2020年9月までの住宅ローンの金利推移を金利タイプごとに振り返り!今もっともおトクな住宅ローンの金利タイプを毎月更新
執筆者: 千日太郎 (オフィス千日合同会社 代表社員)
こんにちはブロガーの千日太郎です。
ナビナビ住宅ローンでは、金利タイプ別の来月の金利予想を毎月公表しています。
この記事では、前月の予想に対して実績の金利がどうなったか?
また、過去から今月までの金利推移を分析し、現時点でのおススメ度を5段階評価で評価します。
この記事を執筆・監修している専門家
ナビナビ住宅ローン編集部
住宅ローンを組む時に抱える「どうやって住宅ローンを選べば良いかが分からない」「金利の違いがよく分からない」「一番お得に借りられるローンはどれなの?」といった疑問・不安を解決できるように解説していきます。
この記事の目次
世界的コロナ不況下でお得な金利タイプとは?
コロナ不況で当分の間は低金利が続きそうですね。
米連邦準備理事会(FRB)は2022年末までゼロ金利政策を維持する見通しとしており、8月27日には、物価上昇率が一時的に目標の2%を超えるのを容認する新たな政策方針を表明しています。
これから数年というレンジでは、低金利が続くという前提をとってもよさそうです。
このコロナ不況下では、安全資産である債券が高い価格で取引され、基本的に長期金利は低い水準で推移します。
そこに少し明るい材料があると、債券が売られて一時的に債券価格が下がり、利回りが上がることがあります。
ただしそのまま金利が上昇を続けるわけではなく、債券の割安感に着目した投資家が再び買いに転じることで債券価格が上がり、利回りが下がります。
このように小さな幅で長期金利が上がったり下がったりということを繰り返しているのが今の状況です。
こうした小幅な上下を繰り返している長期金利の水準はコロナ前よりも少し高い水準です。
一方で景気はコロナ前よりも悪化しているのですから、長期金利は相対的に割高な水準といえるでしょう。
ただし、住宅ローンの金利タイプの中には金利を下げているものもあります。
このブログでは金利タイプごとにコロナ前後の動向を分析し、お得な金利タイプをあぶり出します。
金利タイプ別2020年1月~2020年9月の金利推移
では、直近2020年9月までの、住宅ローン金利タイプごとの前月予想の答え合わせとこれまでの金利推移、おススメ度について見ていきましょう。
30年超の超長期固定金利
30年超の超長期固定金利の代表はフラット35です。
住宅金融支援機構の証券化支援事業をもとに民間金融機関と共同で2003年から提供されている住宅ローンであり、民間銀行が金利を決める際にも参考になっています。
フラット35は3か月連続で小幅に上昇中
2020年 | 1月 | 2月 | 3月 コロナショック | 4月 |
---|---|---|---|---|
千日予想 | 横ばい or 上がる | 横ばい or 上がる | 横ばい or 下がる | 下がる |
実績 | 上がった 的中!! | 上がった 的中!! | 下がった 的中!! | 上がった! |
2020年 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 |
千日予想 | 横ばい | 横ばい | 横ばい | 横ばい |
実績 | 横ばい 的中!! | 0.01下がった ほぼ的中 | 0.01上がった ほぼ的中 | 0.01上がった ほぼ的中 |
2020年 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
千日予想 | 横ばい | ― | ― | ― |
実績 | 0.01上がった ほぼ的中 | ― | ― | ― |
4月にはコロナショックの異常事態によって長期金利が乱高下して、一時的にフラット35金利も上昇しましたが、5月以降の長期金利は平常化し、フラット35(買取型)の金利はおおむね横ばいで推移しています。
ただし、7月から9月までの3か月は0.01ポイントとはいえ連続で上昇しており、じりじりと上がってきているのです。
金利予想としては9月までほぼ横ばいという予想が5か月連続で的中していますが、10月も横ばいと予想しています。
詳しくは下記記事を読んでみてくださいね。
2020年9月までの推移とおススメ度
2020年3月のコロナショックの後から、徐々に長期金利は上昇しており、それに伴ってフラット35金利も徐々に上昇しているように見えますね。
特に7月から9月にかけてのフラット35は連続して上昇しています。
(注)グラフのフラット35の金利は買取型の最低金利としており、長期金利は住宅金融支援機構が販売する機構債の表面利率の発表日前日の新発10年国債利回りの終値としています。
1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 |
---|---|---|---|---|---|
1.27% | 1.28% | 1.24% | 1.30% | 1.30% | 1.29% |
7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
1.30% | 1.31% | 1.32% | ― | ― | ― |
千日太郎としてはコロナ不況下のフラット35の適正水準を1.3%と考えているのですが、8月からその適正水準を超えてしまっている状態です。
