不安を解決できるように解説していきます。
この記事の目次
コロナショックからアフターコロナまでの金利動向を振り返り
新型コロナウイルスのリスクが大きく意識された2020年3月には、日本の長期金利が上昇するという異常事態となりました。
これが住宅ローン金利における「コロナショック」です。
通常はリスクが意識されると安全資産である日本国債が買われ、債券価格が上がり、長期金利は下がります。
しかし、リスクがあまりに強く意識されて債券さえも売却して現金化する動きが主流となったため、債券価格が下がり、長期金利が上がったのです。
幸いこれは一時的なものであったため数日で長期金利は下がり、緊急事態宣言の間は0%で推移しました。
その後、新型コロナウイルスの感染拡大ペースが落ち着いてくるに従い、5月の後半から経済活動を再開する動きが出始めると、景気回復の期待から再び長期金利が上昇し始めています。
「アフターコロナ」という言葉を目にするようになりましたが、まだ気を緩めるときではありませんね。
金利タイプ別2020年1月~2020年6月の金利推移
では、直近2020年6月までの、住宅ローン金利タイプごとの前月予想の答え合わせとこれまでの金利推移、おススメ度について見ていきましょう。
30年超の超長期固定金利
30年超の超長期固定金利の代表はフラット35です。
住宅金融支援機構の証券化支援事業をもとに民間金融機関と共同で2003年から提供されている住宅ローンであり、民間銀行が金利を決める際にも参考になっています。
コロナショック後はおおむね横ばいで推移
2020年 | 1月 | 2月 | 3月 コロナショック |
4月 |
---|---|---|---|---|
千日予想 | 横ばい or 上がる |
横ばい or 上がる |
横ばい or 下がる |
下がる |
実績 | 上がった 的中!! |
上がった 的中!! |
下がった 的中!! |
上がった! |
2020年 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 |
千日予想 | 横ばい | 横ばい | 横ばい | |
実績 | 横ばい 的中!! |
0.01下がった ほぼ的中 |
4月にはコロナショックの異常事態によって長期金利が高騰し、フラット35金利も上昇しました。
その後5月6月の長期金利は平常化し0%程度で推移し、フラット35(買取型)の金利は1.3%前後で安定して推移しており、7月も横ばいと予想しています。
詳しくは、下記記事を読んでみてくださいね。
2020年6月までの推移とおススメ度
下記のグラフのように長期金利とフラット35金利はコロナショックの前後で変わらず、おおむね一定した金利差で推移しています。
(注)グラフのフラット35の金利は買取型の最低金利としており、長期金利は住宅金融支援機構が販売する機構債の表面利率の発表日前日の新発10年国債利回りの終値としています。
<2019年度のフラット35(買取型)金利推移>
1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 |
---|---|---|---|---|---|
1.33% | 1.31% | 1.27% | 1.27% | 1.29% | 1.27% |
7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
1.18% | 1.17% | 1.11% | 1.11% | 1.17% | 1.21% |
<2020年度のフラット35(買取型)金利推移>
1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 |
---|---|---|---|---|---|
1.27% | 1.28% | 1.24% | 1.30% | 1.30% | 1.29% |
7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
― | ― | ― | ― | ― | ― |
4月以降横ばいで推移しており、6月から7月にかけても横ばいと予想しています。
最も金利が低かった2019年9月10月よりも上がってしまい、そこから横ばいなので、コロナ不況の経済実体からすると少し割高感があるのは否めません。
オススメ度は基本的に高いものの、従来よりも0.5下げて4.0とします。
★★★★ オススメ度は5点満点で4.0点★★★★ |
20年固定金利
当初固定金利の20年については、新型コロナウイルスの影響で2月から4月にかけて下がってきていました。
しかしコロナショックの後は超長期固定金利と同じく、おおむね横ばいで推移しています。
アフターコロナはおおむね横ばい
金利予想としては下記のように連続で的中しています。
2020年 | 1月 | 2月 | 3月 コロナショック |
4月 |
---|---|---|---|---|
千日予想 | 上がる | 横ばい or 上がる |
横ばい or (期待含みで) 下がる |
横ばい or (期待含みで) 下がる |
実績 | 上がった 的中!! |
横ばい 的中!! |
下がった 的中!! |
下がった 的中!! |
2020年 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 |
千日予想 | 横ばい | 横ばい or 上がる |
横ばい | |
実績 | 横ばい or 上がった 的中!! |
横ばい 的中!! |
コロナショック直後の4月から5月にかけては金利を横ばいとした銀行と若干上げた銀行が混在しており、銀行ごとにコロナリスクへの対応で特色が出ていましたが、5月から6月にかけてはおおむね横ばいとなっています。
2020年7月の20年固定は「横ばい」と見ています。
20年固定金利は各金融機関の営業方針でコロコロ変わる金利タイプですので下がるタイミングを読むのが難しい面があります。
詳しくは、下記記事を読んでみてくださいね。
2020年6月までの推移とおススメ度
コロナショックの3月には複数の銀行で「住宅ローン控除で借入が多いほどおトクになる」1%のラインを下回り、今に至ります。
(注)グラフのフラット35の金利は買取型の最低金利としており、20年固定金利は7月から金利を下げてきている金融機関の2019年初頭から直近までの金利推移を模式的に表したものとなっています。