9月から10月にかけては横ばいと予想していますので、いずれにしてもコロナ不況下で上昇ということで割高感があるのは否めません。
オススメ度は基本的に高いものの、前月の4.0から横ばいとします。
★★★★オススメ度は5点満点で4.0点★★★★ |
20年固定金利
20年固定は、それぞれの銀行が独自の営業方針で金利を決める傾向が高いです。
これを目玉商品としている銀行が少ない=ライバルが少ないことが、その理由の一つではないかとみています。
アフターコロナの金利動向は銀行により分かれた
2020年 | 1月 | 2月 | 3月 コロナショック | 4月 |
---|---|---|---|---|
千日予想 | 上がる | 横ばい or 上がる | 横ばい or (期待含みで) 下がる | 横ばい or (期待含みで) 下がる |
実績 | 上がった 的中!! | 横ばい 的中!! | 下がった 的中!! | 下がった 的中!! |
2020年 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 |
千日予想 | 横ばい | 横ばい or 上がる | 横ばい | 横ばい |
実績 | 横ばい or 上がった 的中!! | 横ばい 的中!! | 0.05上がった! ほぼ的中 | 銀行により対応が 分かれた |
2020年 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
千日予想 | 横ばい | ― | ― | ― |
実績 | 銀行により対応が 分かれた | ― | ― | ― |
3月のコロナショック以降からは、主要銀行の中でも金利を下げた銀行、横ばいとした銀行、上げた銀行に分かれるなど、銀行によって対応が分かれた月が増えています。
20年固定でトップの金利を付けているネット銀行は7月から3か月連続で金利を下げています。
2020年10月の20年固定は「横ばい」と見ています。
銀行によって対応が変わるといっても、大きな差が生じているわけではなく、0.01ポイント台の僅差であり、おおむね横ばいで来ています。
詳しくは下記記事を読んでみてくださいね。
2020年9月までの推移とおススメ度
コロナショックの3月以降は最低金利の銀行で「住宅ローン控除で借入が多いほどおトクになる」1%のラインを辛うじて下回る水準で推移しています。
(注)グラフのフラット35の金利は買取型の最低金利としており、20年固定金利は7月から金利を下げてきている金融機関の2019年初頭から直近までの金利推移を模式的に表したものとなっています。
今の20年固定金利は2019年6月以前と比べると段違いの低金利ですから、基本的にお得な金利タイプと言えます。
また、住宅ローン控除で住宅ローン残高×1%の税金がかえってくるので、住宅ローンの金利が1%未満であれば逆に儲かります。
2020年9月時点で1%未満となっている銀行は、三菱UFJ銀行とKDDIが共同出資しているネット銀行で、7月から3か月連続で金利を下げています。
ナビナビ住宅ローンの人気ランキング1位となっていますので、チェックしてみてください。
最近の20年固定金利については、金融マーケットの長期金利が徐々に上がっている中で、たまたま1位の銀行が営業方針で金利を下げている状況です。
動向が不安定ということもあり、オススメ度は前月の3.5点のままとします。
運よく低金利の時に借りられたらラッキーではあると思います。
★★★★オススメ度は5点満点で3.5点★★★★ |
10年前後の中期固定金利
主要銀行の10年固定金利は、これまでおおむね長期金利の動向とシンクロしてきました。
しかし、最近のトレンドとしては長期金利が上下しても10年固定金利に影響せず、2020年3月から9月までの10年固定金利は横ばいで推移しています。
新型コロナウイルスの影響でもずっと横ばい
2020年 | 1月 | 2月 | 3月 コロナショック | 4月 |
---|---|---|---|---|
千日予想 | 横ばい or 上がる | 横ばい | 上がる or (期待含みで) 横ばい | 横ばい or (期待含みで) 下がる |
実績 | 横ばい 的中!! | 下がった! | 横ばい 的中!! | 横ばい 的中!! |
2020年 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 |
千日予想 | 横ばい | 横ばい or 上がる | 横ばい | 横ばい |
実績 | 横ばい or 上がった 的中!! | 横ばい 的中!! | 横ばい 的中!! | 横ばい 的中!! |
2020年 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
千日予想 | 横ばい | ― | ― | ― |
実績 | 横ばい 的中!! | ― | ― | ― |
ちなみに2020年10月の10年固定金利も「横ばい」と予想しています。
詳しくは下記記事を読んでみてくださいね。
2020年9月までの推移とおススメ度
フラット35と20年固定についてはある程度の動きが見られますが、10年固定の最低金利については、ほとんど横ばいで推移しています。
>
(注)グラフのフラット35の金利は買取型の最低金利としており、10年固定金利は過去から低金利で主力商品としている金融機関の2019年初頭から直近までの金利推移を模式的に表したものとなっています。
ただし3月のコロナショック以降、9月まで一貫して横ばいで推移しているのは最低金利を出しているネット銀行です。
2位グループの大手銀行は6月から7月にかけて金利を上げてしまいましたが、それから9月までは横ばいで推移しています。
大手銀行が金利を上げてきた理由としては、長期金利が徐々に上がってきていることに加えて、今が住宅ローンの需要期ではないということもあるでしょう。
また、変動金利の方に利用者を集めたいというインセンティブが働いているのかもしれません。
基本的に低金利でお得なのは変わらないので、おススメ度は前回の4.5点を維持します。
変動金利
最近の動向としては、2020年7月にトップのネット銀行で金利の引き下げがありました。
住信SBIネット銀行とSBIマネープラザは借り換えを対象に金利を0.398%に引き下げ、一位のジャパンネット銀行は同時期に0.38%に下げて逃げ切っています。
各行が名目上の最低金利を競っているような状態ですが、変動金利についてはどの銀行も僅差です。
利用者の我々としては金利だけに引っ張られず、実際の支払額(毎月の返済額や総支払額)で比較すべきです。
リアルに我々が払うのは「%」ではなく「¥」ですからね。
期間限定のキャンペーンを除きおおむね横ばい
2020年 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 |
---|---|---|---|---|
千日予想 | 横ばい | 横ばい | 横ばい | 横ばい |
実績 | 少し下がった | 横ばい 的中!! | 横ばい 的中!! | 少し下がった |
2020年 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 |
千日予想 | 横ばい | 横ばい | 横ばい | 横ばい |
実績 | 横ばい 的中!! | 横ばい 的中!! | 少し下がった | 横ばい 的中!! |
2020年 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
千日予想 | 横ばい | ― | ― | ― |
実績 | 横ばい 的中!! | ― | ― | ― |
変動金利はどの銀行もおおむね0.5%台かそれを下回る水準です。
実際に毎月の返済額や総支払額で比較すると、変動金利同士では有意な差にならないことが多いですね。
そうした場合は無料で付帯する疾病保障の手厚さなどが決め手になると思います。
なお、2020年10月の金利予想は「横ばい」としています。
詳しくは下記記事を読んでみてくださいね。
2020年9月までの推移とおススメ度
住宅ローンの変動金利は銀行間で資金の融通を行うと市中金利に連動し、これは中央銀行(日銀)が民間銀行に融資する政策金利の影響を受けると言われます。
ただし、日銀の政策金利はすでにマイナスとなっており、現時点ではその影響力を失っていると考えています。
むしろ前述のように銀行間の駆け引きによって上がったり下がったりする傾向にあります。
しかし、念のため直近の政策金利の動向について確認しておきましょう。
コロナショックの3月15日には米連邦準備理事会(FRB)が緊急利下げを行い実質的なゼロ金利政策を導入しました。
そして6月10日には、2022年末までゼロ金利政策を継続する方針を表明し、8月27日には、物価上昇率が一時的に目標の2%を超えるのを容認する新たな政策方針を導入しています。
少なくとも2022年末までという長期間にわたりマイナス成長が続くFRBの見通しが正しいとすれば、日銀が政策金利を上げるということはまず考えられないですね。
そのため、しばらくの間は変動金利が上がることは無いと考えられます。
しかし、変動金利は6か月ごとに金利を見直し、銀行の判断で上げることのできる金利タイプです。
一時的に低くなっているからという理由だけで飛びつくのは危険ですよ。
そのため、オススメ度はあえて前回の4.5点を維持します。
★★★★★オススメ度は5点満点で4.5点★★★★★ |
まとめ~複数の金利タイプで審査を通すことが保険になる
最近の新型コロナウイルスの感染拡大ペースは一服しており、人々の警戒心も薄れてきています。
また、感染者数に対して医療機関の対応範囲内にあり、感染者数に対する市場の反応も鈍くなっています。
ただ、新しい生活様式の中で人とモノの動きは大きく制限されており、それによる不況は長引きそうです。
すぐに収入に影響がなかった人にとっても、今後のボーナスや昇給ペースに影響してくる可能性があります。
この記事の執筆時点で、ということですが千日太郎の考えるおススメの住宅ローンは以下の通りです。
金利タイプ | オススメ度 | コメント |
---|---|---|
変動金利 | 4.5点 | もともと低金利からさらに低金利になった。 さらにコロナショックによって短期的に金利が上がる要素は減っている。 |
30年超の 固定金利 | 4.0点 | フラット35の金利はコロナ不況下の割にじわじわと上昇傾向。 しかし歴史的に見れば十分に低金利水準と言える。 |
20年 固定金利 | 3.5点 | 1%未満ならば住宅ローン控除でメリットが大きいが、1%未満の金利で融資しているのは1~2行だけである。 |
10年 固定金利 | 4.5点 | コロナショック前後で変わらず低金利で横ばいに推移。 |
少しでも低金利で低リスク、低コストの住宅ローンを選ぶための参考としてください。