今後の予想としては、今の1%を少し下回る水準で推移しそうなので、お勧めの金利タイプ)です。
ただし、直近で最も低金利だった2019年9月ごろの水準よりは高く、その当時よりもコロナ不況で本来ならもっと低金利であってほしいという不満はありますよね。
オススメ度は2019年9月当時の5.0点から4.0点にダウンさせることにします。
★★★★ オススメ度は5点満点で4.0点★★★★ |
10年前後の中期固定金利
主要銀行の10年固定金利は、これまでおおむね長期金利の動向とシンクロしてきました。
しかし、最近のトレンドとしてはコロナショック前の2月に長期金利が大きく下がっても10年固定はさほど下がらず、6月までほぼ横ばいで推移しています。
新型コロナウイルスの影響でもさほど下がらなかった
2020年 | 1月 | 2月 | 3月 コロナショック |
4月 |
---|---|---|---|---|
千日予想 | 横ばい or 上がる |
横ばい | 上がる or (期待含みで) 横ばい |
横ばい or (期待含みで) 下がる |
実績 | 横ばい 的中!! |
下がった! | 横ばい 的中!! |
横ばい 的中!! |
2020年 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 |
千日予想 | 横ばい | 横ばい or 上がる |
横ばい | |
実績 | 横ばい or 上がった 的中!! |
横ばい 的中!! |
ちなみに2020年7月の10年固定金利は「横ばい」と予想しています。
詳しくは、下記記事を読んでみてくださいね。
2020年6月までの推移とおススメ度
フラット35と20年固定についてはある程度の動きが見られますが、10年固定の最低金利については、ほとんど横ばいで推移しています。
(注)グラフのフラット35の金利は買取型の最低金利としており、10年固定金利は過去から低金利で主力商品としている金融機関の2019年初頭から直近までの金利推移を模式的に表したものとなっています。
これまでの主要銀行の住宅ローンは10年固定をメインとして価格競争の様相を呈してきました。
そのため、10年固定は限界まで下がりきっている状態で、これ以上に下げると銀行が最低限の利益を取れない状態になってきます。
新型コロナウイルスの影響から銀行も利益が圧迫されていますが、住宅ローンの金利を上げると顧客離れが招いてしまうので上げるにも上げられない状況です。
また、現在は需要期ではないので、実際にこの低金利で融資実行する金額も少ないと言えます。
低金利でお得なのは変わらないので、おススメ度は前回の4.5点を維持します。
★★★★★ オススメ度は5点満点で4.5点★★★★★ |
変動金利
2020年6月適用の変動金利では、auじぶん銀行が0.41%(全期間引下げプラン)という低金利に加え、じぶんでんきとのセット契約で0.03ポイントの引き下げというキャンペーンと合わせて0.38%になり一位を維持しています。
期間限定のキャンペーンを除きおおむね横ばい
2020年 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 |
---|---|---|---|---|
千日予想 | 横ばい | 横ばい | 横ばい | 横ばい |
実績 | 少し下がった | 横ばい 的中!! |
横ばい 的中!! |
少し下がった |
2020年 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 |
千日予想 | 横ばい | 横ばい | 横ばい | |
実績 | 横ばい 的中!! |
横ばい 的中!! |
どの銀行も赤字覚悟の低金利でほぼ下げ代が無いなかで、各行が工夫をこらして有利性をアピールしています。
やはり見た目が一番低いのが変動金利なので広告効果は大きいのですね。
低金利の順位としては膠着状態にありここ最近は目立った動きはありません。
なお、2020年7月の金利予想は「横ばい」としています。
詳しくは、下記記事を読んでみてくださいね。
2020年6月までの推移とおススメ度
住宅ローンの変動金利は銀行間で資金の融通を行うと市中金利に連動し、これは中央銀行(日銀)が民間銀行に融資する政策金利の影響を受けます。
3月15日には米連邦準備理事会(FRB)が緊急利下げを行い実質的なゼロ金利政策を導入しました。
そして6月10日には、2022年末までゼロ金利政策を継続する方針を表明しています。
少なくとも2022年末までという長期間にわたりマイナス成長が続くFRBの見通しが正しいとすれば、日銀が政策金利を上げるということはまず考えられないですね。
そのため、しばらくの間は変動金利が上がることは無いと考えられます。
基本的に現時点では変動金利は上がる要素も下がる要素も無い状態です。
オススメ度は前回の4.5点を維持します。
★★★★★ オススメ度は5点満点で4.5点★★★★★ |
まとめ~複数の金利タイプで審査を通すことが保険になる
5月後半からは経済活動の再開によって一時は金利が上昇していましたが、6月10日には米連邦準備理事会(FRB)は2022年末までゼロ金利を維持する金融緩和方針を表明し、米長期金利が下がったことで日本の長期金利も下がりつつあります。
猫の目のように変わりやすい市況ですが、執筆時点で千日太郎の考えるおススメの住宅ローンは以下の通りです。
金利タイプ | オススメ度 | コメント |
---|---|---|
変動金利 | 4.5点 | もともと低金利からさらに低金利になった。 さらにコロナショックによって短期的に金利が上がる要素は減っている。 |
30年超の 固定金利 |
4.0点 | フラット35の金利はコロナ不況下の割に高止まりでポイントダウン。 しかし歴史的に見れば十分に低金利水準と言える。 |
20年 固定金利 |
4.0点 | フラット35と同様に横ばいで、コロナ不況下の割には高止まり。 ただし1%未満ならば住宅ローン控除でメリットが大きい。 |
10年 固定金利 |
4.5点 | コロナショック前後で変わらず低金利に張り付いている。 |
なお、住宅ローンの実行までの間に、「どんな事件が起こり、それに金利がどう反応するのか?」を反映させることは非常に困難です。
ある程度複数の金利タイプで審査を出しておき、想定外の事態に対する保険としてくださいね。